OMA / レム・コールハース+デイヴィッド・ジャーノッテンによる、台湾の「台北パフォーミングアーツセンター」の新しい動画です。写真やテキストは特集記事としてこちらのページに掲載しています。
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OMA / レム・コールハース+デイヴィッド・ジャーノッテンによる台湾の「台北パフォーミングアーツセンター」
約14年の歳月を経て完成した舞台芸術の為の施設です。中央のキューブに球や直方体の形をした3つの劇場が貫入した構成が特徴となっています。また、“パブリック・ループ”が市民を内部に招き入れ様々な体験を提供します。
こちらは建築家によるリリーステキストの翻訳
OMA / レム・コールハース+デイヴィッド・ジャーノッテンによる台湾の「台北パフォーミングアーツセンター」が開館
OMAが設計した台湾の台北パフォーミングアーツセンターが一般公開されました。レム・コールハースとデイヴィッド・ジャーノッテンの共同プロジェクトは、台北の活気ある士林夜市に位置しています。文化的生活者と一般市民が舞台芸術の新たな可能性を探り、劇場のさまざまな側面を体験できる場となっています。
コンパクトでフレキシブルな建物は、中央のキューブに差し込まれた球状の800席のグローブ・プレイハウス、1500席のグランド・シアター、800席のブルー・ボックスで構成されています。このキューブには、3つの劇場のステージ、バックステージ、サポートスペースが収容されており、グランドシアターとブルーボックスを連結してスーパーシアターにすることで、ファクトリー品質のマッシブな空間で、思いがけない演出が可能になりました。グローブ・プレイハウスは独特のプロセニアムを持ち、ステージ・フレーミングの実験的な試みも可能です。不透明なファサードを持つ劇場の観客席は、波板ガラスで覆われ、アニメーションと照明が施された中央のキューブに対して、神秘的な要素としてドッキングしているように見えるます。
中央のキューブは地面から持ち上げられ、景観の良い広場になります。そこから「パブリックループ」が通っています。それは、通常は見えない舞台芸術制作のためのインフラやスペース、3つの劇場の内部を見渡せるポータルウィンドウを開けた場所です。
OMAの創立パートナー、レム・コールハースは言います。
「コンペティションのために初めて台北を訪れたとき、実験意欲の旺盛な都市であると感じました。この建物は、その発見に対する答えです。伝統的な3つの劇場を統合し、演劇人にまったく新しいスペクタクルやパフォーマンスを生み出す機会を提供するものです。都市、協力者、建築家の知識、創造性、忍耐力によって初めて可能になったパフォーミングアーツセンターの実現に携われたことを、私たちは誇りに思います」

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2022/8/1-8/7)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- スノヘッタのデザインアーキテクトによる、東京・渋谷区の複合施設「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」。現在の東急百貨店の場所に2027年の開業を目指し計画。都市が持つ現代と伝統の二面性を表現する建築を志向。エグゼクティブアーキテクトとして日建設計と東急設計コンサルタントが参画
- 渡辺裕貴+鹿内健 / Sデザインファームによる、東京・大田区の住宅「村越邸」。人通りがあり浸水予測される五角形角地に計画。状況への対応と生活の豊かさを求めて、“開かれた車庫”の上に吹抜から採光する“閉ざされた居間”が重なる構成を考案。これからの都市型住宅の在り方も追求
- マイケル・シプケンス+エステバン・オチョガビア / OSOによる、神奈川・鎌倉市の住宅「K HOUSE」。線路沿いの住宅密集地に計画。地域本来の暮らしの復元と騒音等への対応を目指し、“スカイライト”の採光と傾斜屋根を組み合わせて多様で落ち着いた空間を構築。建物の形状は周囲の景観との呼応も意図
- 建築家の平田晃久と板坂留五が参加したシンポジウム「建築家の夢のタイル」の動画が、LIXILのサイトで期間限定で無料配信。其々が考案したオリジナルタイルの詳細な背景や思想に加え、建築や都市への展開の可能性も語られる
- 深江康之建築設計事務所による、大阪市の「淡路幼稚園」。増改築された園舎の建替計画。園児が居場所を認識でき季節や時間を感じる空間を目指し、廊下を軸にした諸室の配置と光や視線が抜ける構成を考案。建ち方は周囲の密集した状況の緩和も意図
- 照井洋平+湯山皓 / I INによる、大阪・北区の店舗「BLUE BOTTLE COFFEE UMEDA CHAYAMACHI CAFE」。企業の大阪初の店舗。地域へのブランドメッセージの簡明な伝達を目指し、ロゴを参照した青色ガラスのテーブルを考案し空間に配置。上階等では他分野の創作者とコラボして独自の体験も提供
- 久保秀朗+都島有美 / 久保都島建築設計事務所による、東京・渋谷区の飲食店「阡寿」。会員制寿司店の内装計画。五感を研ぎ澄ませ料理を楽しむ体験を目指し、暗さによって視覚情報を減らし距離感をぼかした“水墨画のような”空間を考案。茶室の様な動線を用意し高揚感も生み出す
- 川西康之 / イチバンセンによる、静岡の、障がい者支援施設「インマヌエル」。“自立する福祉”を志す施設の移転新築計画。理念の空間化と利用者の快適性を求め、既存状況を引継ぐと同時に“声なき声”を分析して“居場所の選択肢”を作る設計を志向。地域からも必要とされる空間も目指す
- 片田友樹 / micelleによる、鹿児島の宿泊施設「KOTOBUKI HOTEL」。既存建物を改修増築したビジネスホテル。観光資源の役割と新規性の提供を目指し、既存の横に特徴的形態の別棟が隙間を開けて並ぶ構成を考案。内部でも“隙間”を意識し多様な背景の人や物の受容も意図
- 東京大学今井公太郎研究室による、移動式シェルター「PENTA-HARD」。3Dプリントのアルミ製仕口を用いた建築。安価・軽量・自由を目標とし、専門性と情報量が集中する“仕口”を個別の形が作れる3Dプリントに置換して特殊技術から解放。その他部材は標準化し互換性と簡易性も実現
- 玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 第8回「小屋の佇まい ─── 堂々とした小屋」
- 佐藤可士和 / SAMURAIによる、東京・渋谷区の店舗「くら寿司原宿」。Z世代へ向けたグローバル旗艦店。東京ポップカルチャーと日本伝統文化の発信を目指し、“世界一映える寿司屋”をテーマにSNSでの拡散を意図した場を多数考案。新たな食体験の提示も意図
- 渡邉圭+山梨綾菜 / flat class architectsによる、群馬の「前橋の住宅」。 様々な世代が訪れる公園の前に計画。自由な振舞が併存する“公園のおおらかさ”の引込を求め、様々な高さの床の繋がりが生活の関係を作る構成を考案。開口の操作で“私”を守りつつ公園とも連続
- 古家俊介 / DESIGN NETWORK ASSOCIATESのランドスケープデザインによる、山口の「梅光学院大学」。新校舎に併設されたオープンスペース。建物内の魅力的風景が連続的に屋外に広がる状況を目指し、建築のグリッドを骨格として共有し拡張する設計を志向。適材適所の素材遣いで様々な用途にも応える
- SO-ILによる、アメリカ・ニューヨークのアート施設「Amant」。3区画に渡るスタジオやギャラリーとカフェ等の施設。分散した建物は都市の文脈と連続し、小道が街区を貫き人々を誘い込むと共に交流を促進。多様な展示空間を備え作家の要望にも応える
- 小原綾子建築設計室による、大阪の「枚方の家」。子育てと勤労生活を終えた夫婦の為に計画。自然を愉しむ暮らしの要望に、敷地の手前と奥に庭を配置して“外に抜ける軸”を持ったひと繋がりの空間を考案。白の仕上げで外の移り変わる色を取り込む
- 仙田満の環境デザイン研究所が、新石川県立図書館設計プロポで、設計候補者に選定
- 末光弘和+末光陽子 / SUEP.と猪熊純の対談「グリーンシェアリングが生み出す新しいコミュニティの形」がオンラインとリアルで開催。主催はリビングデザインセンターOZONE、参加費無料、要事前登録
- 青木淳による、槇文彦の『新建築』に掲載された「変貌する建築家の生態」を受けて公開したテキスト
- 菱沼健太建築設計事務所による、神奈川・横浜市のダンススタジオ「En Dance Studio Yokohama」。地階の光庭に面した区画に計画。道行く人が覗いてしまう様な空間を目指して、ガラス張りのメインスタジオを街路側に配置。サステイナブルも意識して再生パレットや真鍮素材を空間に使用


スノヘッタのデザインアーキテクトによる、東京・渋谷区の複合施設「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」です。
現在の東急百貨店の場所に2027年の開業を目指し計画されています。建築家は、都市が持つ現代と伝統の二面性を表現する建築を志向しました。また、エグゼクティブアーキテクトとして日建設計と東急設計コンサルタントが参画しています。
こちらは建築家によるリリーステキストの翻訳
スノヘッタが描く東京の新たなランドマーク
スノヘッタは、東京急行電鉄、L・キャタルトン・リアルエステート、東急百貨店のために、日本におけるこれまでで最大のプロジェクトである新しい渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトを設計しています。この117,000m2の複合施設は、Bunkamuraの文化施設を含み、東京の活気ある渋谷地区で、高品質の店舗、現代的な高級ホテル、賃貸住宅、そして芸術や文化体験が提供される予定です。このプロジェクトは、可能な限り高い持続可能性評価を得ることを目指し、2027年度の完成を予定しています。
東京という都市は、現代性と伝統の二面性を持っています。東京は、伝統と現代が交錯する街であり、対照的でありながら調和する街です。渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトは、そのような街のイメージを表現しながら、渋谷駅ハチ公前の渋谷交差点や大型スクリーンで知られる、有名で活気のある街の新しいヴィジョンを描き出すことを意図しています。
現在、東急百貨店の旗艦店があるこの場所は、落ち着いた高級住宅街である松濤、文化的な街である神山町や富ヶ谷、そして活気ある渋谷の街が交差する、非常に目立つ場所にあります。エネルギーと静けさが融合する渋谷の端に位置するこのプロジェクトは、東京の新しい「アーバンリトリート」、つまり都会の喧騒の中にある安らぎとくつろぎのサンクチュアリを目指します。主な特徴は、プロジェクトの中心をなす活気あふれるアトリウム「ザ・ハイブ」、緑豊かなルーフテラスでくつろげる癒しの空間「ザ・サンクチュアリ」などが挙げられます。
伝統を重んじつつ、未来を見据えたデザイン
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトは、東京の新しいランドマークとなることを目指しています。街や周辺地域と水平につながりながら、空に向かって垂直に伸びていく。建物は、遠く富士山の裾野に敬意を表し、地上から階段状に立ち上がる地形として設計されています。また、日本古来の建築手法であるセラミックファサードを採用し、伝統と未来との結びつきを強めています。
スノヘッタ香港のパートナー兼マネージングディレクターであるロバート・グリーンウッドは語ります。
「このプロジェクトは、世界で最もエキサイティングな都市の一つである、有名で歴史的に重要なエリアにおいて、伝統に敬意を表し、かつ将来を見据えたものとなっています」
「私たちは未来に向けたデザインを目指し、最も持続可能な解決策を見出すことで、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという日本の目標に貢献したいと考えています」
グリーンウッドは、このようにも語っています。
「ランドマークとランドフォルムを組み合わせたハイブリッドな都市開発で、渋谷と松濤をつなぐ、街と街の架け橋となる24時間の新しいヴィジョンを描きました。デザインは、水平な地上面から垂直なスカイラインへと、このエリアのエネルギーを一挙に象徴するようなジェスチャーとして形成されています。それは、伝統とモダンが同居する東京の二面性へのオマージュです」
渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトでは、スノヘッタは可能な限り高いサステナビリティ評価を獲得する予定です。


“しなやかな構造”をテーマに、公共から民間まで大小様々な建築を手掛ける「NKS2 architects」の、設計スタッフ(既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
NKS2 architectsでは、設計スタッフを募集します。
NKS2 architectsは、末廣香織・末廣宣子・佐藤寛之の3名のパートナーと、4名のスタッフ(2022年7月現在)からなる建築設計事務所です。
1995年の設立以来、特徴ある個人住宅を始め、民間オフィス、クリニック、公共の庁舎や学校、保育園、客船ターミナルなど、大小様々な建物を実現してきました。どれも、しなやかに機能する構造を持った楽しい建物を目指しています。
建築、都市デザインは、表層的なファッションでもなければ、単なる技術でもありません。良いデザインとは、建物の種類やコストにかかわらず、建築単体の価値ばかりでなく、街の環境をも高め、そこで暮らす人々の生活を豊かにするものだと私達は信じています。
当事務所は2020年より佐藤寛之をパートナーに迎え、若い力をとりこんで仕事を進めています。
今まで培いストックしてきた実績から、さらなる飛躍を試みているところです。またSUZAKI-KOEN STUDIOと称して、福岡の中心部で自社も入居するシェアオフィスを運営し、そこに入居する若い事務所と一緒にプロポーザルに参加したり、ゲストを呼んでイベントを開催するなど、幅広く活動を行っています。
新しいスタッフも一年目から担当プロジェクトを持って、企画・基本設計・実施設計・現場監理まで、主体的に仕事に関わってもらいます。一緒に考えて、提案し、実現したいと思うやる気のある方を求めています。興味のある方はぜひお問い合わせください。



佐藤可士和 / SAMURAIによる、東京・渋谷区の店舗「くら寿司原宿」です。
Z世代へ向けたグローバル旗艦店です。デザイナーは、東京ポップカルチャーと日本伝統文化の発信を目指し、“世界一映える寿司屋”をテーマにSNSでの拡散を意図した場を多数考案しました。また、新たな食体験の提示も意図されました。店舗の公式サイトはこちら。
Z世代に向けたくら寿司のグローバル旗艦店。
「世界一映える寿司屋」をコンセプトに東京ポップカルチャー×日本の伝統文化を世界に向けて原宿から発信する。
クロームメッキ仕上げのDJブースのようなスイーツ屋台、マルチカラーに変化する提灯ウォール、ポップなロゴウォール、巨大浮世絵などSNSで拡散されるポイントを多数用意し、伝統と革新を融合した新たな食体験の場をブランドとして提示した。



菱沼健太建築設計事務所が設計した、神奈川・横浜市のダンススタジオ「En Dance Studio Yokohama」です。
地階の光庭に面した区画に計画されました。建築家は、道行く人が覗いてしまう様な空間を目指して、ガラス張りのメインスタジオを街路側に配置しました。また、サステイナブルも意識して再生パレットや真鍮素材を空間に使用しています。施設の公式サイトはこちら。
本計画は横浜馬車道駅近く、横浜港に注ぐ大岡川沿いに位置するEn Dance Studioによるダンススタジオの内装計画である。
地下1階でありながら明るい光庭と大きな開口部があるので地上からも覗き込めば室内の雰囲気を感じられるのが特徴であった。
光庭を通して見える場所にメインスタジオを配置し、ダンスと少し聞こえてくる音楽をきっかけに、通りの人が覗いてしまうような空間にすることを意識して計画した。
また、今回はダンススタジオとしてサスティナブルを意識して取り組んでいる。
具体的にはリサイクル率の高い木材やリサイクル素材を積極的に用いたり、再生パレットをベンチやテーブルに使用した。




片田友樹 / micelleが設計した、鹿児島・鹿屋市の、宿泊施設「KOTOBUKI HOTEL」です。
既存建物を改修増築したビジネスホテルです。建築家は、観光資源の役割と新規性の提供を目指し、既存の横に特徴的形態の別棟が隙間を開けて並ぶ構成を考案しました。また、内部でも“隙間”を意識し多様な背景の人や物の受容も意図しました。本作品は以前掲載した、同設計者による「KOTOBUKI cheese factory」に隣接した敷地に建つ建築です。施設の公式サイトはこちら。
日本南端の半島の中心都市、鹿屋市のビジネスホテル。
低予算の中、現状必要なビジネスホテルを作ることで、虫食い状に空き地が目立ったこの街に足りない観光資源のきっかけになることをことを考えた。
そこで裏の駐車場も敷地として取得してもらい、既存建築物を壊さずに、増築棟を建てて必要床面積を確保することとした。
この増築によって、少しでも街の空き地が減り、食育の充実のために隣の敷地にある弊社が設計したチーズ工場やその隣にある既存のレストランの3施設4棟の建物が集まった小さな街並みができあがり、歩行者スケールの動きや、イベントなどの活気が生まれた。
地元が求める新奇性を含めるために、既存棟にくっついた増築ではなく、路地でも中庭でもない、ただの隙間、inbetween space(有限の空)を挟んで増築し、雰囲気の違う建物が寄り添うような立面とした。加えて、増築棟の階高を既存棟とは変え、さらには全体形を歪めて単純な四角い空間ではなくし、この空間に図としての性質も持たせた。


“建築をつくる人を、笑顔にする”をミッションに、建築業界のDXを推進する「株式会社AMDlab」の、【募集職種】募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
AMDlabは、この度、更なる事業拡大のため正社員を募集します。
弊社は、「建築をつくる人を、笑顔にする」をミッションに掲げ、建築業界のDXを推進しています。ITコンサルティングやシステム・ツール開発、教育事業、建築設計と幅広く事業を展開しています。
弊社メンバーに加わっていただけると…
・ソリューションの提案から実装まで一貫して行うため、納得して業務を遂行できます。
・様々なご要望を叶えるため、挑戦的な課題も多く、業界の最先端を学べます。
・受託開発だけではなく、自社サービスも開発しているため、多様な経験を積むことが可能です。
・一級建築士事務所でもあるので、開発の他に実際の建築設計にも挑戦できます。
・建築関係の方だけではなく、WebエンジニアやUI/UXデザイナーなどたくさんの個性が集まっているため、刺激を受けながら成長できます。少しでもご興味があればご応募ください。
まずは話を聞きたいという方も歓迎します。

建築家でありアトリエ・ワンのパートナーを務める玉井洋一は、日常の中にひっそりと存在する建築物に注目しSNSに投稿してきた。それは、誰に頼まれたわけでもなく、半ばライフワーク的に続けられてきた。一見すると写真と短い文章が掲載される何気ない投稿であるが、そこには、観察し、解釈し、文章化し他者に伝える、という建築家に求められる技術が凝縮されている。本連載ではそのアーカイブの中から、アーキテクチャーフォトがセレクトした投稿を玉井がリライトしたものを掲載する。何気ない風景から気づきを引き出し意味づける玉井の姿勢は、建築に関わる誰にとっても学びとなるはずだ。
(アーキテクチャーフォト編集部)
小屋の佇まい ─── 堂々とした小屋

日光東照宮にあった駐車場の詰所。
詰所といえば、駐車場の片隅にこじんまりと建つプレハブ小屋を想像するかもしれない。しかし、日光は世界遺産でもある観光地だけあって、詰所の佇まいにどこか威厳が感じられた。低コストで最小限でつくられるはずの詰所がそのような雰囲気を持ったのはなぜか。そこに至った経緯や建築への現れ方について考察した。
考察①、たくさんの車を捌くために入口と出口を詰所の左右で分けたこと。
それによって詰所の周りに空地ができて独立性が高まった。
考察②、左右の窓口の上部に雨避けの庇を出すことでT型の立面にしたこと。
詰所は遠くからでも認識しやすい対称性のある立面となった。
考察③、観光用の大型バスに対応して屋根を高くしたこと。
大型バスの車高は3.8m以下と制限があるため、屋根高さはそれを超えるように4m程度となった。結果的に詰所は平屋だけど背の高い立面となった。
考察④、屋根に降った雨水を詰所の裏側に集約して排水するために折半屋根をうしろに反らせたこと。
そうすることで屋根に力強さが加わり、軒天に反復するラインが道路側に美しく現れた。

SHARE 建築家の平田晃久と板坂留五が参加したシンポジウム「建築家の夢のタイル」の動画が、LIXILのサイトで期間限定で無料配信。其々が考案したオリジナルタイルの詳細な背景や思想に加え、建築や都市への展開の可能性も語られる
- 日程
- 2022年8月1日(月)–8月31日(水)

建築家の平田晃久と板坂留五が参加したシンポジウム「建築家の夢のタイル──新しい風景をつくるエレメントを創作せよ」が、LIXILのサイトで期間限定で無料配信されています。其々が考案したオリジナルタイルの詳細な背景や思想に加え、建築や都市への展開の可能性も語られています。公開期間は、2022年8月31日(水)まで。また、本記事では、平田と板坂が考案したオリジナルタイルの写真も掲載します。【ap・ad】
建築家の夢のタイル──新しい風景をつくるエレメントを創作せよ
平田晃久(建築家)×板坂留五(建築家)『新建築住宅特集』とLIXILは、これまで協働し、住宅のエレメントを考え直す企画として、その機能だけではなく、それぞれのエレメントがどのように住宅や都市や社会に影響をもたらしてきたのかを探り、さまざまな記事を掲載してきました。
2022年4月12日は日本で「タイル」という名称に統一されてから、ちょうど100年目。
それを記念した企画として、気鋭の建築家2人にこれからの住宅・建築・都市を踏まえた夢のタイルを構想いただき、実際にLIXILやきもの工房により制作をし、その経緯を「新建築住宅特集」2022年4月号に掲載いたしました。本動画は、その内容を踏まえ、新建築住宅特集 編集長の西牧氏を司会に、既存概念にとらわれず可能性を模索した「夢のタイル」制作のプロセスと共に、その思想とかたち、これからの建築などについていお二人にお話いただいた内容を収録したものです。
(2022年6月22日 INAXライブミュージアムにて収録)



MVRDVが設計して建設が始まった、アルバニア・ティラナの複合ビル「スカンデルベグ・ビルディング」
低層部に店舗やオフィスが高層部に住戸が入る計画です。建築家は、都市の個性の表現を目指して、国の英雄“スカンデルベグ”の胸像を抽象化した建築を考案しました。また、カーブしたバルコニーは住戸の合理性にも貢献します。
こちらはリリーステキストの翻訳です
MVRDV、アルバニアの国民的英雄の胸像をかたどった複合ビルを設計
高さ85メートル、アルバニアの国民的英雄の胸像の形をした、造形的な彫刻を兼ねた世界最大級のビルとなるMVRDVの複合施設「スカンデルベグ・ビルディング(正式名称:ティラナズ・ロック)」の建設が始まりました。アルバニアの首都の中心であるスカンデルベグ広場の象徴的なランドマークとなるこの建物は、スカンデルベグの頭部の形をしたカーブしたバルコニーに包まれ、この国の文化の歴史を祝い、同化させ、他の首都にはないティラナ独自のアイデンティティを与えることでしょう。同時に、そのドラマチックな様相の裏側には、ティラナで最も魅力的な立地に、デザイン性に優れた機能的な住宅が提供されています。
ジェルジ・カストリオティ(1405-1468)は、スカンデルベグの名前でより知られいる、アルバニアの歴史における中心人物であり、国民国家としての成立に重要な役割を果たした人物です。アルバニアの国民的英雄であり、ティラナの中心部にある広場「スカンデルベグ広場」や「スカンデルベグ記念碑」などで崇め奉られています。
広場の北東角に位置する、MVRDVによる投資家ANA sh.p.k. とVI&VI sh.p.k.の為のデザインは、彼の存在を全く新しいレベルにまで高めています。ストリートレベルでは、建物はぎこちない敷地をギリギリまで埋め尽くし、スカンデルベグの頭部はこの最大許容ボリュームから大理石の胸像のように「彫刻」されたものです。肩は敷地の最も広い部分と一致し、頭は右を向き、彼の名を冠した広場に面しています。
鼻や耳、ひげなどの顔のディテールを曲線的な突起で表現し、建物全体を各階で囲むバルコニーを利用することで、この特異な外観を実現しています。このバルコニーによって、建物内部はより合理的な間取りとなり、居住者にとっては貴重な日陰の屋外空間が大幅に確保されることになります。その結果、見る角度によっては、建物の形状を理解するために二度見されるような微妙な効果をもたらしています。この表現方法は、共産主義後のルネッサンスとしてアートと建築を融合させる伝統のある都市に、違和感なく溶け込んでいます。
内部には1層の商業施設と4層のオフィスがあり、「胸部」の底にある奥行きのある間取りに対応できるようなプログラムになっています。その上には、20階建ての住居が「頭」を埋めるように配置されており、不規則な形状の建物でありながら機能的な住宅となるよう、個々の間取りには特別な配慮がなされています。
MVRDVの創立パートナーであるヴィニー・マースは言います。
「最近、世界中の都市が互いに似通ってきています。私はいつも、それに抵抗して、それぞれの個性を見つけ、それを強調するように勧めています」
「私にとって、このスカネルベグ・ビルはまさにそのための機会です。アルバニア建築の既存の要素に新たな意味をもたらすものです。アルバニアがEUに加盟するための交渉を始めるにあたり、このようなプロジェクトは、ヨーロッパ・プロジェクトの一部です。多くの国家からなる統一ヨーロッパにおいて、アルバニアの歴史、特徴、存在を強調するものです」



古家俊介 / DESIGN NETWORK ASSOCIATESがランドスケープデザインを手掛けた、山口・下関市の「梅光学院大学」です。
新校舎に併設されたオープンスペースです。デザイナーは、建物内の魅力的風景が連続的に屋外に広がる状況を目指し、建築のグリッドを骨格として共有し拡張する設計を志向しました。そして、適材適所の素材遣いで様々な用途にも応える事を意図しました。建築本体の設計は、小堀哲夫建築設計事務所が手掛けています。クライアントの公式サイトはこちら。
セントラルパークは建築家・小堀哲夫氏設計による新校舎CROSSLIGHTに併設するキャンパスのオープンスペースである。
学生、教職員のための憩いや活動スペース、学園祭などのイベントを行える多目的スペースとして利用できる場所として計画することが求められた。
CROSSLIGHTは、“交流のグリッド”と呼ばれる既存のグリッドに対して45度回転した新しいグリッドを軸に、空間が構成されている。“交流のグリッド”によって動線や視線が三次元的に交わり、CROSSLIGT内部では様々な活動や交流が生まれている。その魅力的な室内風景が連続的に屋外にも広がっているようなセントラルパークを計画したいと考えた。
交流のグリッドはCROSSLIGHTとセントラルパークとが共有する“骨格”として位置付け、交流のグリッドをセントラルパークにも拡張した。
拡張された交流のグリッドを軸に、セントラルパーク全体の計画を行った。
“骨格”であるグリッドには一人でも複数人でも滞在しやすいベンチ、雨水排水のための側溝、スケボー対策のために表面に凹凸を持たせた石張りといった機能を付加し、グリッド内部は使い方や用途に応じたマテリアルを当てはめた。




川西康之 / イチバンセンが設計した、静岡・駿東郡の、障がい者支援施設「富士山デザインハウス・インマヌエル」です。
“自立する福祉”を志す施設の移転新築計画です。建築家は、理念の空間化と利用者の快適性を求め、既存状況を引継ぐと同時に“声なき声”を分析して“居場所の選択肢”を作る設計を志向しました。また、地域からも必要とされる空間も目指しました。
社会福祉法人婦人の園が運営する障害者支援施設インマヌエル(以下インマヌエル)は1982年(昭和57年)に入所型の障害者支援施設として、富士山麓の静岡県小山町大御神(おおみか)に開設された。社会福祉法人婦人の園は東京・大森にある大森福興教会の牧師が初代理事長を務め、その経緯から主に東京都民の障害者(以下、利用者)が入所する施設でありながら静岡県内に位置し、長いあいだ地域社会との交流を模索し続けてきた。
21世紀に入り、現在の新東名高速道路の建設計画が具体化し、既存施設が高速道路建設の事業用地となり、移転が迫られることになった。
事業主である社会福祉法人婦人の園にとって、高速道路建設に伴う移転・新築は築40年近くが経過して老朽化した施設を現行法令に従って更新できる千載一遇の機会である。しかしながら、新しい環境に馴染むことが困難な利用者も多いため、既存施設の雰囲気・機能・支援員のオペレーションを最大限に引き継ぎつつ、安全で快適な空間であることが望まれた。
インマヌエルの特性として、可能な限り男女を分け隔てなく過ごせること(安全への配慮から男女を完全に分離している施設も多い)、朝昼晩の食事は利用者・スタッフ全員が同時にひとつの部屋で食べること、があった。これは「施設ではなく家」という理事長の信念であった。
私たちイチバンセンはあらゆるプロジェクトにおいて、可能な限りユーザーの「声なき声」「見えないニーズ」を分析し、計画・設計に反映させることにしている。今回もすべての利用者・保護者・スタッフたちと30回以上もの直接対話・ワークショップを重ねて、設計に反映させた。その対話の中から導かれた最優先事項は「利用者の居場所の選択肢を増やす」ことだった。パブリックとプライベートの境界線を作ることが大きなテーマであった。




深江康之建築設計事務所が設計した、大阪市の「幼保連携型認定こども園 淡路幼稚園」です。
増改築された園舎の建替計画です。建築家は、園児が居場所を認識でき季節や時間を感じる空間を目指し、廊下を軸にした諸室の配置と光や視線が抜ける構成を考案しました。また、建ち方は周囲の密集した状況の緩和も意図されました。
大阪市東淀川区東淡路。多様に交差する路線の高架化や駅周辺の再開発事業を背にし、住宅密集地に建つ認定こども園。
昭和2年よりこの地で幼稚園を開園し増改築を繰り返し行ってきた4階建て既存園舎の老朽化に伴い、また105名を受け入れる「幼保連携型認定こども園」への移行として建て替える事になった。旧園舎は増改築の跡が色濃く残り、自分の立ち位置(園児の行動範囲)を見失いそうな空間に構築されていた。長い年月の間に土地区画の変更もあり、西側の隣地境界は旧園舎の外壁面まで後退し、隣家と旧園舎とが緊密な状態で背を合わす状態だった。そこには光も風も届かず、滑り込む雨水が残り、不快さがあった。
園児たちが、方向性(方位と時間と季節と建築の形式)を素直に感じ取れる空間づくりと、複雑な様式の場で保育を行っていた既存園舎と周辺との関係性から、整った形式で園舎をスケールダウンさせる手法をとり、建築が在ることで密集地の濃度の緩和を能動的に目指した。
中央に長く視線が外部まで広がる廊下を軸として、立ち位置や整った方向性を園児たちへ示しながら園庭側に保育室、遊戯室を配置した。2階の3~5歳児保育室はフロアレベルで庇を伸ばし、園児たちが怖がらず窓辺で過ごせるように内と外の間の中間の領域をつくった。
1階の0~2歳児保育室は、東側の朝日の時間帯に配置しているため、天井までの木製ガラス框戸からの均一な明るさが終日降り注ぐよう計画した。反対に西側は、こども園として必要な諸室やトイレ、子育て支援室を機能的に配置し積層させた。西側開口部からの光は、透過材と中央軸を介し、視覚的に保育室まで届いた。素直に「行動と目線」が広がる空間を内包した園舎となった。



照井洋平+湯山皓 / I INが設計した、大阪・北区の店舗「BLUE BOTTLE COFFEE UMEDA CHAYAMACHI CAFE」です。
企業の大阪初の店舗です。デザイナーは、地域へのブランドメッセージの簡明な伝達を目指し、ロゴを参照した青色ガラスのテーブルを考案し空間に配置しました。また、上階等では他分野の創作者とコラボして独自の体験も提供しています。店舗の公式サイトはこちら。
ブルーボトルコーヒー梅田茶屋町カフェのデザイン。
大阪初の出店ということから、BLUE BOTTLE COFFEEのメッセージ性がわかりやすく伝わる事を考慮した。
街中で突然現れるアイコニックなブルーのロゴ、そのブルーを発見した時の喜びや楽しさを様々な光や素材を用いて表現した。
暖かい木の表情が広がる1階では、明るい光で満たされたドリップステーションが迎える。
そこはコーヒーをつくるバリスタが主役となるステージの様な空間。磨かれたステンレスでつくられたカウンターは堂々とした存在感を放つ。その表面が空間の景色を映しこむことで、コーヒーをつくる側と受け取る側の境界を柔らかいものにしている。
店内各所に用いられる青色の特殊ガラスは、その独特な透明感とともにブランドのアイコン性を表現し、そこに商品が置かれることによってブランドのメッセージをダイレクトに伝えている。
全体が白い素材で囲まれた2階の中央エリアでは、人々の五感を刺激する特別な空間が用意されている。
ここではPanoramatiksによる監修のもとつくられた映像と音楽が流れている。天井から降り注ぐ光と音を浴びながらここで時間を過ごすことによって、時の流れや物の見方を変え、自分自身をリセットするような体験を生み出す。特殊な素材でつくられたベンチには実際に座った人のみが体験できる仕掛けがある。ただの概念ではない、本当に五感が刺激される空間がそこには広がる。