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伊東豊雄に「コロナ時代の日常を生きる一冊」を聞いているインタビュー

伊東豊雄に「コロナ時代の日常を生きる一冊」を聞いているインタビューが、The New York Times Style Magazineに掲載されています。

大西麻貴+百田有希 / o+hが、一般向けにオンラインで行った講演「新しい建築のあり方とは?」の動画

大西麻貴+百田有希 / o+hが、一般向けにオンラインで行った講演「新しい建築のあり方とは?」の動画です。o+hが設計した「マザーハウス立川グリーンスプリングス店」で行われたイベントです。2020年7月2日に行われたもの。

7月2日の生カレッジ、テーマは「建築」です。
新型コロナの影響で、ライフスタイルが大きく変化する
可能性もある今。建築も大きな影響を受けることは
間違いありません。

生き方の変化に対して、「家」や「施設」はどう変わるのか?
建築において、コミュニケーションの変化はどう影響するのか?
建築は、この時代に対して、どんな答えを出していくのか?

若手建築家で最も注目されるユニットのひとつ、
o+h (大西麻貴氏、百田有希氏)と共に、
建築の未来予想の議論をしていきます。

また、今回は、お二人が設計した
マザーハウス立川グリーンスプリングス店から生放送。
実際の建築物に込めた思いを語ってもらいます。

【ap job更新】 株式会社VITが、意匠設計・分譲住宅設計・木造構造設計のスタッフ(正社員)を募集中
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株式会社VITの、意匠設計・分譲住宅設計・木造構造設計のスタッフ(正社員)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

VIT(ヴィット)は「生命」という言葉の語源をもとにした社名です。生命感にあふれる生き生きとした建築を目指しています。弊社はこのような普遍性を追求しています。

現代のクライアントのみならず、「1000年前の人間」と「1000年後の人間」に提示しうるような作品でありたいという気概で取り組んでいます。人間が使うものである以上、建築ジャンルによらず普遍的な価値を見出すことができるはずです。このような理念の元、建築形式を問わずチャレンジして来ました。

現在、小規模住宅から大規模建築物まで多様なプロジェクトが進行しています。少人数での運営なので一人何役もこなすことが日常となっています。弊社はそれらの総合的な力を基礎としつつも、各自の得意な部分を活かしながら切磋琢磨し、共に成長するためのフィールドでもあります。

会社見学をしてみたい、という方もご連絡ください。

小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、京都市の町屋を改修した「京都の週末住宅」
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、京都市の町屋を改修した「京都の週末住宅」 photo©堀越圭晋 / エスエス
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、京都市の町屋を改修した「京都の週末住宅」 photo©堀越圭晋 / エスエス

小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、京都市の町屋を改修した「京都の週末住宅」です。

京都の長屋形式の町屋を改修する計画。

外観は歴史ある京都の“街並みの継承“を大切に考え、左官職人による土壁の塗りなおしと、建具職人による傾いた木製窓枠の気密性の向上という最小限の手入れに留めた。室内は機能を果たしていない腐敗した建材は排除し、断熱性能と遮音性能を向上させた。施主の住まい方に合わせて天窓を設けることで、新たに採光と風通しを獲得している。

現代的な室内の設えは、選定した保存修理をする「柱梁」や「奥庭」の積み重ねた歴史や、そこに込められた美しさをより一層顕著なものにした。

快適性を獲得しながらも昔の記憶を感じることのできる暮らし方を提案した。

建築家によるテキストより
長坂常をはじめ施工とも深くかかわる建築家8名に質問した、建築討論の特集「自炊のように作る、賄いのように作る。ビルドにコミットする建築家たちへの基礎調査」

長坂常をはじめ施工とも深くかかわる建築家8名に質問した、建築討論の特集「自炊のように作る、賄いのように作る。ビルドにコミットする建築家たちへの基礎調査」が公開されています。
質問に回答しているのは、荒木源希家成俊勝岡啓輔佐藤研吾長坂常、山口純、和田寛司

坂茂の設計で建設が進められている、愛知・名古屋市の、木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」
坂茂の設計で建設が進められている、愛知・名古屋市の、木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」

坂茂の設計で建設が進められている、愛知・名古屋市の、木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」です。クライアントの公式サイトはこちら

株式会社タマディック(本社:東京都新宿区/愛知県名古屋市、英文社名:TAMADIC Co.,Ltd.)は、東海エリアの事業拠点である愛知県名古屋市において、新社屋『タマディック名古屋ビル』の建設に着手いたします。当ビルは、プリツカー賞を受賞した建築家・坂 茂(ばん しげる)氏の設計によるCLT(直行集成材)を活用した地上8階・地下1階の木質免震構造オフィスビルになり、2021年11月に竣工予定です。

リリーステキストより
隈研吾のデザイン監修と鹿島建設の設計による、埼玉・所沢市の「角川武蔵野ミュージアム」が8月1日にプレオープン。隈研吾展が開催。
隈研吾のデザイン監修と鹿島建設の設計による、埼玉・所沢市の「角川武蔵野ミュージアム」が8月1日にプレオープン。隈研吾展が開催。 photo©KENSHU SHINTSUBO

隈研吾のデザイン監修と鹿島建設の設計による、埼玉・所沢市の「角川武蔵野ミュージアム」が2020年8月1日にプレオープンします。プレオープン企画として展覧会「隈研吾/大地とつながるアート空間の誕生 ― 石と木の超建築」が開催されます。展示は完全事前予約制で2020年7月15日からでチケットを公式サイトから発売予定との事。

蔵野台地の地殻から隆起したようにダイナミックにそびえたち、見るものを圧倒する多面体の建築。世界的建築家の隈研吾が手掛けた「角川武蔵野ミュージアム」は図書館と美術館と博物館が融合する、他に類のない文化複合施設であり、これまで世界の美術館を多く手がけてきた隈の建築の中でも特に異彩を放っています。

この度、8月1日(土)のプレオープンに合わせて1Fの「グランドギャラリー」及び「マンガ・ラノベ図書館」、さらに2Fのカフェがオープンする予定です。まずは、グランドギャラリーにて開催される角川武蔵野ミュージアム竣工記念展「隈研吾/大地とつながるアート空間の誕生 ― 石と木の超建築」の展示内容や展示方法など、その見どころの概要を、ここにご紹介いたします。

リリーステキストより
様々なアワードを受賞しているデンマークの設計事務所 ヴァンクンステン・アーキテクツに、コミュニティについて聞いているインタビュー動画

様々なアワードを受賞しているデンマークの設計事務所 ヴァンクンステン・アーキテクツ(Vandkunsten Architects)に、コミュニティについて聞いているインタビュー動画です。英語字幕付き。制作はルイジアナ美術館。

“We’ve never neglected the social hierarchy,” say Jens Thomas Arnfred and Søren Nielsen from the prizewinning Vandkunsten Architects. In the video, the two Danish architects talk about the importance of planning in a way that gives the residents “a chance to meet each other and be together about something.”

“We never used the realtor style with cadastres and gardens, and here you can be standoffish.” The architects talk about how they have always tried to make rooms as social as possible, which is in high demand today: “There’s a thirst for community among house buyers.” Though they are clear that they, as architects, can’t decide the community, they can set the stage: “In the plans for our dwellings we try to stimulate the sense of community.” Finally, the two architects criticise the Freetown Christiania for having become the worst petit bourgeois in Copenhagen: “They’re palace owners.”

Vandkunsten Architects is a Danish architecture firm founded in 1970. Their philosophy is designing architecture for people – creating housing “designed for the ways that people live, work, play, and think.” The firm works within the full range of architectural practice – from landscaping and city planning to site plans, urban renewal and renovation of both residential and commercial architecture. Moreover, they often take on projects for institutions with a social or cultural purpose. Projects include the Modern Seaweed House in Læsø and the Blue Corner in Copenhagen’s Christianshavn district. Vandkunsten Architects has received numerous awards such as The Eckersberg Medal (2014), Alvar Aalto Medal (2009), and the Fritz Schumacher Medal (1996). Moreover, they have been nominated five times for the Mies van der Rohe Award. For more see: https://vandkunsten.com/en

【ap job更新】 山﨑壮一建築設計事務所が、スタッフ(新卒・中途)を募集中
【ap job更新】 山﨑壮一建築設計事務所が、スタッフ(新卒・中途)を募集中
【ap job更新】 山﨑壮一建築設計事務所が、スタッフ(新卒・中途)を募集中

山﨑壮一建築設計事務所の、スタッフ(新卒・中途)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

山﨑壮一建築設計事務所は、住宅・ホテル・保育園・幼稚園・店舗・リノベーションなど、様々な建築物の設計業務を行います。スタッフには夫々プロジェクトを担当して頂きますので、設計から現場監理 まで一連の建築の知識を習得できる設計事務所です。

一昨年から、沖縄でのプロジェクトがスタートしました。現在、沖縄県・伊良部島のホテル計画、那覇市の複合施設、の現場を進めています。今後関東圏とともに沖縄地域でのプロジェクトにも力を入れていきます。

ご興味をお持ちの方は、ご応募下さい。

トラフによる、神奈川・横浜の、イソップの新店舗「Aesopニュウマン横浜店」の写真

トラフのウェブサイトに、神奈川・横浜の、イソップの新店舗「Aesopニュウマン横浜店」の写真が15枚掲載されています。

オーストラリアのスキンケアブランドであるイソップの、ニュウマン横浜店の内外装計画。外部と吹き抜けにL型に面する間口7.4m、奥行き16mの空間が計画地となった。

横浜という立地から、海の青をイメージできるよう、藍染めによってそれを表現したいと考えた。そこで、阿波藍の産地、徳島県上板町を拠点に、藍の栽培から染色、製作までを一貫して行っているBUAISOUの協力を得て、木板の藍染めを仕上げとした。樹種はいくつか実験した中で、藍と相性の良いメープルを選んだ。

荒く仕上げられたモルタル床の上を、藍染めされた板の連なる自立した壁が、船体のように緩やかなカーブを描き空間の奥へと続いていく。同じ藍染でも、その日の藍の状態によって染まり具合が異なるため、色は均一にはならず、壁全体に自然のグラデーションが生まれる。さらに2面ある窓から入る外光が、藍染めの表情を刻々と変える。チューブタイプの商品棚は、波型に掘削された集成無垢材を藍染めして製作した。シンクや島什器の側面はステンレスで仕上げ、周りの藍の色を映し込む。

一枚一枚丁寧に藍染めされた板には、画一的な素材には無い素朴さと力強さがある。人の手や自然の力を感じさせるような、おおらかな店舗空間を目指した。

今津康夫 / ninkipen!による、大阪・東大阪市の住宅「house fabricscape」
今津康夫 / ninkipen!による、大阪・東大阪市の住宅「house fabricscape」 photo©河田弘樹 Hiroki Kawata
今津康夫 / ninkipen!による、大阪・東大阪市の住宅「house fabricscape」 photo©河田弘樹 Hiroki Kawata
今津康夫 / ninkipen!による、大阪・東大阪市の住宅「house fabricscape」 photo©河田弘樹 Hiroki Kawata

今津康夫 / ninkipen!が設計した、大阪・東大阪市の住宅「house fabricscape」です。この建築のクライアントは、建築のカーテン等を手掛けることで知られるfabricscapeです。

敷地はかつてアーケードのあった旧商店街に面しているが、すでに屋根は取り去られて多くの店は閉店し3階建の住宅に取って代えられ、歩行者専用の道路標識と店前に残る破けたテントやオーニングが当時の面影を忍ばせているだけだった。

幼少期を近くで過ごし、今はカーテンなど布の意匠計画を生業とするクライアントと、かつての風景と行為を手掛かりとした家とすること、住み暮らしながら破けたそれらを普請していくことを決め、職住一致を基本としたかつての商店街の中へ、どのように新しく参加できるのかを模索した。

まず初めに、旧商店街に面した1階を多目的な土間として町屋のように開き、農業用の布を刺繍した小さなオーニングを出した。さらに軒先から2階の窓を覆うようにより大きく2枚目を垂らし存在感を示し、向かいから道路に越境しながら伸びてくる鮮魚屋のオーニングと共鳴させて場所性強めた。

外壁は周囲の風景に残る押縁下見板張を窯業サイディングを用いて再現し、桁行方向の窓は街並に倣ってプロポーションを決め、手摺を設けている。

建築家によるテキストより
牧野研造建築設計事務所による、京都市の物販店舗「食道具竹上」
牧野研造建築設計事務所による、京都市の物販店舗「食道具竹上」 photo©中島光行
牧野研造建築設計事務所による、京都市の物販店舗「食道具竹上」 photo©中島光行

牧野研造建築設計事務所が設計した、京都市の物販店舗「食道具竹上」です。店舗の公式サイトはこちら

包丁の販売、更生修理を通じて包丁文化、食文化を伝える店舗。道具を介して食文化の豊かさを伝えることを趣旨として、道具の販売にとどまらず、包丁講座や料理教室が開催されるなど、目に見えない価値を伝承する場として運営される。

間口4m、奥行き15.5mの細長い空間の中央に、LABOと呼ばれるボックス状の作業場を配置し、その前後を売り場とキッチンに分けている。LABOでは包丁の刃付けや更生修理、名入れが行われ、来客は、職人の仕事を間近で見ることができる。キッチンでは講座や教室が開催され、道具の使い方を学ぶことができる。

建築家によるテキストより
長野の「松本平広域公園陸上競技場」プロポの二次審査対象者が発表。環境デザイン・林魏・倉橋建築設計共同体、槇総合計画事務所、青木淳・昭和設計共同体の3者。

長野の「松本平広域公園陸上競技場」プロポーザルの二次審査対象者が発表されています。

二次審査対象者(一次審査書類受付順)

○ 環境デザイン・林魏・倉橋建築設計共同体 
○ 株式会社槇総合計画事務所
○ 青木淳・昭和設計共同体

一次審査対象者は以下でした。

一次審査対象者
1 環境デザイン・林魏・倉橋建築設計共同体所
2 久米・内藤廣・E-DESIGN設計共同体
3 株式会社槇総合計画事務所
4 有限会社SANAA事務所
5 株式会社伊東豊雄建築設計事務所
6 環境設計研究所山田建築設計室設計共同体
7 株式会社隈研吾建築都市設計事務所
8 青木淳・昭和設計共同体

一次審査の講評もPDFで公開されています。

小堀哲夫が、自作の解説を通して、オフィスや学校の設計プロセス等を語っているインタビュー

小堀哲夫が、自作の解説を通して、オフィスや学校の設計プロセス等を語っているインタビューが、shigotoba.netに掲載されています。図版もたくさん掲載されています。インタビューの後編はこちらに

谷山直義・植原亮輔・安東陽子らが審査する、受賞作品が商品化の可能性もある「第4回サンゲツ壁紙デザインアワード」が壁紙のデザインを募集中。大賞の賞金は100万円
谷山直義・植原亮輔・安東陽子らが審査する、受賞作品が商品化の可能性もある「第4回サンゲツ壁紙デザインアワード」が壁紙のデザインを募集中。大賞の賞金は100万円サンゲツ壁紙デザインアワード2020ビジュアル。

谷山直義・植原亮輔・安東陽子らが審査する、受賞作品が商品化の可能性もある「第4回サンゲツ壁紙デザインアワード」が壁紙のデザインを募集しています。大賞の賞金は100万円です。WEBエントリー受付は2020年9月18日18:00まで。【ap・ad】

サンゲツは、住宅、商業施設、オフィス、ホテル、医療福祉施設など、さまざまな空間で使われるインテリア素材を提供し、人々が空間をデザインするよろこびをお届けしてきました。
単にインテリア素材を供給するのではなく、人々がそのインテリア素材を使い、デザインし、その空間で楽しみ、安らぎを得ること。それがサンゲツの社会での役割と考え「Joy of Design デザインするよろこびを」をブランドコンセプトに掲げ、豊かな生活文化の創造を目指しています。
その企業活動の一環として、2017年に『サンゲツ壁紙デザインアワード』を立ち上げました。

みなさまの応募作品からまだまだ広がる壁紙の可能性を実感し、今年も『第4回サンゲツ壁紙デザインアワード』を開催します。

[テーマ]
『Joy of Design』
[課 題]
『Joy of Design』をテーマに「壁紙」というプロダクトの特性をふまえ、「誰が何をしてどのように
過ごすための空間か?」を想定し、壁紙をデザインしてください。
壁紙は単体で成立するものではありません。空間に貼られることで、初めて壁紙として成立します。
気持ちが明るくなる病室、心に残るホテル、活発なコミュニケーションが生まれる教室、仕事がはかどるオフィス。壁紙ひとつで、居心地をつくることも、人々の表情を変えることもできます。
壁紙というプロダクト単体ではなく、想定した空間内における意義や効果を考えたうえで、壁紙をデザインし、デザインコンセプトを説明してください。

商品化された過去の受賞作品や審査風景の様子も下記に紹介します。

辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第4回「建築を『つくってもらう』ことの難しさ」
辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第4回「建築を『つくってもらう』ことの難しさ」

建築を「つくってもらう」ことの難しさ

text:辻琢磨

 
つくる人がいて初めて建築が生まれる

ここまで、初回の導入から、判断基準の話、事務所の見せ方の話と続けて紹介してきたが、今回は施工者との関わり方について筆を進めたい。

一般的には、設計者が「施工者」としてやりとりするのは工務店やゼネコンの監督さんであるが、実は、厳密に言えば彼らはつくる人ではない。どういうことか説明しよう。

意図をつくり手に伝えるとした時、設計事務所のボスは、まず現場担当のスタッフに設計意図を伝え、担当スタッフが現場監督さんと話し、監督さんが実際につくる人(各業種のリーダー)に作業内容を伝え、そのリーダーがチームメンバーに伝える、という幾重にも連なる伝言ゲームで工事現場は動いていて、現場監督はその中継人であるということだ。

そしてその伝言ゲームの人数は建築の規模に比して増える。時には自ら汗を流す建築家や監督さんもいるかもしれないが、あくまでも我々設計者の仕事は設計することであり、現場監督の仕事は工程と予算とつくることをコントロールすることである。実際に重たいハーネスを背負いヘルメットを被って汗を流し10時と12時と15時に一服を挟みながら身体を動かすのは職人さんである。現場監督の先にいる彼らの存在を設計者は忘れてはならない。それを前提に、下記読み進めていただければ幸いだ。

 
施工者との理想的な関係とは

建築という複合芸術は、お金と要求を出す施主がいて、空間に置き換える設計者がいて、それを実現する施工者がいて初めて建てることができる。その三者のバランスが、特に「予算」という共通言語で結ばれるからこそ、建築はある種の緊張感を持って立ち上がる。

理想的な関係は、大変理解ある施主が潤沢の予算をこれまた理解ある施工者に預け、設計者が存分にその力量を発揮して名作が生まれる。というものだが、現実にはそのような機会はめったに無い。

施主はできるだけ良い建築をそれに見合う価格で手に入れたい、施工者は効率良く適正な利益を生み出したい、設計者はその間に揺られながらも作品とすべく、見積もりを何度も取って調整を重ね、晴れて着工となるのがほとんどだろう。

 
見積もりの存在意義

僕が独立したての頃は、この「見積もり」というルールが何故存在しているのかよくわからなかったのだが、それこそ渡辺さんに事細かく教えてもらって、どうやって見積もりをコントロールするのかや、見積もりが予定予算より超過した場合の施主対応などについてよくアドバイスをもらっていた。
このエッセイの読者の中にももしかしたら見積もりって何?という人がいるかもしれないので、僕なりに少し説明しておく。

まず、建築家が設計する建築(建物ではない)は、スーツで言うフルオーダーメイドのような「一点物」で、且つ建築を構成する部品(工種)がとてもたくさんあるので、設計して建築についての詳細情報が決定されてからでないと値段が決まってこない。基礎はいくら、柱はいくらで、内装の床や壁はこの仕上げ、キッチン、トイレ、蛇口、それぞれの機器はこれでいきます、外装材はこれ、屋根はこれと、、まずもって形が決まっていないと何も進まないし、形が決まっていたとしても、その他にも決めるべき箇所は山のようにある。設計者はまず施主との対話の中で設計案をまとめ、その机上の建物をつくると果たしていくらかかるのかを施工者に考えてもらうのだ。この作業が見積もりである。

だいたい建築家は誰もやったことのない独創的な建築を目指す(そうでなければ作家性が成り立たず、ハウスメーカーや工務店が設計した方が早いし安い)ので、この見積もりが結構高くなるのが一般的だ。施工者としては誰もやったことのない施工が想定されればされるほど、見積もりもその難易度に応じて設定することになるからである。だから何度も調整して優先順位の低い要素から最低限の機能を満たした上で減額していく。これがVE (Value Engineering)である。

この時設計者は施工者に対して例えば「この建築は新しいカタチをしているけれど、よくよく考えると一般的な工法でできますよ」だとか、「一見複雑に見えますが実は単純な幾何学の反復なので簡単に施工できますよ」といった言葉とアイデアで、独創的ながらもなるべく見積もりを抑える努力をしつつ、出てきた見積もりが正しく適切に見積もられているかを精査する役割を担っている。

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