岡山泰士+森田修平+仲本兼一郎 / STUDIO MONAKAが設計した、沖縄・国頭村の「謝敷集落の宿 -やんばる集落エリアリノベーション-」です。
地域の再生を目的とした宿泊施設の計画です。建築家は、“美しい集落の継承”も目指し、現地のリソースを活かした工法で造る建築を志向しました。そして、職人が手慣れた2×4工法とブロック造を組合せて開放感と重厚感を両立する豊かな場を生み出しました。本建築を含む宿泊施設の公式サイトはこちら。
沖縄最北端のエリアであるやんばるの「謝敷-じゃしき-」集落に分散して建つ木造の宿である。
北部の集落は人口の転出が多く、集落内にも空家が点在しており、長年放置され倒壊するものも多い。エリアを再生していくために、住民と共存しながらやんばるの暮らしを体験できる宿を既存建物のリノベーションや空地での新築で集落再生を行い、運営を通して集落の維持管理をし「後世に美しい集落の継承」を目指し全体の計画を行なった。
道幅1.5mほどのふくぎ並木を50mほど抜けた先に広がる敷地が新築棟の計画地である。
道幅が狭く車両での侵入が難しいため、手運びでの材料搬入などを考慮し、短材で分割構成できる構造・工法で計画する必要があった。また、北部の建築加工技術や材料流通 等に配慮し、現地で調達・加工しやすい材料を選定する必要もあった。
リサーチの結果、現地の職人が使い慣れた工法であるブロック造と杉の2×4(ツーバイフォー)工法を「やんばる在来工法」と捉え、設計を行った。主要構造を木造とし、現地でも調達しやすい杉の2×4材を刻みのいらない簡易な工法で構成した。また、非構造部材として二重に積んだコンクリートブロックで外壁を構成した。
木造躯体とコンクリートブロック造の外壁は構造的に縁を切り、木造躯体に直接風圧がかからないようにし構造的負担を減らした。その結果、最小限の構造部材で構成することができ、木造の軽やかさと開放感、ブロック造の重厚感ある空間が両立できた。