坂茂のボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)が、東京都と避難所用間仕切りシステムの供給に関する災害協定を締結しています。
architecture archive


ツバメアーキテクツが設計した、兵庫・神戸市の「神戸のアトリエ付き住居」です。
新神戸駅からほど近い敷地に立つ、ジュエリー作家の自邸兼アトリエである。建主からは住まいの機能に加え、アトリエ、撮影スタジオ、馴染みの客と交流をする土間、資材を保管する倉庫などが求められた。
敷地のすぐ裏には、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880〜1964年)が1928年に建てた旧神戸ユニオン教会がある。連続した木架構が美しいこの建築は現在、老舗ベーカリーによって、カフェとして活用されている。変化を受け入れる、おおらかなあり方を参照し設計に着手した。竣工時に美しさのピークがあるのではなく、生活と共に育っていくような建築を目指した。
間口が狭く奥行きが長い不定形の敷地に対し、門型フレームを並べ、背後の旧神戸ユニオン教会に向かって末広がりになっていく内壁のない空間とし、カフェを訪れる人々にもこちらの存在を空間的に意識させるようなことを考えた。真壁納まりにしたのは、DIYの補助線としたり、光や影をとらえたり、さまざまな周期の変化を取り入れるためである。この架構に対してスラブを差し込んでいくことで場を構成し、そこに建主が家具を設えていく。



神本豊秋+再生建築研究所が設計した、東京・渋谷区の、既存建物の改修プロセスから生まれるディテールを意匠に転化した「神南一丁目ビル再生計画」です。
築40年の飲食ビルの再生計画である。
既存建物は渋谷駅から徒歩10分、周辺には渋谷区役所、国立代々木競技場、NHKホールが建つ。再開発が進む渋谷らしい活気をもちつつ、明治神宮や代々木公園へと繋がるエリアに位置し、渋谷の顔にあたる場所である。既存建物は飲食ビルとして新築された、開口のほとんどない建物で、以後、外観へのルーバーの設置など幾度も改修が繰り返されていた。建物のコンディションとしては、旧耐震基準の建物であり現行の耐震基準を満たしていないことや、既存躯体へ張り付けられた湿式石貼りの剥落、確認申請の履歴のない違反増築などが見受けられ、ディベロッパーとして継続使用するのは難しい状態であった。
渋谷では、さまざまな需要用途が移り変わっている。建物を取得したクライアントからは、地階の飲食店舗を残したまま、居ながらによる耐震改修だけでなく、事務所ビルへの用途変更を行い、遵法性・建物性能を担保したうえで活用できるようにすることが求められた。
本計画では、無開口の躯体への開口の新設と、後付けルーバーや湿式の石貼りの除却という2つの与件があった。


五十嵐淳建築設計事務所が計画している、北海道・網走市のヴィラ「TENTOZAN project Villa 1」です。プロジェクトの公式ページはこちら。
このプロジェクトは、北海道の東側の雄大な景色を一望に望める網走市天都山エリアでの豊かな暮らしの提案。エリアには世界遺産である知床連邦が連なり、網走湖、オホーツク海の眺めなど、北海道においてもとりわけ特徴的なロケーション。この豊かなランドスケープの中で、日常の喧騒から逃れて心地よい暮らしを実現するための居場所および村を作り出すプロジェクトで8つのVillaが計画される。


平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所が設計した、東京の、清家清設計の主屋と難波俊作設計の離れをつなぐ渡廊「代々木の渡廊」です。
これは2坪に満たない木造の小さな渡廊である。
街並みを見下ろす閑静な高台に、清家清氏によるRC造の主屋(1970)と、デザインシステムの難波俊作氏によるS造の離れ家(1988)が並んで建っている。主屋は、RC打放しとソリッドな煉瓦積み壁が特徴で、眺望の良い景色を捉えた巨大な嵌め殺しの水平窓と船舶専用の丸窓が穿たれている。それ対して離れ家は、嵌め殺しの水平窓と2階分の壁面を突き抜けた軽快なブレースが印象的だ。それぞれは、構造の特徴を外観の表現としており、壁面のスクリーンに街並みが映り込む内部を含めて極めて質の高いモダニズム建築である。
このプロジェクトは、高齢であるクライアントから主屋と離れ家を繋ぐ渡り廊下を作って欲しいという要望を実現することだった。敷地と道路の高低差は4m、資材の搬入経路は幅80㎝の階段しかなかった。雨風を防げれば良いという話であったので、私たちは職人が2人程度で運べる小さな部材で組み上げられる簡素なものが良いと考えた。
文化的価値のある建築の保存改修の方法には、既存部分と新しい部分の違いを明確にしなければならないという考え方がある。さらに、オーセンティシティやインテグリティといった考え方は、使い続ける建築にとって難しい問題であり、その都度の個別解となる。今回の既存建築のアイデンティティは、全体に纏う構造素材によるデザインの完一性が外観に現れていることが重要であり、これを増築部によって曖昧に延伸させることは避けなければならなかった。そのため、増築部は既存の2棟と異なる構造素材で、透明な木造建築が相応しいと考えた。



庄司光宏 / UCHIDA SHANGHAIが設計した、中国・上海のスタジオ「minimal studio in shanghai」です。
上海の外灘中心に位置する古い建築と新しい高層建築を同時に一望できるロケーションはクリエイティブなインスピレーションを得るには充分な環境である。
私は高層建築における空間体験の問題点として場所性の欠如を課題として常に意識してきた。均一的な空間にどうリアリティのある環境を取り込むかをテーマにしている。高層建築のユニットに場所性があるとしたら都市の中での浮遊感が圧倒的に面白い体験だと感じている。それらを取り込むことでノイズの少ないどこにでもある空間は周囲の都市建築と呼応する空間になり得ると考えている。
145平米あまりの空間に求められた要望は、様々なファッションデザイナーと生産側とのミーティングができるクリエイティビティがあること、サンプルのストック場所、時には展示会場、パーティ会場などフレキシブルな空間利用ができることであった。



下川徹 / TORU SHIMOKAWA architectsが設計した、福岡・福岡市の、シューズメーカー ムーンスターの旗艦店「ALSO MOONSTAR」です。店舗の公式サイトはこちら。
1873年の創業以来、久留米の自社工場で靴を生み出し続けるシューズメーカー、ムーンスターの旗艦店。
ムーンスターの歴史ある工場を訪れると、建築の経年には圧倒的存在感がある。その中で数百人の職人が丹念に靴をつくる情景は心に残り、商品となる靴の背景を深く知る機会となった。私が体感した工場の物理的要素を、直接ショップで表現することは浅はかであり、背景を精神的に伝える空間をつくりたいと考えた。そこで、ムーンスターの真摯なものづくりへの姿勢と同じように、日本建築の基盤である大工・左官・庭師を主体とした、惜しみない手間をかけた本質的なつくりを試みた。



宮川清志 / SESNが設計した、東京・世田谷区のピザ店「Pizza mafia Tokyo」です。店舗の公式サイトはこちら。
桜新町にあるpizza mafia tokyo、ピザ屋さんの店舗デザイン。
居心地の良さを追求し、写真を撮る様にインテリアデザインを構築しています。
部分同士の関係性、物と空間の関係性、撮影者と対象の関係性など、諸関係が写真を作るとしたら複数の関係性を同時に見る事によって新しいイメージや空間が出来るのではないかと、写真を撮る様に心地良い部分を集積し、アルバムを見る様に全体を構築しています。○△□という単純な形が全体を繋ぎ止め、居心地の良い空間を意識する役割としています。

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2020/8/17-8/23)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- 小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、東京・東久留米市の、野菜の直売所「野縁の小屋」
- 平田晃久建築設計事務所による、東京の、住宅・ギャラリーからなる複合ビル「Tree-ness House」
- ザハ・ハディド・アーキテクツが計画している、中国・西安市の、6万人収容規模のサッカースタジアム「Xi’an International Football Centre」
- 長坂常 / スキーマ建築計画の改修で完成した、東京・墨田区の銭湯「黄金湯」の写真
- 中村竜治が2019年に完成させた、東京・渋谷区神宮前の「スタジオ兼ギャラリー」の写真と図面
- 中村好文が出演する、台所を特集するNHKのテレビ番組が放送[2020/8/18]
- 五十嵐淳建築設計事務所が計画している、北海道・倶知安町の、宿泊機能を中心とした複合施設「Talo Niseko」
- 写真家・小川重雄の東京藝術大学での特別授業「建築写真の世界 場と光の選択」がオンラインでも配信
- 写真家の小川重雄が東京藝術大学で行った特別授業「建築写真の世界 場と光の選択」のアーカイブ動画が公開中
- 伯耆原洋太+伯耆原智世による、東京・世田谷区の住宅「Wonder the one room」
- 小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、神奈川・横浜市の住宅「坂の住宅地の家」
- デントン・コーカー・マーシャルによるイギリスのストーンヘンジの新しいヴィジター・センターの写真
- プロダクトデザイナーの田村奈穂による、東京・渋谷区の「東三丁目公衆トイレ」の写真。THE TOKYO TOILET プロジェクトの一環で建てられたもの
- 畠中啓祐建築設計スタジオによる、東京・豊島区のダージリンティー専門店「TEA SHOP Parvati」
- 宮川清志 / SESNによる、東京・文京区の、自動運転システムを開発する企業のオフィス兼ガレージ「TierⅣ」
- 村山徹+加藤亜矢子 / ムトカ建築事務所による、東京・渋谷区の写真スタジオ「GO-SEES AOYAMA」の写真と図面
- 黒崎敏 / APOLLO Architects & Associatesによる、山形の住宅「SCAPE」
- 畠中啓祐建築設計スタジオによる、愛知・岡崎市の、犬の美容院「dog salon GRUM」
- 日建設計の山梨知彦によるエッセイ『「新しい集まり方」を考える』
- トラフによる「エルメス丸の内店 リニューアルオープン ウィンドウディスプレイ」


田根剛が店舗デザインを担当した、京友禅の老舗「千總」の旗艦店が、京都の烏丸三条にオープンしています。場所はこちら(Google Map)。
京都で誕生して460余年、千總は京友禅をはじめ様々な染織品やファッション、ギフトにいたるまで多様なプロダクトに取り組み、日本の美を創造してきました。
この度オープンする本店では着物やスカーフをはじめとする千總が展開する全てのコレクションを一堂に取り揃えます。また、着物のお誂えなど千總ならではのサービスが充実し、2階には千總の所蔵品の展示を通じて世界観を感じられるギャラリーを併設しています。ショップがある烏丸三条は、千總創業の地。これまで千總が大切に受け継いできた技術や文化、そして新しいものを生み出す創造性、アートなどたくさんの新たな美を発見し、お楽しみいただける場所として発信してまいります。
イタリアの建築家アルトゥロ・ヴィットリ(arturo vittori)が率いる非営利組織ワカ・ウォーター(warka water)が建設を進めている、持続可能なアイデアが込められたカメルーンの村の写真が34枚、designboomに掲載されています。ワカ・ウォーターは元々、アフリカでの水不足を解消する給水塔のプロジェクトの名前のようで、そのプロジェクトは世界的に注目を集めました。現在はその名称が組織の名前になっているようです。彼らのyoutubeアカウントにも様々な施工風景の動画が投稿されています。
武藤弘樹建築設計事務所のウェブサイトに、長野の住宅の増築「神職の文庫」の写真が11枚掲載されています。
長野市縁辺部の里山に建つ、神職夫妻の住宅の増築計画になります。
敷地は登録文化財である神社山門に面しており、ここに新たな正面玄関、簡易な応接機能、執務機能、祭器具等保管機能、そして夫妻が所蔵する書籍約3,000冊の収蔵および閲覧機能を備えること、さらに神職の住宅に相応しい構えと庭を与え、神社施設の一部として位置づけることを施主は望みました。また、前面道路と既存母屋には最大で2,170mmの高低差があり、かつて屋外階段で処理していたこの段差を、建物内で緩やかに繋ぐことも求められました。
こうした実際的な条件に加えてわたしたちは、住宅でありながら生活機能を持たないこの建物には、神職の生活ではなく、存在そのものを支える概念的な役割を与えたいと考えました。周辺環境と調和するように選ばれた切妻屋根の下は、襖で緩やかに区切られた筒状の一室空間です。仕上げ材を暗い色調の木材で統一し、木の胎内のような落ち着きと抽象性を与えるとともに、襖や書棚など複数のレイヤーを重層させることで、奥行きを強調しています。
スタジオ・ムンバイのビジョイ・ジェインのインタビュー動画です。NYのギャラリー フリードマン・ベンダ(friedman benda)によるシリーズ「Design in Dialogue」によるもの。2020年8月12日に収録されたものです。既に52人のインタビューを公開しています。こちらに内容を少し紹介する記事が。
テレビドラマ「名建築で昼食を」の第2回(自由学園明日館登場回)が、TVerで8月30日01:25(終了予定)まで無料視聴可能です。
藤(池田エライザ)が元カレから預けられたぬか床を悶々とした気持ちで混ぜていると千明(田口トモロヲ)から「女子高でランチしませんか?」とのお誘いが…。
向かったのは世界的建築家フランク・ロイド・ライトが設計した自由学園明日館。ステンドグラスを使わずに幾何学的な窓枠や桟でそのイメージを表現したホール、建物との調和を考えた六角形の家具など、100年前に建てられた女子高の中に数々の「乙女建築」を発見する。増築された講堂など「名建築の時代を経ての変化」を目の当たりにし、自分も変わらなければと感じた藤。元カレで悩んでいたが、少しずつ前向きな気持ちに…。
バロッツィ・ヴェイガの設計で完成した、スイス・ローザンヌの、細長いヴォリュームとファサードのレンガ壁のリブが特徴的な美術館「Musée cantonal des Beaux-Arts」の写真と図面が11枚、dezeenに掲載されています。バロッツィ・ヴェイガはスペイン・バルセロナを拠点とする設計事務所で、2015年には権威ある建築のアワード「ミース・ファン・デル・ローエ賞」も受賞しています。この美術館も2011年に国際コンペで彼らが設計者に選定されていました。アーキテクチャーフォトが2011年にニュースとして取り上げたページはこちら。