
SHARE 海法圭が空間設計に加え運用にも参画した、秋田での展覧会「200年をたがやす」の会場写真。保存運動が起こった建築を舞台に、地域における新たな公共文化施設の在り方の態度表明を展覧会のかたちを借りて模索する試み
- 日程
- 2021年7月1日(木)–9月26日(日)




海法圭建築設計事務所が空間設計に加え運用にも参画した、秋田での展覧会「200年をたがやす」の会場写真です。保存運動が起こった建築を舞台に、地域における新たな公共文化施設の在り方の態度表明を展覧会のかたちを借りて模索する試みが行われました。会場となる秋田市文化創造館(旧秋田県立美術館)は、日建設計の前身である日建設計工務の設計で1966年竣工の建築です。会期後半「みせる」の会期は2021年7月1日~9月26日。会期前半「つくる」は既に終了しています。展覧会の公式サイトはこちら。
2021年3月にオープンした秋田市文化創造館で開催される「生活と表現が交わる広場としての展覧会『200年をたがやす』」に建築家として参画し、空間設計及び「パブリック・リニューアル・ラボ」の立上げとその運用を実践したプロジェクトである。
展覧会の舞台となる建築は、2013年に秋田県立美術館としての役目を終えた後、市民を中心とした保存運動の末に解体を免れ、秋田市文化創造館として生まれ変わった公共文化施設である。柿落としとなる「200年をたがやす」は、秋田市文化創造館の目指す未来に呼応すべく計画された展覧会である。
「かつて美術館だった」という歴史をどのように受け取り、地域における新たな公共文化施設としてどのような態度を表明すべきかを展覧会というかたちを借りて模索する試みであった。
この展覧会の大きな特徴に、「つくる」と「みせる」の二会期による構成がある。
「つくる」は、試行錯誤する制作過程を公開し共有する場だ。作品・資料の保存収集や管理と展示公開が主要な活動となる美術館や博物館とは異なり、人々が活動をつくる現場である文化創造館では「つくる」をひらくことにこそ意義がある。つくる現場なので非決定や未解決に溢れる日々で、この期間の全体像は見えづらかったと思う。しかし、つくる環境としてのこの場所の可能性を探求するうえで意義ある日々であった。
そして「みせる」では、「生活と表現が交わる広場としての展覧会」という側面を強く打ち出した。他者と議論を交わすアゴラ、友人とお茶をのみピクニックを楽しむ公園、または酒を交わし対話を重ねるパブ、ときには俗世の雑事から逃れるアジールなど、ヘテロトピアと言えるような様々な人が自由に居られる広場のような展覧会。