長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、大阪市の店舗「アンドワンダー 南船場」です。
自転車移動が便利な地域の路面店の計画です。建築家は、同じブランドの店を複数手掛ける背景から、既存の仕組を共有しつつ“環境に合わせてカスタム”する設計を志向しました。そして、サッシと一体化した自転車置場等を用意して“地域のハブ”化も模索されました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
and wanderはユニセックスのアイテムが多く、多彩な色のバリエーションが特徴である。
手にとって初めて気づくカッティングやデザインがあり、一点ずつ発見する楽しみがある。
天井から吊るされたグリッドシステムにより、レイアウトが柔軟で、照明、ハンガー、ポスター、フィッティングルームなどを自由に配置できる可動システムを採用した。andwanderは一定の仕組みを共有しつつ、店舗ごとに環境やターゲットに合わせてカスタマイズし、異なるデザインを楽しんでもらいたいと考えている。
今回のand wander南船場では、ブランドとしてただモノを買って終わりの場所ではなく、そこが地域コミュニティの一部になるような、サードプレイスとしての新しい店舗のあり方を模索していた。また計画地は路面の環境であり、大阪特有の職住近接で都心に住んでいる人も多いため、地域のハブになって欲しいという思いがあった。
そこで大阪は東京と違い坂が少ない地形で道が碁盤目状となっており、自転車移動が便利であることに着目し、都市の回遊性を引き込む自転車置き場をサッシと一体化させる形で設けている。他にも、外に賑わいを感じさせる跳ね上げ戸、人を受け入れる両開き戸など、境界を作りがちなサッシの周りに人の賑わいを生み、内部に引き込むきっかけを作った。
ファサードを計画できる路面店であったため、以前入っていたテナントの仕上げを剥がして、タイルの削り跡やタイルの上から塗られたモルタルをそのまま受け入れ、必要最低限のケアをすることで、ツルツルのタイルなどの質感ではなく乾いた粗野な表情を出し、内部の商品が引き立つように整えている。