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乾久美子・青木淳・中川エリカ・長谷川豪・福島加津也が審査する、東京建築士会主催の「住宅建築賞2020」の応募受付が開始

乾久美子青木淳中川エリカ長谷川豪福島加津也が審査する、東京建築士会主催の「住宅建築賞2020」の応募受付が開始されています。提出期限は、2020年1月31日(金)。リンク先ページの末尾に、以前の受賞作品と審査員の講評をまとめたPDFが掲載されているのですが、その内容が非常に率直で興味深い内容です。

住宅建築賞について

「住宅建築賞」はすでに新人建築家の登竜門として定着しており、その入賞作品を通して住宅建築に対する理解をさらに深め、近年多様化している「すまい」の新しい可能性を見出そうとするものです。 この住宅建築賞の入賞作品を公開展示することにより、建築に携わる方々への新鮮な刺激とし、より多くの人々に建築文化を広げる機会となればと考えています。

応募作品は原則として最近3年以内に竣工し、東京圏に建つ一戸建住宅、集合住宅及び併用住宅等(大幅な増改築、公共の建築も含む)の作品を募集しています。書類による第一次審査と現地審査による第二次審査により受賞作品を決定します。

住宅建築賞の主旨

【住宅から見出す希望】

住宅は、住まい手が、環境を選びとり、建て、住まうといった一連の行為の総体として現れるものだと思います。それは生きることと同義となるぐらい迫力のあるものだと思います。また、建てることとは希望をつかみとるような行為なのかと思います。

しかし、近代を経て、建てることが産業の世界へと取り込まれてからというものの、建てることと生きることのつながりは薄くなり、建てることの多くは、車やテレビなどの消費財を選ぶこととあまり変わらなくなってしまったように思います。施主が住宅に希望するものは先回りして、用意されたメニューから選ぶようなものへと変質してしまっているわけです。

東京建築士会の住宅建築賞の応募作品に確認したいのは、施主が建築家と共に、どのような希望を見出し、それを住宅へと定着していったかです。住宅をつくることを通して、生きることの迫力や厚み、ユニークさが、現代においてどのように達成されているのかを見たいと思っています。住宅を通して発見される私たちが生きる世界の魅力とはどういうものなのでしょうか。骨太な作品に出会えることを楽しみにしています。

審査員長 乾 久美子

ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による連載エッセイの最新回で、ズントーが世界的に知られる以前の最初期に手掛けた住宅等をレポートした記事「蕾の時期」

ピーター・ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による連載エッセイの最新回で、ズントーが世界的に知られる以前の最初期に手掛けた住宅等をレポートした記事「蕾の時期」が公開されています。コルビュジエやミースが自身の建築を確立する以前に、その時代性や地域性が強く反映された住宅を手掛けていることはよく知られていますが、このズントーの作品群を見ても共通する感覚があるのではと思います。

長坂常と色部義昭に、彼らが手掛けた「東京都現代美術館 サイン什器・家具」 について聞いているインタビュー動画

長坂常色部義昭に、彼らが手掛けた「東京都現代美術館 サイン什器・家具」 について聞いているインタビュー動画です。

諸設備の改修と利便性の向上を図るためおよそ3年にわたる休館を経て、より開かれた美術館を目指し 2019年3月29日にリニューアル・オープンした東京都現代美術館。パブリックスペースリニューアルに際し、美術館を隅々まで楽しんで頂くための新たなサイン什器を設置しました。サイン什器設計、サイン計画に携わったお二人のインタビュ-動画です。

サイン什器設計:建築家 長坂常(スキーマ建築計画)
サイン計画:アートディレクター 色部義昭 (株式会社日本デザインセンター 色部デザイン研究所)

本プロジェクトに関して、アーキテクチャーフォトでも特集記事として紹介しており、写真の閲覧ができます

石上純也への、The New York Timesのインタビュー記事「建築家 石上純也が探求する 未来のビジョン」(日本語)

石上純也への、The New York Times Style Magazine Japanのインタビュー記事「建築家 石上純也が探求する 未来のビジョン」が公開されていました。日本語で読める記事です。

岸和郎+K. ASSOCIATES / Architectsによる、東京郊外の住宅「紅葉ヶ丘の家」の写真

岸和郎+K. ASSOCIATES / Architectsのウェブサイトに、東京郊外の住宅「紅葉ヶ丘の家」の写真が15枚掲載されています。

東京郊外の住宅地に建つ住宅。

間口は狭くそれに比べると深い奥行き、さらに敷地の奥2/3では道路から約3m上がったところに地盤面があるという形状の敷地。したがって道路に面した階は地下階であり、そこから一層上がったところが地盤面で地上階、ペントハウスも含めると合計4層の住宅が起ち上がる。

道路以外の隣地に面する3方向には境界に1層分の壁を立ち上げ、1階のリビング・ルームについては、その壁と建築の外壁との間の外部空間、それにアプローチに設けた小さな中庭の2ヶ所からだけ上方からの光を取り入れる。水平方向には向かいの公園側ファサードに設けた縦長の大きな開口が1つ開いているだけだ。その結果リビングルームの空間は水平方向に広がっているものの外部の自然光は垂直方向からのみ入ってくるという、さながら「白い洞窟」のような空間となる。

一方、2階に配置した主寝室は3つのレベルでペントハウスまでを含んだ、垂直方向に立体的な空間であり、1階のリビング・ルームが水平方向に延びる空間であるのに対して、主寝室は垂直方向に展開する空間として、対比的に考えたものだ。

外部は隣地から隔離するコンクリートと正面の垂直面緑化の壁で閉じて囲まれた上に黒い鋼板仕上げの箱が浮いており、唯一正面の縦長開口だけが都市に対して、向かいの公園に対して開いている。そうした閉じた壁面の隙間から導かれる外部からの自然光だけが内部空間の主題なのだが、そのことは外部からは全く想像できない。

奥野崇建築設計事務所による、愛媛・松山市の住宅「ブドウ棚のある家」
奥野崇建築設計事務所による、愛媛・松山市の住宅「ブドウ棚のある家」 photo©藤村泰一

奥野崇建築設計事務所が設計した、愛媛・松山市の住宅「ブドウ棚のある家」です。

暮らしと趣味がひとつになった住まい。

芽吹き、開花し、結実し、落葉する。
趣味であるブドウ栽培を身近で行い、その季節の変化と共に暮らす。
木陰の気持ちの良さを享受し、葉のささやきで風に気付き、甘く凝縮した実を頬張り、葉を落とせば暖かな陽を感じる。

ブドウ棚の下はロールアップの網戸で囲まれた、半屋外空間。
風は通るが、害虫は寄せ付けない。快適に日々使うための工夫です。

建物の基礎体力ともいえる断熱・気密化を図り、吹き抜け上部に設置した夏用エアコンと、床下に設置した冬用エアコンにて、室内の安定した温熱環境をつくります。

瞬く光の粒の下が、家族が集まる住まいの中心となりました。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2019/12/2-12/8]
最も注目を集めたトピックス [期間:2019/12/2-12/8]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2019/12/2-12/8)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 岡山の「奈義町立こども園」設計プロポの結果と提案書が公開
  2. 田根剛の設計でリニューアルした、表参道GYREのレストランフロアの写真
  3. 古谷誠章 / STUDIO NASCAが2001年に完成させた「ZIG HOUSE」にて開催の、NASCAの25周年記念展「NASCA since 1994」の会場写真
  4. 木元洋佑と平岡敬造による、京都・嵐山の、指定有形文化財の旧小林家住宅とその周辺建物を改修した店舗「パンとエスプレッソと嵐山庭園」
  5. 小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、中国・広州省の既存建物をコンバージョンした宿泊施設「Hotel Far&Near Nanhao St.」
  6. 隈研吾がデザインしたテーブル「Kigumi Table」の写真
  7. 青木律典 / デザインライフ設計室による、東京の「小平の住宅」
  8. 久保秀朗+都島有美 / 久保都島建築設計事務所による、東京・墨田区の温浴施設「両国湯屋江戸遊」
  9. 山田憲明構造設計事務所のウェブサイトが公開。中村拓志や堀部安嗣などの建築の構造設計に関する考え方・スケッチ写真・なども掲載。
  10. 中西正佳建築設計事務所が改修を手掛けた、京都市のシェアハウス「ひふみsteps」
  11. 高池葉子建築設計事務所による、愛知・豊田の住宅「豊田の家」の内覧会が開催
  12. 駒田剛司+駒田由香 / 駒田建築設計事務所による、埼玉の住宅「大宮の家(F邸)」の内覧会が開催
  13. 磯崎新について近しい関係者の発言を多数交えて考察するNY TIMESの記事「建築界のレジェンド 磯崎 新という謎」(日本語)
  14. 建設会社勤務と並行して看板建築のイラストを描画してきた宮下潤也の書籍『看板建築図鑑』
  15. 青木淳が外装のデザインを担当して建設が進められている、ルイ・ヴィトン御堂筋店の足場が外れて全貌が明らかに
  16. 中西正佳建築設計事務所による、大阪・高槻市の住宅「オセロハウス」
  17. トラフによる、アップサイクルをテーマに考案された「もこもこソファ」の写真
  18. 青木淳へのインタビュー「建築家として、館長として。青木淳は京都市京セラ美術館をどこに導くのか?」
  19. OMAのチームによる、オランダ・アイントホーフェンの、施設のヴォリュームを持ち上げ低層部に森やコミュニティ空間が広がる、再開発コンペの勝利案の画像
  20. 増田友也が1982年に完成させた徳島の「鳴門市文化会館」を、鳴門市が耐震改修して存続する方針を発表

青木淳が外装のデザインを担当して建設が進められている、ルイ・ヴィトン御堂筋店の足場が外れて全貌が明らかに

青木淳が外装のデザインを担当して建設が進められている、ルイ・ヴィトン御堂筋店の足場が外れて全貌が明らかになっています。twitterに写真が投稿されていました。青木が外装を手掛けているというソースはこちら

『人気の「金沢21世紀美術館」休館へ 混雑緩和へ改修工事』(毎日新聞)

『人気の「金沢21世紀美術館」休館へ 混雑緩和へ改修工事』という記事が、毎日新聞のウェブサイトに掲載されています。金沢21世紀美術館はSANAAの設計で2004年に開館した建築。

古谷誠章 / STUDIO NASCAが2001年に完成させた「ZIG HOUSE」にて開催の、NASCAの25周年記念展「NASCA since 1994」の会場写真
古谷誠章 / STUDIO NASCAが2001年に完成させた「ZIG HOUSE」にて開催の、NASCAの25周年記念展「NASCA since 1994」の会場写真二階の展示スペース。 photo©architecturephoto

古谷誠章 / STUDIO NASCAが2001年に完成させた「ZIG HOUSE」にて開催の、NASCAの25周年記念展「NASCA since 1994」の会場写真をご紹介します。会期は2019年12月7日~14日。場所は東京世田谷区(詳細はこちらでどうぞ)。
会場となっている「ZIG HOUSE」は、「ZIG HOUSE/ZAG HOUSE」として2001年に完成し発表されました。ZIG HOUSEが設計者の元設計者の両親の家、ZAG HOUSEが設計者の自邸として計画されています。
会場展示物は大きく分けて二つあり、ひとつはNASCAが1995年~2019年までに手掛けてきたプロポーザル等の提案書(こちらには伝説の、せんだいメディアテークの提案書も含まれています)。もうひとつは、毎年4種類ずつ制作されてきたポストカードです。展示物は勿論ですが、実際の古谷誠章 / STUDIO NASCAによる住空間を体験することができる貴重な機会だと言えます。

NASCAは本年25周年を迎えることが出来ました。
25年にわたる作品のポストカードやスケッチ
コンペティションの応募案などを展示します。

■2019.12.7〜2019.12.14
 11:00-18:00/期間中無休
 ZIG HOUSE /東京都世田谷区

■オープニングパーティー
12/7  16:00-18:00

※12/7,14は古谷誠章が在廊します。

OMAのチームによる、オランダ・アイントホーフェンの、施設のヴォリュームを持ち上げ低層部に森やコミュニティ空間が広がる、再開発コンペの勝利案の画像

OMAのチームによる、オランダ・アイントホーフェンの、施設のヴォリュームを持ち上げ低層部に森やコミュニティ空間が広がる、再開発コンペの勝利案の画像が12枚、designboomに掲載されています。
建築設計でコラボしているのは、diederendirrixFABRICationsです。
以下はその計画案を紹介する動画。

AMOが、ヴァージル・アブローによるブランド「Off-White™」の2020年1月開店のマイアミ旗艦店に参画

OMAのシンクタンク部門AMOが、ヴァージル・アブローによるブランド「Off-White™」の2020年1月開店のマイアミ旗艦店に参画しているようです。ヴァージルが自身のインスタグラムアカウントで公開しています。
ヴァージルは、ルイヴィトンのメンズディレクターを務めていることでファッション業界で注目を集めています。出身が建築学科だったことも有名でそのデザインには建築系のエッセンスも感じられます。アーキテクチャーフォトのアーカイブでは、日本語で読めるインタビューやハーバード大での講義の動画なども紹介しています。
OMA・AMOもプラダの店舗やファッションショーのランウェイのデザインなどを継続的に手掛けるなどファッションの世界とも関わっています。

山田憲明構造設計事務所のウェブサイトが公開。中村拓志や堀部安嗣などの建築の構造設計に関する考え方・スケッチ写真・なども掲載。

山田憲明構造設計事務所のウェブサイトが公開されています。中村拓志や堀部安嗣などの建築の構造設計に関する考え方・スケッチ写真・なども掲載されています。

増田友也が1982年に完成させた徳島の「鳴門市文化会館」を、鳴門市が耐震改修して存続する方針を発表

増田友也が1982年に完成させた徳島の「鳴門市文化会館」を、鳴門市が耐震改修して存続する方針を発表したとのことです。こちらのページに建設当時のエピソードを紹介するニュース記事があります。

中西正佳建築設計事務所が改修を手掛けた、京都市のシェアハウス「ひふみsteps」
中西正佳建築設計事務所が改修を手掛けた、京都市のシェアハウス「ひふみsteps」 photo©母倉智樹

中西正佳建築設計事務所が改修を手掛けた、京都市のシェアハウス「ひふみsteps」です。

京都・西院にて50年前に下宿付き住居として建てられ、10年前にシェアハウスとして運営され始めました。

この度、大規模な改装を行い、新たな一歩を踏み出しました。
今回の計画では、可能な限り間仕切りを取り払い、本体周りの増築部分を撤去することで民家のように部屋同士、内部と外部が連続的に緩やかにつながる空間を作りました。

多様な活動があふれる広場のようなオープンエンドの場所です。住人の多様な活動を受け止め、なおかつ、程よい距離感を保ちながら暮らすことのできるよう、一体の空間でありつつ、それぞれの空間に特色をつくり出しています。そのため、目線の高さ、視線の抜け、雁行型のプラン、家具のしつらえ、回遊性等を工夫しました。

建築家によるテキストより
中西正佳建築設計事務所による、大阪・高槻市の住宅「オセロハウス」
中西正佳建築設計事務所による、大阪・高槻市の住宅「オセロハウス」 photo©西川公朗

中西正佳建築設計事務所が設計した、大阪・高槻市の住宅「オセロハウス」です。

大阪、京都のほぼ中央に位置し、ベッドタウンとして栄える大阪・高槻。各敷地の周囲をコンクリートブロック塀が囲む、都市部における典型的な住宅地です。このような閉鎖的な住宅地において、塀を設けず1階と2階の機能を組み換え、平面的かつデザイン的な配慮を行うことで、まちに背を向けるのではなく、まちと住まい手が、お互いに享受し合う住まいを目指しました。

建築家によるテキストより

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