


井野勇志 / アトリエカムイが設計した、長野・軽井沢町の別荘「銀の家」です。
軽井沢の森の中に佇む別荘。東側は、谷を望む自然豊かな借景に面している。谷を挟んだ対面は、山の斜面中腹で、視線の斜め先には、水力発電所と水路橋のある立地。この恵まれた環境の魅力を活かすために、谷を一つの壁面でなく、パノラマとして二つの壁面でとらえる場を家の核としてつくることで、喧騒から逃れて森の中で過ごす “憩う”という行為の力を最大限に引き出すことを意識して設計をした。
この場に訪れると、別荘地によくある板壁のシンプルな寄棟の表情が出迎え、建築が景観の中に静かに佇んでいることを感じる。雨の日に訪れれば、小波板の屋根材が雨水を分散して、地面にやさしく受け流す姿も見れる。外観が自然景観とともにあることを感じながら、内部に入るとレンガの間から垣間見れるパノラマの窓が目につき、自然とこの窓に引き寄せられ、この場の魅力を感じることになる。このレンガの壁より手前は、水回りや寝室などのプライベート空間でまとめ、構成を明確にすることが、家の核である広間をより大らかで、かつ豊かな空間にしている。