小松隼人建築設計事務所が設計した、広島・呉市の「Oshigome Base」です。
事務所と住宅に加え“会所”機能を持つ建築です。建築家は、地域に貢献する存在を求め、庭と一体となる“かつての民家の庭先”の様な“セミパブリックな性質”の空間を考案しました。また、外観を特徴づける“草屋根”は周辺環境との連続も意図されました。
敷地は広島県呉市の山間で、東は本庄水源地という貯水池と、その手前に呉湾まで繋がる二河川が流れる。
西は絵下山を中心とした山々が連なり、その麓には新旧の住宅が等高線に沿うように建ち並んでいる。建主は長くこの地で工務店を営んでいることから、地域に貢献できる建築をつくりたいという思いが強く、事務所と住宅の機能に加えて、地域の「会所」としての場を望んだ。
まず屋根の操作によって環境と建築の繋がりをつくり、諸室もそれに準じた配置を行なった。具体的には屋根を1方向に絞るのではなく、貯水池から山並みまでの緑の連続性をつくるための草屋根の下屋、南からの直射を遮り河川の下流から吹く強風を受け流すための主屋、この2方向の屋根の重なりによって全体を統合させている。
2階の居住スペースからは草屋根と貯水池を重ねた風景を望みながら暮らすことができ、下屋の諸室は深い軒と地面からもち上がった植栽によって守りながら風景に開いた。