村上譲+菊田康平 / Buttondesignが設計した、山形市の「山形の家」です。
雪が降りカーポートも必要な地域での計画です。建築家は、“繋がりのある”住まいとの要望に、カーポート・庭・建築を“軒下”空間を介して接続する構成を考案しました。また、内部でも“高断熱仕様”を活かして全体を“ひとつの大きな部屋”の様に作りました。
県内としては降雪量が少ないもののまとまった雪の日もあり、冬季は日常的に雪かきが必要な地域。対して夏季は盆地のため気温も高く、年間の気温差が大きい環境です。そのため、建築には高い断熱性と、日々の使い勝手に対する工夫が求められます。
市内の住宅を見て回ると劣化している箇所は共通しており、建物の外壁や基礎周り、屋根の軒先など、雪と接触している時間が長い箇所が劣化している事がわかりました。また、主な移動手段が車のため、住宅には2台以上停車できる駐車スペースと雪対策のカーポートが設置されていることがほとんどです。
設計におけるクライアントからの要望は「家のどこにいても繋がりがあるようにしたい」との一つだけでした。
それを受け、家の中だけではなく母屋とカーポート、庭が分断されてしまわないような繋がり、また家族や来客がどこにいても心地よく過ごせる場所づくりを大切に考えこの家を計画しました。
駐車エリアと玄関ポーチの間に、カーポートの屋根延長したテラスを設け、玄関までのアプローチを自然に繋げました。カーポートの屋根には駐車スペースだけではなく、テラスを覆う役割も与え、また玄関先までの動線をも包み込みます。
植栽の管理負担を減らす意味で草木の面積は少なくしたものの、大きなヤマモミジを庭の中心に据え、それを囲むように母屋、テラス、デッキを配置しました。それらも軒下の導線で繋がり、室内の各部屋からはどこからでも庭の景色を楽しめます。