フロリアン・ブッシュ建築設計事務所による、東京・新宿区の複合ビル「昇」。48㎡の敷地に建つ飲食店と2つの住戸が入る建築。“垂直方向の可能性”を探求し、コアを設けずに平面外縁部の上下左右に“階段を巡らせる”構成を考案。与件の拮抗から生まれた“多価性”のある外観も特徴とする
フロリアン・ブッシュ建築設計事務所による、東京・新宿区の複合ビル「昇」。48㎡の敷地に建つ飲食店と2つの住戸が入る建築。“垂直方向の可能性”を探求し、コアを設けずに平面外縁部の上下左右に“階段を巡らせる”構成を考案。与件の拮抗から生まれた“多価性”のある外観も特徴とする俯瞰、西側より見下ろす。 photo©ビンセント・エシテ
フロリアン・ブッシュ建築設計事務所による、東京・新宿区の複合ビル「昇」。48㎡の敷地に建つ飲食店と2つの住戸が入る建築。“垂直方向の可能性”を探求し、コアを設けずに平面外縁部の上下左右に“階段を巡らせる”構成を考案。与件の拮抗から生まれた“多価性”のある外観も特徴とする1階、2階への階段から3階への階段を見上げる。 photo©フロリアン・ブッシュ建築設計事務所
フロリアン・ブッシュ建築設計事務所による、東京・新宿区の複合ビル「昇」。48㎡の敷地に建つ飲食店と2つの住戸が入る建築。“垂直方向の可能性”を探求し、コアを設けずに平面外縁部の上下左右に“階段を巡らせる”構成を考案。与件の拮抗から生まれた“多価性”のある外観も特徴とする4階、アパートメント2、北西側の居室 photo©ビンセント・エシテ

フロリアン・ブッシュ建築設計事務所が設計した、東京・新宿区の複合ビル「昇」です。
48㎡の敷地に建つ飲食店と2つの住戸が入る建築です。建築家は、“垂直方向の可能性”を探求し、コアを設けずに平面外縁部の上下左右に“階段を巡らせる”構成を考案しました。また、与件の拮抗から生まれた“多価性”のある外観も特徴としています。

48㎡の80%という最大建築面積に、レストランの他、何軒かのアパートを盛り込むという野心的な概要から立ち上がった作戦は明瞭だった。それは、この最大建築面積を最大限に活かし、そしてそのような自由な空間を獲得するためには、垂直方向の可能性を最大限に探る必要があるということだ。

建築家によるテキストより

施主はその困難を予測したかのように、この用地が決まるずっと前からプロジェクトに「昇り」という名前を付けていた。
我々の課題は、その方法を如何にして見つけるか、という現実的なものだった。従来ならコンパクトなコア部分を中心とする巡回構造を提案するところだ。

だがここで我々はあえて逆の発想を狙った。コアを度外視し、外郭部に沿って上下左右に階段を巡らせるという構造を提案した。

建物に足を踏み入れた者は、まるで下町の路地に迷い込んだような感覚に陥る:大規模都市と無数の住宅を結ぶ、人々の憩いの場、事実上のロビーのような役割を果たす東京の路地空間。それがこの建物の在り方だ。

建築家によるテキストより

このような空間の曖昧さと多価性はファサードに現れている。

建物の規模を考えると、建物の外皮が構造的な負荷を背負うことは自然であり、有益でもある。潜在的な開口部をできる限り大きく開いたところからスタートし、デザインが進むにつれ、必要性と要望に柔軟に応えつつ、多孔性の度合いが進化していった。

幾つもの制限要素(構造、眺望、採光、換気、予算など)が競い合い、譲り合いながら、最良の解決策を導くグラウンドとなったのがファサード部分だった。

建築家によるテキストより
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ネリ&フーによる、中国・海南島の宿泊施設「城郭都市 / サンヤ・ウェルネス・リトリート」。著名なリゾート地での計画。国の“古代の城郭都市”に着想を得て、重厚な基壇の上に二つの客室棟が載る構成を考案。“土地の精神”の体現も意図して“地元の職人技術”の採用や“少数民族の芸術”の参照も行う
ネリ&フーによる、中国・海南島の宿泊施設「城郭都市 / サンヤ・ウェルネス・リトリート」。著名なリゾート地での計画。国の“古代の城郭都市”に着想を得て、重厚な基壇の上に二つの客室棟が載る構成を考案。“土地の精神”の体現も意図して“地元の職人技術”の採用や“少数民族の芸術”の参照も行う外観 photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・海南島の宿泊施設「城郭都市 / サンヤ・ウェルネス・リトリート」。著名なリゾート地での計画。国の“古代の城郭都市”に着想を得て、重厚な基壇の上に二つの客室棟が載る構成を考案。“土地の精神”の体現も意図して“地元の職人技術”の採用や“少数民族の芸術”の参照も行うレセプション photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・海南島の宿泊施設「城郭都市 / サンヤ・ウェルネス・リトリート」。著名なリゾート地での計画。国の“古代の城郭都市”に着想を得て、重厚な基壇の上に二つの客室棟が載る構成を考案。“土地の精神”の体現も意図して“地元の職人技術”の採用や“少数民族の芸術”の参照も行うウォーター・コートヤード photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・海南島の宿泊施設「城郭都市 / サンヤ・ウェルネス・リトリート」。著名なリゾート地での計画。国の“古代の城郭都市”に着想を得て、重厚な基壇の上に二つの客室棟が載る構成を考案。“土地の精神”の体現も意図して“地元の職人技術”の採用や“少数民族の芸術”の参照も行う飲食エリア photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・海南島の宿泊施設「城郭都市 / サンヤ・ウェルネス・リトリート」。著名なリゾート地での計画。国の“古代の城郭都市”に着想を得て、重厚な基壇の上に二つの客室棟が載る構成を考案。“土地の精神”の体現も意図して“地元の職人技術”の採用や“少数民族の芸術”の参照も行う廊下 photo©Chen Hao

ネリ&フーが設計した、中国・海南島の宿泊施設「城郭都市 / サンヤ・ウェルネス・リトリート」です。
著名なリゾート地での計画です。建築家は、国の“古代の城郭都市”に着想を得て、重厚な基壇の上に二つの客室棟が載る構成を考案しました。そして、“土地の精神”の体現も意図して“地元の職人技術”の採用や“少数民族の芸術”の参照も行いました。


こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)

サンヤ・ウェルネス・リトリートは、中国の人気リゾート地である海南島の亜龍湾に位置しています。ネリ&フーのデザインは、中国の古代の城郭都市に着想を得ており、重厚な基壇の上に高く築かれ、通常は防御のために水に囲まれています。このように、ホテルは二つの部分で構成されています。客室を含む木造の住居部分が、すべての公共スペースを内包する石造りの基壇の上に載っています。

2つのL字型の建物ヴォリュームが組み合わさって水の中庭を形成しており、そこがホテルのすべてのパブリックアメニティが広がり、外へと放射状に展開する中心的な要素となっています。ロビーは庭園のような風景となり、頭上には浮かぶ提灯がやさしい光を差し込み、そよ風が吹き抜けることで、訪れたゲストはたちまち島のゆったりとした時間の流れを味わう、穏やかな心持ちへと誘われます。同時に、この空間では天井が低く抑えられており、そのことで外に広がる澄んだ青い海の景色を額縁のように切り取り、眺められるようになっています。

あらゆる機会を通じて、このデザインは海南島のゲニウス・ロキ(土地の精神)を体現しようとし、島の集合的記憶、文化、そして自然の特徴を融合させています。地元の職人技を活かしながら、下層部を包む石造りの壁には手作りの粘土レンガが使われており、ファブリックやラグには少数民族であるリー族の織物芸術から着想を得たデザインが取り入れられています。竹を水に浸して圧縮する技術も建材として用いられており、編み込まれたラタンや黄銅のアクセントが、このプロジェクトに奥行きを加えています。

ゲストルームについては、それぞれのユニットが独立した木造の小屋として構想されており、洗面所などの機能的な設備を備えています。木造のボックス同士の間に生まれた空間には、オーシャンビューのバルコニーを含む、就寝やリラックスのためのゾーンが設けられています。実体と空間が交互に織りなすリズム、斜めに設けられた壁、そして素材の質感による表現が相まって、光と影が絶えず戯れるダイナミックなファサードを形づくっています。ベッドルームユニットの間にある廊下は都市の街並みのような風景となり、人々が行き交い、思いがけない出会いを楽しめる小路となっています。こうした偶然こそが、旅人にとっての喜びなのです。

最も注目を集めたトピックス[期間:2025/9/1-9/7]
最も注目を集めたトピックス[期間:2025/9/1-9/7]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2025/9/1-9/7)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 妹島和世が、NHKの朝のテレビ番組”あさイチ”のプレミアムトークに出演。放送日は2025年9月5日
  2. OMA / 重松象平の建築デザインによる、東京の複合商業施設「原宿クエスト」が9月11日にオープン。“二面性”をコンセプトとし、原宿と表参道という異なる個性の街を繋ぐ空間を志向。設計・監理にはNTTファシリティーズが参画
  3. 妹島和世の空間設計で、化粧品メーカー“ポーラ”の銀座旗艦店「ポーラ ギンザ」が2025年12月にリニューアルオープン。音楽家・渋谷慶一郎、照明家・豊久将三、嗅覚のアーティスト・和泉侃もプロジェクトに参画
  4. SANAAによる、台湾の「Taichung Green Museumbrary」が2025年12月にオープン。旧軍用空港跡地の公園内に計画された美術館と図書館を統合した施設。軽やかで開かれた存在を目指し、アルミとガラスの二重構造のファサードで地上レベルに全方向からアクセス可能な公共広場を備えた建築を考案
  5. 内藤廣による講演会「渋谷と益田、そして建築と都市を語る」の動画。展覧会の開催に合わせて2025年7月に行われたもの
  6. ザハ・ハディド・アーキテクツによる、アメリカ・フロリダの集合住宅「ザ・デルモア」。ビーチサイドでの計画。地域の建築様式“マイアミ・モダン”を参照した外観で、建物を”キャニオン”で二分割して全住戸に自然光を取込む建築を考案。気象条件の解析をデジタルモデルに適用して設計案の洗練も実施
  7. 若松均建築設計事務所による、東京・世田谷区の「瀬田立体交叉点の集合住宅」。往来が多く日照条件も厳しい敷地。光庭かつ動線空間の“ヴォイド”を中央に据え、環境から導いた“わずかに歪んだ外形”との間を住戸とする構成を考案。小スケールの箱を上下左右に組合わせて多彩な住戸形態も実現
  8. 五十嵐理人 / IGArchitectsによる、埼玉の「グランドルーム / ハウス」。田園風景の中の開発された住宅地の敷地。開放的な環境と呼応する存在を求め、様々な用途を許容する二層吹抜の大空間“グランドルーム”を核とする住宅を考案。“ジグザグ梁”は“居場所の手掛かり”としても機能
  9. 田村秀規 / PODAによる、埼玉・戸田市の「笹目の作業場」。工場街に建つ空調設備会社の社屋。“記憶を喚起する”存在を求め、“周辺視”に着目して“無意識のまなざし”を顕在化する建築を志向。数種類のポリカ板とバルコニーで“多様な解像度の風景”を内部空間に生み出す
  10. 妹島和世による、岡山・犬島のパヴィリオン「HANA」。“犬島 くらしの植物園”での計画。園のランドスケープとの呼応も意図し、“みんなで集まれる”花のような形態の建築を考案。“少し鈍い鏡面仕上げ”で周囲の木々や夕日などの変化する風景を映し出す
  11. 芦沢啓治建築設計事務所のデザインした「ブルーボトルコーヒー 心斎橋カフェ」が2025年9月にオープン。大阪城や通天閣に見られる幾何学的なモチーフに加えて、“黄金の茶室”や大阪らしい華やかさを参照して設計
  12. 島崎威郎 / Takero Shimazaki Architectsによる、イギリス・ロンドンの「ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンス」。新築建築の低層部に計画された教育機関。広大な面積という与件に、全体を“都市の延長”として構想して其々の部屋を“ひとつの建物”の様に扱う設計を志向。RCの構造柱は空間に都市性を与える要素として捉える
  13. DP アーキテクツとKR+Dによる、大阪・関西万博の「シンガポールパビリオン」。小さな国土ながら大きな夢を持つ同国の愛称“リトル・レッド・ドット”に着目し、最大直径18.5mの“赤い球体”の建築を考案。実施設計でHUNE、+U Architects、中倉徹紀建築都市設計も参画
  14. kymaによる、長野・駒ケ根市の「商店街の小さな保育園」。商店街の中にある敷地での計画。行政と連携した“まちづくり”の一環として、“子どもたちが豊かに育つ”と共に“商店街に賑わいをもたらす”存在を志向。遊戯室を前面に配置して地域にも開放する構成の建築を考案
  15. 桔川卓也 / NASCAによる、静岡・浜松市の「ヤタロー地産地消工場店」。バウムクーヘンで知られる企業の工場直売店。施主の“フードロス削減”の活動に着目し、理念を反映した“アップサイクル素材”で構成する計画を志向。地域産の小径木材で代表商品を想起させる“吊り什器”をつくる
  16. 塩入勇生+矢﨑亮大 / ARCHIDIVISIONによる、北海道・札幌市の「maison y maison」。代々受け継がれた土地の設計者実家の増改築。終の棲家であり未来に繋がる存在を求め、増築した上で既存の半分を共同住宅・テナント・共用部に転用し保存する計画を考案。地域の活動が入り込み新たな交流も生まれる
  17. テレインアーキテクツとZu architectsによる、東京の「板橋の家」。周囲に“隙間”が点在する敷地。前後の道路を繋ぐ“通り土間”を持ち、大らかな開口部と内外の距離を調整する厚みのある緩衝空間を備えた建築を考案。様々な“小さな積層”で人や環境との関係を豊かなものに変える
  18. フォスター+パートナーズによる、韓国・ソウルの複合開発「IOTA Seoul I」。地域のランドマーク的な敷地の再開発。市民にとっての新たな目的地の創出を目指し、隣接する公園の体験を引込んだ“緑のオアシス”となる計画を志向。屋上庭園などを一般開放して誰でもアクセス可能とする
  19. 塩崎太伸研究室(東京科学大学)の有志運営の研究会による、建築展「GHOSTSCALE」が開催。新宿のWHITEHOUSEが会場。ネット上の不気味な無人空間“リミナルスペース”の観点から建築空間を捉え直す内容。GROUP井上岳、玉山拓郎、原田裕規、星野太が参加するトークイベントも実施
  20. 川嶋洋平建築設計事務所による、沖縄・宮古島市の集合住宅「T_student dormitory」。海外や県外の生徒を受け入れる大学寮。様々な交流を促す存在を目指し、プライベートとパブリックの空間の“距離感”に重点を置く計画を志向。各階の中央に様々な機能を持つ“コモンスペース”を配置する構成を考案

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