

knof / 菊嶋かおり・永澤一輝による、東京・江東区の「襖絵のSOHO」です。
南・西・北の3方向に運河を望む築33年の中古マンション。もとは4LDKだった住戸を、職住を一体とするワンルームにリノベーションした。
自宅兼事務所という用途を考えると、80㎡ほどの限られた面積を明確に二分してしまうことは住まい手/働き手の活動範囲を狭めてしまう。「住む」と「働く」が重なり合う領域を最大化できるプランを模索した結果、オフィスから寝室までゆるやかにひとつながりのワンルームとなった。
大部分がオフィスとしての振る舞いをする以上、生活感の出る要素(風呂、洗面所、WIC、小説やマンガなど)は積極的に見せたくはない。それらを窓のない壁側にまとめて配置した結果、ワンルームを横断する9枚の連続した建具が現れた。9枚の連続した建具はパブリックとプライベートを分ける実際的な扉の集合でありながらも、全体として室内を横断する比率4:1の横長のスクリーンにも見える。このスクリーンをどう扱うか。
ここでは、前述の9枚の連続した建具を襖絵のキャンバスとして扱った。都市の中のマンションの一室というコンクリートの箱の中に、新たな奥行きをつくり出したい。人の生活空間とはかけ離れたスケールへの興味、運河との取り合わせから鯨をモチーフに決め、図案をアーティストの池田早秋さんに依頼した。ドローイングペンで緻密に描かれた幅40cmほどの原画を拡大し、特殊大型プリンターを使って直接ラワン合板に印刷した。新木場の倉庫で選定したラワンは木目も色味も荒れており普段の現場では喜ばれないものではあるが、ここでは荒れた木目を波に見立てた。