



西下太一建築設計室が設計した、京都市の「御陵の家」です。
居住空間と仕事場を内包する計画です。建築家は、用途間の動線計画と其々に“ふさわしい居心地”を主題とし、廊下などの移動空間に“静けさと心の切替”のある建築を考案しました。また、短いシーンの中に“儚い光と暖かい翳”も存在させることも意図されました。
京都市中心部に近接しながら、山々に囲まれた盆地として独立した環境を保つ山科区御陵。
ご自身の仕事場、ご両親の仕事場、プライベートな居住スペースなど複数の用途を同居させる計画。
グラデーショナルな関係性を持つこれらの用途をどのような動線で解決し、敷地上の配置と用途ごとにふさわしい居心地を与えられるかが、この計画を進めるうえで最重要の課題となった。
この建築では、写真として映える広いLDKのような空間より、収納を兼ねた廊下、トイレ前の手洗いスペースを兼ねる動線、階段などが、実はこの建築の空間体験としての魅力の本質になっているように感じる。
用途と用途を行き来するその短いシーンの中に、静けさと心の切り替えがある。そこには儚い光と暖かい翳がある。
その場所ごとの最適だけが、余白なく繋がる空間は、いくら正しく効率的であろうとも苦しい。人の気持ちは一様ではないし、機械のように正しく動作もしない。
「繋がり」の意味を考える時、それは直接的に繋がって「いない」ことが、繋がりをつくり出すこともある。
