SHARE 特集”ミラー&マランタ”、アーラウの市場のためのホール / 1996-2002
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以下、建築家によるテキストです。
この計画は、アーラウの旧市街地における内側と外側のリング状の壁の間で、細長い路地の一角を占めている広場にある市場のためのホールである。この辺りはグラーベンからシュルタイッセンホーフリへと抜けるとても人通りの多いところである。この北に向かって広がっている歪んだ通りの空間は、新しい建物によって多様な空間に変化している。門と門の間は、北東に向かって建物によって閉じられ、この建物の前庭となっている。しかし、グラーベンから旧市街の中心への抜け道は、新しいファサードによって依然として保たれている。ホールそれ自体は、都市の有機的なかたちをなぞるような外形を持ち、二つのリング状の壁にそって両側に通り道を作っている。裏側には、通行人が表の活動から少し距離を置いて休憩したりリラックスしたりできるように、木が植えられた小さな広場のための空間を残している。
この新しいホールは、たくさんの木のリブが道の空間の中で明確に建物のヴォリュームを描いており、それらを建築的なかたちへと昇華している。壁に対して鈍角の位置から建物を見ると、その細くて高い柱が建物の表面をひとつにして閉じられたものとして見える。一方でファサードに対して垂直に見てみると、ホールの中を視線が抜けるようになっている。
同時に、内側から見たときには、この構造体は屋根のある広場の覆いとなり、それが内部空間となる。中心にある柱は内部空間を支配していて、その強い存在感ゆえに特別なアクセントになっている。その空間的および建設においてのアイデアとしての重要性において、この柱は実質的に設計の中心的な要素となっている。素材はモミの木で、銅の顔料を混ぜた油によって塗装されている。その効果によって、旧市街地という場所に対してより強く順応しながらこの構造体は保護されている。また同時に、そのメタリックな色によっていろいろな角度から見たときに虹色に輝く効果を生み、より堂々とした印象を与える。
そのデザインにおいて、このマーケットホールは我々がなじみ深い穀物地帯や軍需工場のような中世の空間を思い起こさせる。それでもなお、この建物は都市の有機的な構造の中で現代的な表現を持っているのだ。(翻訳:伊藤達信)
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