浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る
浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る俯瞰 photo©西川公朗
浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る参道から苔庭 個別墓を見る。 photo©西川公朗
浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る苔庭 個別墓の詳細 photo©西川公朗

浅利幸男 / ラブアーキテクチャーが設計した、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」です。
社会変化への対応も主題とした墓地です。建築家は、現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案しました。そして、其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造りました。

少子高齢化やライフスタイルの変化により、2021年には平均世帯人員が2.37人まで減少、単独世帯の割合は29.5%まで増加するなど家族形態は多様化しており、家族意識の中心は祖先崇拝=死者から、夫婦、親子関係の結合=生者へと向かうようになっている。伝統的習慣と考えられている「○○家先祖代々の墓」と刻まれた「カロート式家墓」は明治時代以降の法整備と国民道徳教育の結果、普及した形式であり、一般化してから100年も経っていない。我々は都度、墓の形式を選択してきたのである。

建築家によるテキストより

「ようようの庭」は遺骨4体を埋葬出来る個別墓と合祀墓の機能的連携により、縮小する家族規模や単独世帯の増加に対応させるだけでなく、33回忌の弔い上げを迎えた個別墓の遺骨を合祀墓に移動する事で、親子の世代交代という将来的な生命の循環にも対応させている。

建築家によるテキストより

5つの築山と密植した樹木を世俗との結界にして、その内部に11の苔庭を配置する。4つの合祀墓は築山に、116の個別墓は築山と苔庭に分散配置される。個別墓と合祀墓を構成する墓石や墓誌、献花焼香台は人為的加工を極力排除した自然石にする事で、各墓のデザインは全て異なる事になり、景石として置くか、積むかだけにする事で庭の風景と一体化させる。各墓石は庭を媒介にして全てが関係する事になる。

建築家によるテキストより
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える外観、南西から敷地を見る。 photo©長谷川健太
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える南側外観 photo©長谷川健太
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える1階、ダイニングからリビングを見る。 photo©長谷川健太
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える1階、リビングからダイニングを見る。 photo©長谷川健太

後藤周平建築設計事務所が設計した、静岡・浜松市の「山手の家」です。
作品を集める施主家族の為に計画されました。建築家は、生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案しました。また、展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える事も意図されました。

豊かな緑が存在する住宅街に建つ夫婦と子供2人のための住宅。
クライアントは写真や家具の収集が趣味で、これまでに集めたコレクションと家族の生活が混ざり合い、それらの気配が家のどこからでも感じられる暮らしを希望していた。

敷地は浜松市の高台の住宅地にあり、周辺の土地も含め、敷地は道路から1-2m程度高くなっていた。それぞれの敷地ごとに地盤面の高さはバラバラで、自然に目線がずれるような関係が出来ており、その段差がとても心地よい近隣の距離感をつくっていると感じた。

建築家によるテキストより

この段のある環境と連続するように、外部で3つの高さの段、内部で5つの高さの段をもつ住宅をつくった。内外の床の高さの差によって、アイレベルだけでなく、斜め上方向や斜め下方向に視線が抜け、コレクションや生活や庭が混ざり合った状態を色々な方向から眺めることができる。

この立体的な構成により、視線だけでなく光や空気も室内を連続していく。上部の開口部からの光が拡散しながら吹き抜けから落ち、家全体を明るくしたり、上昇気流を利用して2階上部で換気ができたりと、室内環境もこの吹き抜けを通して連続する。

建築家によるテキストより

施主の持つ写真作品を、レンズ越しに見た風景の開口部と見立てた。写真作品という開口部と、住宅の壁に開けた窓という開口部、ふたつの開口をセットで壁に配置していった。

窓は内部と、すぐその裏にある風景をつなぐ。一方で写真のつなぐ風景は季節や時間、場所も異なる。それらを並置することで、「今ここにある風景」と「遠く離れたどこかの風景」との間に関係性が生まれ、奥行きのある内部空間をつくることができるのではないかと考えた。

たとえば、南庭を望む開口部の隣にはライアン・マッギンレーの草原の写真を配置した。今ここにある庭と、どこかの草原が同時に存在し、互いに関係付けられる。季節や、時間の経過でほんの少しずつ変わっていく窓からの風景と、変わらない写真作品の風景のずれ。大きな窓と小さな写真というスケールのずれ。ふたつの種類の開口部が住宅内にあることによって生まれる小さなずれが、目の前の風景に別の奥行きや見方を与える。

建築家によるテキストより

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