



OMA / 重松象平による、ルイ・ヴィトンのインスタレーションです。
大阪・関西万博のフランス館の中での計画です。建築家は、“愛の讃歌”というテーマの中で、ブランドの伝統的な匠の技を体験できる空間を志向しました。そして、製品のトランクを用いて積層や構成で展示スペースやオブジェを作り出しました。
OMA / 重松象平デザインによるルイ・ヴィトンのインスタレーションが、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のフランス館で公開
2025年大阪・関西万博のフランス館では、OMAがデザインしたルイ・ヴィトンに捧げられた二つの部屋が展示されています。パートナーの重松象平とプロジェクトリーダーのジェシー・カタラーノが主導するこのインスタレーションは、パヴィリオンのテーマ「愛の讃歌」という大きな文脈の中で、ルイ・ヴィトンの伝統的な匠の技を体験できる二つの展示を紹介しています。
「愛の賛歌」は、ロダンの手の彫刻によって象徴される5つの賛歌を織り交ぜています。カテドラル(統合する手)は、ルイ・ヴィトンの伝統的な匠の技への賛歌、そして職人技と常に進化し続ける創造性との永続的なつながりを象徴する存在となっています。
OMAパートナーの重松象平は述べています。「ルイ・ヴィトンの伝統的な匠の技は、時代を超えた伝統と絶え間ない革新の絶妙なバランスです。この二面性を体現するために、私たちはひとつのモジュール、トランクを用いて対照的な二つの空間を創り出しました。ひとつは、開いたトランクを積み重ねて作られた環境であり、もうひとつは、トランクだけで構成された球体をひとつのオブジェとして提示しています。結びつけられた2つの異なる体験は、伝統と変革、アーカイブとアートワーク、図書館と劇場、光と影を対比させています。クラフトマンシップと革新という共通の価値観を持つフランスと日本、二つの文化の対話を広げることに貢献できることを嬉しく思います」
最初の部屋はクラフトのライブラリーであり、ルイ・ヴィトンの技芸の背後にある歴史と「ノウハウ」を保存と共有するだけでなく、その多様性を即座に伝えることを目的としています。創業以来進化を続けてきたルイ・ヴィトンを象徴するクリエーションである84個のワードローブ・トランクが、床から天井まで無限に積み上げられ、部屋全体を包み込んでいます。トランクを開くと、職人や工芸家の映像を展示するために設計されたさまざまな内部構成が現れます。また、IRCAMによって再構成された、メゾンの歴史あるアニエール工房の音風景が現代的な音響の層を加えています。内部から照らされたトランクの積み重ねは、ランタンのように部屋を温かい光で満たします。そして、トランクは入り口の方向に大きく開かれ、空間を進むにつれて徐々に閉じられていくという開放度のグラデーションが、次の部屋へと続く光から夜への繊細な移行を演出します。
伝統的で情報性のある「ライブラリー」空間とは対照的に、2つ目の部屋は旅の精神に捧げられた、現代的でパフォーマティブな空間です。90個のクーリエ・ロジーヌトランクが組み合わされて巨大な球体を形成し、万博でおなじみの象徴を再解釈しています。直径6.6メートル、13トンのこの球体は白いモノグラム・トランクで構成されており、真鍋大度による映像インスタレーションのための空白のキャンバスとなっています。二層吹き抜けの空間を満たすこの球体はモーターで駆動され、回転しながら上下に動き、没入型アートワークと同期しています。これらのインスタレーションは、対比と融合のリズムを生み出し、伝統的な匠の技という唯一無二の精神と、過去と未来を同時に見つめることで生まれるダイナミズムを体験するための2つの視点を提供します。