SHARE 藤木隆明による”Aqua-scape”
藤木隆明によるセルフビルドの実験建築”Aqua-scape”です。この作品はイギリスのbeamギャラリーで2009年8月28日まで展示されています。
以下、建築家によるテキストです。
Aqua-scapeとは、水のように柔らかく不定形でクラゲのように骨の無い建築を目指して、全てをプラスチック素材のみを用いてセルフビルドした実 験建築です。折り紙のように、一枚のシートを折り曲げたときにできる形で構成されています。この作品は、The AR Award for Emerging Architecture 2006に入選し、ドイツの建築誌DETAILの2008年5月号の表紙を飾るなど、国内外、特に海外の雑誌メディアに多数掲載されました。これらをきっかけとして今回イギリスに招かれたのを機に、新たにAqua-scape The Orangery versionを制作しました。工学院大学藤木研究室の学生とともに、丸1年という歳月をかけて完成させたものです。2006年につくったfirst versionは水の上に浮かべましたが、今回は緑の芝生の上に浮かんでいます。first versionが骨の無いクラゲだとすれば、新versionは透明なソフトシェルの殻にくるまれた甘エビといったところです。ポリカーボネートと中空ファイバー状のポリエチレン・クッション材のダブルスキンで構成されています。これにより、前回よりも軽く、かつ構造的に安定し、透明感が増しました。
この他、Solar,Air,Water,Ground,Auroraという5つのカテゴリーに分け、「Plant=Architecture」などの国際コンペ1等案や「Breathing Envelope」(藤木研究室)、佐藤由紀子と恊働した実施作品(F.A.D.S)を含めた建築プロジェクトも数多く展示しています。これらは全て、「自然」により近づく事を目指しているため、Nature-oriented Architecture(自然指向型建築)と名付けました。なお、展覧会の開催にあたっては、グレイトブリテン・ササカワ財団をはじめとする多くの日英基金、アート・カウンシルからご支援をいただきました。
藤木 隆明(F.A.D.S共同主宰、工学院大学教授)