SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左奥:「還る墓」小野直輝、右手前:「モナステリーディスティラリー」石飛亮+東郷拓真、 photo©architecturephoto
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左手前:「還る墓」小野直輝、右奥:「モナステリーディスティラリー」石飛亮+東郷拓真 photo©architecturephoto
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左手前:「スクラップ・アンド・リファイン―変化し続けるテナント商業ビル―」大庭拓也+茅原愛弓+北潟寛史+橿渕開、左奥:「廃墟の上棟」神本豊秋+能村嘉乃+筒井祥平、右手前:「旧吉野小プロジェクト」村山徹+加藤亜矢子+塚越竜也+二又大瑚、右奥:「暮らしの拡張基地タカキヤ」佐藤布武+佐藤あゆ+森本莉央+池田裕大郎+伴拓実 photo©architecturephoto
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左:「旧吉野小プロジェクト」村山徹+加藤亜矢子+塚越竜也+二又大瑚、中央手前:「暮らしの拡張基地タカキヤ」佐藤布武+佐藤あゆ+森本莉央+池田裕大郎+伴拓実、中央奥:「スクラップ・アンド・リファイン―変化し続けるテナント商業ビル―」大庭拓也+茅原愛弓+北潟寛史+橿渕開、右奥:「廃墟の上棟」神本豊秋+能村嘉乃+筒井祥平 photo©architecturephoto

SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(後編)です。
“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件の建築コンペティションで、若手建築家の登竜門としても知られています。本記事では展覧会の様子を前編と後編に分けて紹介します。会期は2025年9月19日~28日。
SDレビュー2025の審査を務めたのは、青木淳冨永祥子満田衛資増田信吾でした。展覧会の公式ページはこちら

SDレビューとは

SDレビューは、実際に「建てる」という厳しい現実の中で、設計者がひとつの明確なコンセプトを導き出す思考の過程を、ドローイングと模型によって示そうというものです。
実現見込みのないイメージやアイデアではなく、実現作を募集します。
1982年、建築家・槇文彦氏の発案のもとに第1回目が開催され、以降毎年「建築・環境・インテリアのドローイングと模型」の展覧会とその誌上発表を行っております。

以下、入選作品を展示順に掲載します。

SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左:「白樺の森のヴィラ群」桐圭佑、右手前:「スハープスコーイ」グリアー・ハナ・ハヤカワ+ヘクター・バランテ・モンテス、右奥:「竜泉寺の門」畑克敏+足立拓哉+深澤愛佳+深澤創一+梅村樹+田中碧衣 photo©architecturephoto
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左:「竜泉寺の門」畑克敏+足立拓哉+深澤愛佳+深澤創一+梅村樹+田中碧衣、中央奥:「スハープスコーイ」グリアー・ハナ・ハヤカワ+ヘクター・バランテ・モンテス、右:「白樺の森のヴィラ群」桐圭佑 photo©architecturephoto
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左手前:「House in Leersum」シモン・グリフィン+鶴田航+上林修司、右手前:「時を纏う橋の町屋」降旗範行+酒井千草、中央奥:「八幡野の小屋」原田雄次 photo©architecturephoto
SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる手前:「八幡野の小屋」原田雄次、左奥:「時を纏う橋の町屋」降旗範行+酒井千草、右奥:「House in Leersum」シモン・グリフィン+鶴田航+上林修司 photo©architecturephoto

SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(前編)です。
“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件の建築コンペティションで、若手建築家の登竜門としても知られています。本記事では展覧会の様子を前編と後編に分けて紹介します。会期は2025年9月19日~28日。
SDレビュー2025の審査を務めたのは、青木淳冨永祥子満田衛資増田信吾でした。展覧会の公式ページはこちら

SDレビューとは

SDレビューは、実際に「建てる」という厳しい現実の中で、設計者がひとつの明確なコンセプトを導き出す思考の過程を、ドローイングと模型によって示そうというものです。
実現見込みのないイメージやアイデアではなく、実現作を募集します。
1982年、建築家・槇文彦氏の発案のもとに第1回目が開催され、以降毎年「建築・環境・インテリアのドローイングと模型」の展覧会とその誌上発表を行っております。

以下、入選作品を展示順に掲載します。

【ap job更新】 再生建築のリーディングカンパニー「青木茂建築工房」が、意匠設計・BIM・3DCGのスタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)を募集中
【ap job更新】 再生建築のリーディングカンパニー「青木茂建築工房」が、意匠設計・BIM・3DCGのスタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)を募集中
【ap job更新】 再生建築のリーディングカンパニー「青木茂建築工房」が、意匠設計・BIM・3DCGのスタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)を募集中

再生建築のリーディングカンパニー「青木茂建築工房」の、意匠設計・BIM・3DCGのスタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

青木茂建築工房では、東京・福岡両事務所で設計スタッフおよびBIMマネージャー/BIMオペレーター/3DCGクリエーターを募集します。
特に、東京事務所での勤務を希望される実務経験のある方を積極的に採用します。また、2026年4月入社の新卒スタッフも募集しています。

青木茂建築工房は、主に再生建築に取り組む建築設計事務所です。国内でいち早く再生建築に着手し、事務所開設から49年間で多数の実績を積み重ねてきました。その成果は、建築学会賞(業績)、BCS賞、公共建築賞、BELCA賞など数多くの受賞につながっています。

当事務所では、環境に優しく持続可能な建築再生手法を「リファイニング建築」と名付け、独自に展開しています。古い建物の構造躯体を再利用し、耐震補強や劣化部分の補修、違法部分の適法化などを行うことで、安全性と遵法性を確保。さらに、建物が本来持つ可能性を提案によって新たな価値へと昇華させ、長く使える建物へと再生しています。こうした取り組みを通じて循環型社会の実現に貢献し、持続可能な未来をともにつくっていく仲間を求めています。

現在、文化施設、教育施設、大規模店舗、病院、オフィスビル、集合住宅など、30件以上のプロジェクトが進行中です。民間・公共・PFIといった多様な依頼を受け、企画から設計監理まで、再生建築にまつわるすべての業務を経験できます。幅広い用途や事業スキームに携わることで、社会性のある実務を積みながら、デザインに加え、建設技術・法律・ファイナンスを含めた多角的なアプローチを実践・習得することが可能です。

東京・福岡の2拠点に約25名のスタッフが在籍し、海外からの注目も高いことから、外国人スタッフも活躍する多国籍な職場環境となっています。設計実務に携わりながら博士課程で学ぶ者や、大学での教育・研究活動に取り組むスタッフもおり、その成果を実務に還元することで、個人としても事務所としても設計力を高めています。

再生建築のリーディングカンパニーとして確かな実績と経験を持ちながら、常に次の時代を見据えた新しい建築に挑戦し続けています。私たちと共に成長し、未来を築いていく仲間をお待ちしています。

ジャン・ヌーヴェル / Ateliers Jean Nouvelが手掛ける、鹿児島・屋久島のヴィラ「NOT A HOTEL YAKUSHIMA」のパースが公開
ジャン・ヌーヴェル / Ateliers Jean Nouvelが手掛ける、鹿児島・屋久島のヴィラ「NOT A HOTEL YAKUSHIMA」のパースが公開 image courtesy of NOT A HOTEL

ジャン・ヌーヴェル / Ateliers Jean Nouvelが手掛ける、鹿児島・屋久島のヴィラ「NOT A HOTEL YAKUSHIMA」のパースが公開されています。2026年夏の販売開始が予定されています。

ジャン・ヌーヴェルによる「NOT A HOTEL YAKUSHIMA」コンセプト

最も洗練されたものは、自然の中にある。風景や小径、起伏、そしてふと現れる眺め。それ以外は、何もない。
このプロジェクトは、単に住まう場所をつくることではない。一本の木、ひとひらの草の葉、ひとつの石と恋に落ちることなのだ。

まるで現代美術の収集家のように、石や庭、むき出しの大地の中にこそ、この島を体験する理想的な方法を見出すことができる。
それは自然であり、場所であり、芸術作品であり、雨であり、水の音だ。
その根底にあるのは石。時間や雨風によって形作られ、歳月の記憶をまとう永遠の存在。

その周囲には岩や石壁が、まるで昔からここに存在していたかのように配置される。
この島はまるで宝物のような場所だ。
現れては消え、すべてが変化しうる場所でありながら、それでも常に、静かに想いに耽る喜びを与えてくれる。

ここでは時間は不変で、静謐は絶対的、瞑想的でなければならない。
ガラスのように最もシンプルな素材が選ばれるのは、雨への感覚を研ぎ澄ますため。
水の透明性や、その向こうに広がる空を映し出し、そこから湧き上がる根源的で自然な感情を呼び起こすためだ。

リリーステキストより
藤本壮介の設計で、JINSのグローバル旗艦店「JINS銀座店」が2026年春にオープン。アントニン・レーモンド設計の“教文館ビル”(1933年)の一角に計画
藤本壮介の設計で、JINSのグローバル旗艦店「JINS銀座店」が2026年春にオープン。アントニン・レーモンド設計の“教文館ビル”(1933年)の一角に計画 image courtesy of JINS

藤本壮介の設計で、JINSのグローバル旗艦店「JINS銀座店」が2026年春にオープンします。
アントニン・レーモンド設計の“教文館ビル”(1933年)の一角での計画です。

株式会社ジンズ(以下JINS)は2026年春、東京・銀座の象徴である中央通りに、初のグローバル旗艦店「JINS銀座店」をオープンいたします。2026年にアイウエア事業25周年を迎えるJINSは、ここ銀座を拠点に、日本発のクリエイティビティと革新を世界へ発信し、グローバルブランドとして新たな挑戦を開始します。

近代日本建築の巨匠アントニン・レーモンド氏が設計した歴史的名建築・教文館ビルを舞台に、世界的建築家・藤本壮介氏が新たな設計を手がけます。名だたるブランド旗艦店が並ぶ銀座・中央通りにおいて、JINSは偶然のようで必然のような出会いを大切にする日本的思想「縁(えにし)」をコンセプトに掲げ、訪れるたびに新しい発見がある唯一無二の体験を提供しながら、国内500店舗以上、海外250店舗以上を展開するブランドとして次の25年に向け「世界No.1のアイウエアブランド」を目指す第一歩をここ銀座から踏み出します。

リリーステキストより

以下の画像は拡大して閲覧できます。

NOIZによる、東京・千代田区のオフィス「WingArc1st D.E.BASE」。IT企業の為に計画。無数の“仮想的な面”をビルのグリッドを“切り裂く”様に設定し、断面線としての“光のライン”を縦横無尽に交錯させる空間を考案。異質な素材や形と色を組合わせて技術者の創造性も刺激する
NOIZによる、東京・千代田区のオフィス「WingArc1st D.E.BASE」。IT企業の為に計画。無数の“仮想的な面”をビルのグリッドを“切り裂く”様に設定し、断面線としての“光のライン”を縦横無尽に交錯させる空間を考案。異質な素材や形と色を組合わせて技術者の創造性も刺激するエントランス側から「オープンスペース」を見る。 photo©高木康広
NOIZによる、東京・千代田区のオフィス「WingArc1st D.E.BASE」。IT企業の為に計画。無数の“仮想的な面”をビルのグリッドを“切り裂く”様に設定し、断面線としての“光のライン”を縦横無尽に交錯させる空間を考案。異質な素材や形と色を組合わせて技術者の創造性も刺激するオープンスペースから「プライベートルーム」側を見る。 photo©高木康広
NOIZによる、東京・千代田区のオフィス「WingArc1st D.E.BASE」。IT企業の為に計画。無数の“仮想的な面”をビルのグリッドを“切り裂く”様に設定し、断面線としての“光のライン”を縦横無尽に交錯させる空間を考案。異質な素材や形と色を組合わせて技術者の創造性も刺激する「カフェゾーン」 photo©高木康広
NOIZによる、東京・千代田区のオフィス「WingArc1st D.E.BASE」。IT企業の為に計画。無数の“仮想的な面”をビルのグリッドを“切り裂く”様に設定し、断面線としての“光のライン”を縦横無尽に交錯させる空間を考案。異質な素材や形と色を組合わせて技術者の創造性も刺激する天井照明と壁面の詳細 photo©高木康広

NOIZが設計した、東京・千代田区のオフィス「WingArc1st D.E.BASE」です。
IT企業の為に計画されました。建築家は、無数の“仮想的な面”をビルのグリッドを“切り裂く”様に設定し、断面線としての“光のライン”を縦横無尽に交錯させる空間を考案しました。そして、異質な素材や形と色を組合わせて技術者の創造性も刺激しています。

データ活用の分野で業界をリードするIT企業の、技術者向けのイベント・プレゼンテーションを行うためのオープンスペースを併設したフラッグシップオフィスの内装設計です。

自社の技術力や創造性を対外的に示す場として、あるいは技術者同士のコミュニケーションを誘発する場として、空間の床・壁・天井の至るところにLEDディスプレイが埋め込まれ、それらを統合的にまとめる強い空間のアイデンティティが求められました。

建築家によるテキストより

ここでは仮想的な無数の面を、オフィスビルのグリッドを切り裂くように設定し、その断面線としての光のラインをあたかも情報空間を行きかうデータのように縦横無尽に交錯させて、情報を扱う企業ならではアイデンティティを表現したいと考えました。

建築家によるテキストより

斜めに横断する直線によって、会議室やサーバー室、工作機器室などの各諸室がボリュームとして切り出されるだけでなく、その界面を形成するガラス面によって、複雑な反射と奥行き感を生み出し、透過LEDディスプレイなどの視覚効果をまじえて、実と虚が重なりあい連続する空間になっています。

また、その直線の壁は一部が、アメーバのような有機的な曲面によって浸食され、テレカンブースや、什器として自律的な機能が与えられています。この曲面には構造色フィルムが貼られており、色彩を変化させながら周辺環境を歪める効果があり、直線を基調にした空間をトポロジカルに変換し、あたかも仮想世界の鏡のような感覚を与えることを意図しています。

空間を構成する素材や形、色彩などの要素を意図的に異質なものの組み合わせで対比させ、ここに集う技術者の創造性を刺激し柔軟な発想を促すものとしたいと考えました。

建築家によるテキストより

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