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川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展
川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展 photo©Yamane Kaori
川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展 photo©Yamane Kaori
川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展 photo©Yamane Kaori

川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」です。
補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示です。出展建築家は、アリソン理恵(ARA)伊藤孝仁(AMP/PAM)GROUP木村俊介(SSK)辻琢磨(辻琢磨建築設計事務所)山本周+小林栄範、渡邉竜一(ネイ&パートナーズジャパン)です。会期は2023年10月5日~10月15日。入場料は無料です。展覧会の公式ページはこちら。また、2023年10月15日(日)に出展者が参加するギャラリートークも企画されています(詳細は記事末尾に記載)。

「つくること」、「つかうこと」、そして両者を架橋する「つくろうこと」。
本展覧会が目を向けるのは、維持というあいまいな概念として放棄され、長らく建築の問題として顧みられてこなかった補修や手入れ、掃除などの小さな、しかしエッセンシャルな繕いの営みです。
この終末への時間を引き伸ばす、変わらなさや緩やかな変化に対して、私たちはどのような想像力を向けることができるでしょうか。また、営みという出来事を建築的に思考し、設計するための記述や記録の可能性を探ります。

リリーステキストより

川勝真一によるキュレーターノート

世界には伝統的でローカルなものから、現代的テクノロジーを用いたものまで、さまざまな「繕い」と呼べる取り組みや実践が存在しています。本展はこれからの都市や建築を考える上で不可欠でありながら、デザインとは無関係だとみなされ、維持というあいまいな概念として放棄されてきた「繕いの営み」に目を向けます。それは日々の清掃からちょっとした修繕など、見た目にはほとんだ変化を伴わない空間の持続のために不可欠な行為から、設計/施工/運用が渾然一体となった時間軸の中で展開する営為です。

繕いの営みの代表的なものの一つに、茅葺き屋根の葺き替えを村人総出で行う「結」があります。数年のサイクルで行われる民家の繕いは、建築だけでなく集落コミュニティそのものの結びつきを補強し、萱を育てるための領域が小動物の生息にとって欠かせないものとなり、里山の生態系のバランスを維持してきました。繕いという営みには、その内側にその営みを繕うための仕組みが内包されています。

また、こうした繕いの行為は、終末への時間を引き伸ばし、変わらなさや緩やかな変化に対する私たちの感性に働きかけ、建築を固定化したものではなく、変化を続ける出来事として捉えることでもあります。建築が変わりゆくものである存在であることは、すでにこの数十年に渡って建築家の主要な関心ごとでもありました。しかし都市環境の変化や人々の暮らしに合わせて可変するシステムや、マスタープランを持たない場当たり的な設計論の前提はモノとしての建築であり、そのためのプロセスが思考されていたと言えるかもしれません。それに対して本展に参加する建築家の多くは、建築を動きや出来事、プロセスそのものとして位置付けます。それは空間性や形式性の軽視ではなく、むしろ空間や場所の物理的、社会的豊かさを求めた結果、生まれてきた建築の営みなのです。

人類の活動が地球環境に不可逆的な変化を与え、伝統的な住環境や暮らしの知恵がすでに持続可能な閾値を超えつつある現在、本展覧会が、ケアや再生成などの概念とも関わり合いながら、「繕いの営み」とそれを成り立たせる「営みの繕い」について一人ひとりが考え、実践へと向かう一助となれば幸いです。

リリーステキストより
【ap job更新】 アトリエや組織の建築家と協働し、ランドスケープの設計を手掛ける「PLATdesign / プラットデザイン」が、デザインスタッフ(経験者・既卒・2024年新卒)を募集中
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アトリエや組織の建築家と協働し、ランドスケープの設計を手掛ける「PLATdesign / プラットデザイン」の、デザインスタッフ(経験者・既卒・2024年新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

株式会社プラットデザインは、ランドスケープのデザインスタッフを募集しています。

私たちの事務所は国内外を問わず様々な施設のランドスケープデザインを、計画から設計・監理に至るまで一貫してプロジェクトに携わっています。協働する建築設計事務所もアトリエ事務所から組織事務所まで幅広く、様々な個性を持った建築家の方々とコラボレーションしています。

■業務内容
プロジェクト初期段階でのコンセプトワークから模型等を作成したデザインスタディ、CADによる実施設計図面作成、現場でのデザイン監理と、一つのプロジェクトに一貫して携わる事でデザインイメージを具体的な空間として実現させるべく業務に取り組んでおります。

【ap job更新】 建築メディア運営を通して、業界全体への貢献を目指す「アーキテクチャーフォト株式会社」が、アルバイト(学生可)を募集中
【ap job更新】 建築メディア運営を通して、業界全体への貢献を目指す「アーキテクチャーフォト株式会社」が、アルバイト(学生可)を募集中

建築メディア運営を通して、業界全体への貢献を目指す「アーキテクチャーフォト株式会社」の、アルバイト(学生可)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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※これまで勤務してくれていた学生アルバイトさんが退職するので募集しています

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こんにちは。
アーキテクチャーフォト株式会社代表の後藤です。

アーキテクチャーフォト株式会社は、日本最大級の建築ウェブメディア「architecturephoto®」や、建築系求人サイト「アーキテクチャーフォトジョブボード」の運営、雑貨等の販売を行う「アーキテクチャーフォトブックス」等を手掛ける小さな会社です。

近年の皆様からの仕事の依頼等の増加を受け、アルバイトを募集することになりました。

「architecturephoto®」は、代表の後藤がインターネット黎明期の2003年に立ち上げた個人サイトがその出発点となっており、ネット上に建築メディアがほぼない状態から活動を初め、20年後の現在は、日本の建築メディアを代表する存在のひとつにまでなりました。

「建築と社会の関係を視覚化する」を掲げ活動してきましたが、現在では、建築設計者の仕事を生み出し、建築業界の存在を社会に伝えるポジティブなサイクルの構築にも成功しており、活動の幅は広がっています。

仕事は独自性のあるものですが、編集部内やコラボレーターの皆様とは、プロジェクト運用システム等を使用し丁寧かつ合理的にやり取りを進めており、仕事の仕方は丁寧にご説明しています。

建築設計ではない形で建築業界に貢献できる仕事です。

仕事だけでなくプライベートを充実させることで感性を養い、それを日常の業務にフィードバックすることを大事にしており、個人の時間も確保できる働き方を実践しています。

ご興味を持っていただけた方のご連絡をお待ちしています!

今井博康による、千葉・松戸市の住戸改修「凹の家」。夫婦と猫2匹の為に計画。人と猫の快適な暮らしを求め、間仕切り壁を床から“350mm”浮かせて部屋全体が“猫の為の広場”にもなる構成を考案。異なる特性を持つ存在が同じ空間に重なりフィットする状態を作る
今井博康による、千葉・松戸市の住戸改修「凹の家」。夫婦と猫2匹の為に計画。人と猫の快適な暮らしを求め、間仕切り壁を床から“350mm”浮かせて部屋全体が“猫の為の広場”にもなる構成を考案。異なる特性を持つ存在が同じ空間に重なりフィットする状態を作るリビング photo©Tomoyuki Kusunose
今井博康による、千葉・松戸市の住戸改修「凹の家」。夫婦と猫2匹の為に計画。人と猫の快適な暮らしを求め、間仕切り壁を床から“350mm”浮かせて部屋全体が“猫の為の広場”にもなる構成を考案。異なる特性を持つ存在が同じ空間に重なりフィットする状態を作る左:ルームB、右:リビングとキッチン photo©Tomoyuki Kusunose
今井博康による、千葉・松戸市の住戸改修「凹の家」。夫婦と猫2匹の為に計画。人と猫の快適な暮らしを求め、間仕切り壁を床から“350mm”浮かせて部屋全体が“猫の為の広場”にもなる構成を考案。異なる特性を持つ存在が同じ空間に重なりフィットする状態を作るキッチンの下の隙間に猫が横たわる。 photo©Hiroyasu Imai
今井博康による、千葉・松戸市の住戸改修「凹の家」。夫婦と猫2匹の為に計画。人と猫の快適な暮らしを求め、間仕切り壁を床から“350mm”浮かせて部屋全体が“猫の為の広場”にもなる構成を考案。異なる特性を持つ存在が同じ空間に重なりフィットする状態を作る廊下から隙間越しにリビングを見る。 photo©Tomoyuki Kusunose

今井博康が設計した、千葉・松戸市の住戸改修「凹の家」です。
夫婦と猫2匹の為に計画されました。建築家は、人と猫の快適な暮らしを求め、間仕切り壁を床から“350mm”浮かせて部屋全体が“猫の為の広場”にもなる構成を考案しました。そして、異なる特性を持つ存在が同じ空間に重なりフィットする状態を作る事も意図されました。

夫婦と猫二匹が共生する中古マンションのフルリノベーション。

65㎡と限られた面積の中で広がりが感じられ、猫も人間も共に快適に過ごせる家を目指し、人間だけでなく猫の視点(生態・習性・安全性)もプラスした設計を試みた。

建築家によるテキストより

既存の単純な田の字プランから部屋数を減らし、2つに分かれていた水回りを一つにまとめ、ぐるりと遠回りする変化と奥行きのある動線計画とした。部屋の間仕切りになっている棚、キッチン、洗面を浮かせ、床と壁に350mmの隙間を作った。350mm浮いた壁は人間にとって間仕切りとして機能しながらも奥行や広がりを感じさせ、猫にとっては部屋全体が大きな広場のようになるのと同時に、野良猫が車の下に隠れるような物陰の居場所を生んだ。床が繋がるため全体の空調やロボット掃除機の効率が向上した。

建築家によるテキストより

住まいの設計に人間以外の視点を組み込むことで、ミニマムな見た目でありながら都市のように異なるスケール・習性・活動域を持つモノ(人間、猫、子供、ロボット掃除機など)が同空間上に重なりフィットする、豊かな状態を生み出すことが出来た。

建築家によるテキストより
永山祐子建築設計による、東京のオフィスビル「ESCON 九段北ビル」。コロナ禍に進んだ眺望の良い立地での計画。集合を喚起する固有の“魅力”を持つ存在を目指し、三面開口に加え角の柱を抜いた“迫りくる浮遊感”を持つ建築を考案。外壁の色を段階的に変えて見上げ時の印象も操作
永山祐子建築設計による、東京のオフィスビル「ESCON 九段北ビル」。コロナ禍に進んだ眺望の良い立地での計画。集合を喚起する固有の“魅力”を持つ存在を目指し、三面開口に加え角の柱を抜いた“迫りくる浮遊感”を持つ建築を考案。外壁の色を段階的に変えて見上げ時の印象も操作北西側外観 photo©高栄智史
永山祐子建築設計による、東京のオフィスビル「ESCON 九段北ビル」。コロナ禍に進んだ眺望の良い立地での計画。集合を喚起する固有の“魅力”を持つ存在を目指し、三面開口に加え角の柱を抜いた“迫りくる浮遊感”を持つ建築を考案。外壁の色を段階的に変えて見上げ時の印象も操作9階、事務所 photo©高栄智史
永山祐子建築設計による、東京のオフィスビル「ESCON 九段北ビル」。コロナ禍に進んだ眺望の良い立地での計画。集合を喚起する固有の“魅力”を持つ存在を目指し、三面開口に加え角の柱を抜いた“迫りくる浮遊感”を持つ建築を考案。外壁の色を段階的に変えて見上げ時の印象も操作11階、事務所 photo©高栄智史

永山祐子建築設計が設計した、東京・千代田区のオフィスビル「ESCON 九段北ビル」です。
コロナ禍に進んだ眺望の良い立地での計画です。建築家は、集合を喚起する固有の“魅力”を持つ存在を目指し、三面開口に加え角の柱を抜いた“迫りくる浮遊感”を持つ建築を考案しました。また、外壁の色を段階的に変えて見上げ時の印象も操作されました。

九段北に建つ12階建てのオフィスビルである。
皇居を望む南側、九段ハウスのある西側は富士山まで眺望が開け、圧倒的な眺望に恵まれた立地であった。

建築家によるテキストより

南側、西側、そして接道面である北側の3面を開くように東側にコアを寄せ、天空率により正方形に近い平面で縦に高さを積むことにした。上層階は特に皇居側、日本武道館への眺望も得られるので、スキップフロアとし、ワンフロアの中で眼下に広がる風景などさまざまな視点からのバリエーションある眺望を得られるようにした。

建築家によるテキストより

一方、下階は九段ハウス側の庭を望めるように、なるべくサラウンドに開口を取るように工夫し、テラスも九段ハウス側に設けた。当初、クライアントとの間でレジデンスにするかオフィスにするかという議論があった。どちらもプランニングし、検討の結果オフィスとすることになった。

コロナ禍の中、在宅ワークも増えている時期で、オフィスのあり方が大きく変わるタイミングであった。レジデンスとしても魅力的な立地だけれど自社ビルを売却する会社も出ている中で、私自身も小中規模程度のオフィスはニーズが高いのではないかとの思いがあった。コロナ以降、人が集まりたくなるオフィスとして、効率よりも空間性が求められ、ここにしかない魅力を持ったオフィスとすることが命題と考えた。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/10/2-10/8]
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/10/2-10/8]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2023/10/2-10/8)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。

※申し訳ございません。システムに不備があり集計が取れていなかった期間があり、再集計致しました。お詫びしてご報告いたします(2023/10/11)


  1. 佐藤可士和 / SAMURAIと竹中工務店による、神奈川の「GLP ALFALINK相模原」。総延床約67万㎡の物流拠点施設。存在意義の再定義と既存イメージの刷新を目指し、建物をブランディングの重要な“メディア”と捉えた設計を志向。情報や建築を開いて地域と企業に好循環を生む“共創”の場を作る
  2. 青木淳と西澤徹夫による「京都市京セラ美術館」に宿泊できるイベントが開催。中央ホールにキャンプ形式で泊まり、夜の美術館ツアーも付属
  3. 乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体による、京都市の「京都市立芸術大学 崇仁キャンパス」の動画。竣工した建築に加えて建設の様子なども収録
  4. ツバメアーキテクツによる、さいたま市の「旗竿地に立つ保育園」。様々な規模の建物に囲まれた敷地。“環境の質”の向上を目指し、周辺のヴォリューム感の差に注目して中庭や各室等の配置を計画。各箇所の窓は“風と光の抜け”に加えて隣接する住宅等のプライバシーにも配慮
  5. 森下陽 AMP/アンプ建築設計事務所による、静岡・周智郡の「タープハウス」。往来のある地域の左官職人の為の住宅兼倉庫。外の視線からの保護と“開放性”の両立を求め、地表近くまでを覆う“大屋根”の下に内外の空間が広がる構成を考案。仕上げの“ショールーム”も意図して壁面を多く確保
  6. 伊東豊雄の、芝浦工業大学での展覧会「伊東豊雄の挑戦1971-1986」。世界的に評価される建築家の活動初期の作品に注目した展示。“全エネルギーを注いだ”と言う図面やスケッチを中心に紹介。当時の製本青焼図面を閲覧できるスペースも用意
  7. 山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る
  8. MADによる、中国の「安吉文化芸術センター」。“竹”と“茶”で知られる地域での計画。“竹の葉”を散らした様な屋根の重なりを特徴とし、自然と建築をつなぐ“過渡的な空間”の設計を志向。建築とランドスケープが一体となるように作る
  9. 塩入勇生+矢﨑亮大 / ARCHIDIVISIONによる、長野・大町市の住宅「TRIANGLE」。施主の実家の隣で幹線道路にも面する場所。環境との“程よい距離感”を求め、内外で繋がり“遊歩道”の様な動線となる“緩衝帯”としての“道”を敷地内に設ける構成を考案。窓の配置は周辺との適切な接続を意図
  10. ニイノ建設と麻生征太郎建築設計による、東京・大田区の「大森町の集合住宅」。活気のある商店街の中での計画。賑わいを享受しつつも“落ち着ける”住環境”を目指し、四周に回した“コンクリートの帯”の高さを変えて内外の関係を調整する建築を考案。上階に行くほど段階的に開放度を上げる
  11. 徳山史典+弓削純平 / UNQUOTEによる、東京・世田谷区の「経堂のクリニック」。駅近の医療ビル内での計画。“多くの診療が可能”な施設を目指し、順路を明確化して移動時間を短縮する“リニアなL字型”の待合空間を備えた建築を考案。木質素材の仕上げで場に“親しみ易さ”も与える
  12. 葛島隆之建築設計事務所による、東京・千代田区の「Office Idein」。コロナ禍での事務所の稼働率減少に伴う移転計画。“新しい交流の場”への再編を目指し、人が集まる可能性とその空間の作り方を模索。床に設ける段差で平面計画を行い“居場所や家具的な機能”が生まれる空間を作る
  13. 佐藤信 / 青木茂建築工房による、福岡市の住戸改修「ホわイとハうス」。設計者の自邸。製品構築された建物への“現代的な豊かさ”の付与を求め、少しづつ異なる様々な“白色”と多様な質感の“素材”を用いて空間を構成。微細な体験の変化や現象が住み手に与える影響の検証も試みる
  14. 尾崎泰永 / 尾崎建築事務所による、東京・品川区の住戸改修「ROOM-M」。約50㎡の区画での家族3人の住まい。景観享受と個室数確保等を求め、詳細な想定を基にした寸法の“チューニング”から導いた“屏風壁”で空間を分割する構成を考案。都市住居に必要な合理性と柔軟性を空間に付与
  15. 伊東豊雄建築設計事務所が計画している、東京・渋谷区の分譲集合住宅の画像
  16. トミトアーキテクチャの提案が、新潟の「(仮称)小千谷市防災センター」設計競技で最優秀作品に選定。提案書と審査講評が公開
  17. SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる
  18. OMA / イヤド・アルサカによる、バングラデシュの高層ビル「ダッカ・タワー」。急速に経済発展してきた国での計画。“ピラミッド型”の基壇の上にタワー部分が建つ構成とし、景観の良い外部空間と接するアトリウム空間を提供。都市のスカイラインに大胆なステートメントを打ち出す
  19. 石上純也建築設計事務所による、山口の「House & Restaurant」。旧知の友人の為の住宅兼店舗。“時間と共にその重みを増していく”空間の要望に、地面に穴を掘りコンクリートを流して土の中の躯体を掘り起こしガラスを嵌める建築を考案。不確定要素を許容し使い方の発見更新を繰り返して作る
  20. ザハ・ハディド事務所による、中国・三亜市の、湾岸文化地区の開発計画「Sanya Cultural District」。多くの観光客が訪れる南端地域での計画。何層にも重なる“羽の様な”屋根を特徴とし、文化や商業等に関する様々な機能を内包。現地の気候や環境に対して採光や換気を最適化する最新技術も導入

西沢立衛と野口貴文の対談「人、建築、そして街並み」の動画。野口は東京大学教授で建築材料を研究

西沢立衛野口貴文の対談「人、建築、そして街並み」の動画です。野口は東京大学教授で建築材料を研究しています。2023年9月に公開されたものです。動画の制作は、一般社団法人生コン・残コンソリューション技術研究会です。

プリツカー賞の受賞歴もある日本を代表する建築家・西沢立衛先生をお招きして、「人、建築、そして街並み」をテーマに、建築と街についてのお話を伺いました。

トミトアーキテクチャの提案が、新潟の「(仮称)小千谷市防災センター」設計競技で最優秀作品に選定。提案書と審査講評が公開

トミトアーキテクチャの提案が、新潟の「(仮称)小千谷市防災センター」設計競技で最優秀作品に選定されています。提案書と審査講評がPDFで公開されています。

最優秀作品の提出者
・株式会社トミトアーキテクチャ

審査講評

小千谷市では、市内元中子地内の小千谷市防災公園内に、普段は体育館や親子が集える場として、また、防災学習の場として利用され、災害時には避難所や支援物資の集配所などの機能を併せ持つ(仮称)小千谷市防災センターの建設を計画しています。
このたび、設計競技が行われ、審査委員による審査の結果、最優秀作品が決まりましたので、お知らせします。

※最優秀作品の提出者と「(仮称)小千谷市防災センター建設工事 基本・実施設計業務」の契約を締結する予定です。なお、自然環境や使い勝手などを考慮し、詳細な設計を行いますので、今後、変更が生じる場合があります。

乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体による、京都市の「京都市立芸術大学 崇仁キャンパス」の動画。竣工した建築に加えて建設の様子なども収録

RINGフジワラボo+h吉村設計共同体による、京都市の「京都市立芸術大学 崇仁キャンパス」の動画です。竣工した建築に加えて建設の様子なども収録されています。

【ap job更新】 平田晃久建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中
【ap job更新】 平田晃久建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中
【ap job更新】 平田晃久建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中Tree-ness House ©Vincent Hecht

平田晃久建築設計事務所の、設計スタッフ(経験者・既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

平田晃久建築設計事務所では、1~2名の新規設計スタッフを募集いたします。

弊社の建築に興味があり、豊かなものや新しいものをつくることに熱意のある方を歓迎します。現在、プロダクトや展覧会から住宅、集合住宅、図書館、美術館、博物館、あるいは公園や再開発事業まで多岐にわたる国内外のプロジェクトが進行しています。

大規模な設計事務所とは違い、担当者が最低でも一つのプロジェクトを、責任をもって総括的に担当でき、時にはコンペを複数人で協働することで設計力を磨きます。また様々な分野におけるプロフェッショナルな方たちとコラボレートして建築をつくっています。

独立を考えている人、目的意識を持ちスキルアップしたい人、どんなことにも興味を持って取り組める人に来ていただけたらと思います。

佐藤信 / 青木茂建築工房による、福岡市の住戸改修「ホわイとハうス」。設計者の自邸。製品構築された建物への“現代的な豊かさ”の付与を求め、少しづつ異なる様々な“白色”と多様な質感の“素材”を用いて空間を構成。微細な体験の変化や現象が住み手に与える影響の検証も試みる
佐藤信 / 青木茂建築工房による、福岡市の住戸改修「ホわイとハうス」。設計者の自邸。製品構築された建物への“現代的な豊かさ”の付与を求め、少しづつ異なる様々な“白色”と多様な質感の“素材”を用いて空間を構成。微細な体験の変化や現象が住み手に与える影響の検証も試みる廊下からリビングダイニングを見る。 photo©上田宏
佐藤信 / 青木茂建築工房による、福岡市の住戸改修「ホわイとハうス」。設計者の自邸。製品構築された建物への“現代的な豊かさ”の付与を求め、少しづつ異なる様々な“白色”と多様な質感の“素材”を用いて空間を構成。微細な体験の変化や現象が住み手に与える影響の検証も試みるリビングダイニング photo©上田宏
佐藤信 / 青木茂建築工房による、福岡市の住戸改修「ホわイとハうス」。設計者の自邸。製品構築された建物への“現代的な豊かさ”の付与を求め、少しづつ異なる様々な“白色”と多様な質感の“素材”を用いて空間を構成。微細な体験の変化や現象が住み手に与える影響の検証も試みるリビングダイニング photo©上田宏

佐藤信 / 青木茂建築工房が設計した、福岡市の住戸改修「ホわイとハうス」です。
設計者の自邸の計画です。建築家は、製品構築された建物への“現代的な豊かさ”の付与を求め、少しづつ異なる様々な“白色”と多様な質感の“素材”を用いて空間を構成しました。また、微細な体験の変化や現象が住み手に与える影響の検証を試みる事も意図されました。

カジミール・マレーヴィチの「白の上の白」は鑑賞者の目や展示される環境によって、外側の白いスクエアと内側の白いスクエアが図地反転して見え、その絶え間ない白と白の図地反転運動の揺らぎの中にスクエアの影、あるいは観念のようなものを現出させると個人的には思う。それゆえに限りある画角のなかに、無限の伸び縮みと奥行きを感じることができるのである。

建築家によるテキストより

マンションの一室改修の設計機会を得た。
限られた面積とほんの少しの光や風といった自然現象が条件となる。限りあるスペースでいかにして広々と豊かに過ごすことができるだろうか。画一的で隙間なく製品構築されている分譲マンションにいかに20世紀的な一元化とは異なった現代的な豊かさをもたらすことができるだろうか。

建築家によるテキストより

床、壁、天井を少しづつ異なる様々な白色の面とする。
それらの面は時間や光の色・当たりかた、住人の立つ位置などによりモザイクのように様々な白色に変化する。白と白のささやかな変化の連続で住居に視覚的な奥行きを感じさせてくれる。

いくつかの違った素材を使う。
マット、ツヤ、拡散反射、鏡面反射、ざらざら、つるつるなど、それらの素材は様々な触覚体験を生み出してくれる。

いくつかの曲面をつくる。
光・影のグラデーションや曲面に反射する像の伸び縮みによって空間にねじれを生み出すと同時にリビングの曲面天井はピアノの音を適度に拡散反射し、聴覚に訴える空間となる。

建築家によるテキストより
パナソニックが運営する、東京・新橋の“BRIDGEHEAD Shimbashi”で、ポップアップギャラリー「ロングセラー、ロングライフの原点」が開催。数十年使い続けられてきたプロダクトを多数紹介。村野藤吾たちに使われたドアハンドルの製作秘話を聞けるトークも企画
パナソニックが運営する、東京・新橋の“BRIDGEHEAD Shimbashi”で、ポップアップギャラリー「ロングセラー、ロングライフの原点」が開催。数十年使い続けられてきたプロダクトを多数紹介。村野藤吾たちに使われたドアハンドルの製作秘話を聞けるトークも企画展示会のイメージ image courtesy of BRIDGEHEAD Shimbashi

パナソニックが運営する、東京・新橋のライブオフィス“BRIDGEHEAD Shimbashi”で、ポップアップギャラリー「ロングセラー、ロングライフの原点」が開催されます。
数十年使い続けられてきたプロダクトを多数紹介します。また、村野藤吾、吉田五十八、谷口吉郎、大谷幸夫に使われたドアハンドルの製作秘話を聞けるトークも企画されています。開催期間は、2023年10月18日(水)~20日(金)。参加費無料です。事前申込でのツアー形式の観覧とのこと(会場の詳細な住所は申込後に案内されます)。【ap・ad】

ロングセラー、ロングライフの原点

ライブオフィス「BRIDGEHEAD Shimbashi」で、不定期に開催されるギャラリー展示の第一回。
長く使われているプロダクトの製造当時の広告などを垂れ幕展示で紹介し、創造の原点と系譜を辿る展示会。
年月とともに作り手と使い手の間で、プロダクトや建築はどう変わっていくのか、そして、その先の未来へ向けて。

リリーステキストより

パナソニック
1918年の創業から、現在も販売中の「アタッチメントプラグ」や「二股ソケット」(現行モデルは現在も万単位で出荷中)から見る商品の進化とその他ロングセラー商品群に学ぶ普遍的な価値について。

ケイミュー
ロングセラー屋根材COLORBEST(カラーベスト)「コロニアル」が、発売から60年以上経っても使われ続けている理由について。

ユニオン
「ARTWARE in history」数々の名品を生み出してきたユニオンのアートウェア。歴史的建築作品に採用されたドアハンドルの名品から、建築家達の意思と個性とそれらを具現化させていった巧の技術を現在に伝える。

井上スダレ
伝統的工芸品「大阪金剛簾」を守り育てながら、70年を超えるロングセラーの米国リッチライトと正規日本代理店契約を結び、スケートボード・BMXパークの可動セクションの製造もおこなう。製造当時の写真と商品展示。

トランジスタ
不動産のロングライフ商品であるヴィンテージマンションを購入する場合の住宅ローンの組み方、購入前やリフォーム時の注意点について解説します。

建築家&BRIDGEHEADのリノベ―ション作品展示
銭湯や倉庫をオフィスや店舗にコンバージョンした事例など、建築で生まれ変わる建物の事例紹介

・小山 光(株式会社キー・オペレーション) コンビニ→シェアハウス
・後藤 周平(後藤周平建築設計事務所) 歯科医院兼用住宅→事務所兼用住宅
・中島 裕子(株式会社FUGA) 倉庫→シェアオフィス
・古屋 英紀(古屋建築設計事務所) 倉庫→スタジオ(部分改修)
・BRIDGEHEAD 銭湯→ショールーム付きオフィス

リリーステキストより

以下に、ポップアップギャラリーと関連イベントの詳細を掲載します。

ニイノ建設と麻生征太郎建築設計による、東京・大田区の「大森町の集合住宅」。活気のある商店街の中での計画。賑わいを享受しつつも“落ち着ける”住環境”を目指し、四周に回した“コンクリートの帯”の高さを変えて内外の関係を調整する建築を考案。上階に行くほど段階的に開放度を上げる
ニイノ建設と麻生征太郎建築設計による、東京・大田区の「大森町の集合住宅」。活気のある商店街の中での計画。賑わいを享受しつつも“落ち着ける”住環境”を目指し、四周に回した“コンクリートの帯”の高さを変えて内外の関係を調整する建築を考案。上階に行くほど段階的に開放度を上げる外観 photo©関拓弥
ニイノ建設と麻生征太郎建築設計による、東京・大田区の「大森町の集合住宅」。活気のある商店街の中での計画。賑わいを享受しつつも“落ち着ける”住環境”を目指し、四周に回した“コンクリートの帯”の高さを変えて内外の関係を調整する建築を考案。上階に行くほど段階的に開放度を上げる鳥瞰 photo©関拓弥
ニイノ建設と麻生征太郎建築設計による、東京・大田区の「大森町の集合住宅」。活気のある商店街の中での計画。賑わいを享受しつつも“落ち着ける”住環境”を目指し、四周に回した“コンクリートの帯”の高さを変えて内外の関係を調整する建築を考案。上階に行くほど段階的に開放度を上げる5階、402号室 photo©関拓弥

ニイノ建設一級建築士事務所麻生征太郎建築設計が設計した、東京・大田区の「大森町の集合住宅」です。
活気のある商店街の中での計画です。建築家は、賑わいを享受しつつも“落ち着ける”住環境”を目指し、四周に回した“コンクリートの帯”の高さを変えて内外の関係を調整する建築を考案しました。そして、上階に行くほど段階的に開放度を上げる設計となっています。

商店街に面する敷地に立つ集合住宅である。

通りは1日を通して活気があり、人や車の往来が多い。施主からは、1階は周囲の建物にならいテナントとし、2~5階は単身者を主とした住戸とするよう求められた。商店街の賑わいを感じつつも、通りからの視線や音を遮り、落ちついた住環境をつくることが主題となった。

建築家によるテキストより

私たちは、建物の四周、階ごとにコンクリートの帯を回し、その高さを変化させることで、内外の関係を調整できないかと考えた。
2階は床から1100mmまで、3階は850mm、4階は600mmがコンクリート帯天端レベルである。上階にいくほど開放度があがり、部屋も明るくなっていく。部屋の明るさのみを考えれば下階の窓が大きい方が良いのだが、ここでは、商店街からの視線、音の問題が大きく、それらを遮るために下階のコンクリートの帯の立ち上がりが最も高い。

建築家によるテキストより

周辺環境との応答から生まれたコンクリートの帯を、建物の個性とするべく、そのディテールにも注意を払った。
コンクリートの帯の量感がより感じられるよう、バルコニー軒天の水切り目地はなしとしている。コンクリート打設の際に支保工を若干軒先側で下げ勾配を取り、水の侵入を防いでいる。隣地境界側のサッシ下端の水切り金物を無くし、モルタルで成形し、勾配の先端を帯の上端に揃えることによって、余計な線を減らしている。バルコニーに置かれる室外機、給湯器を、白く塗りこんだ耐力壁が目隠しとなり隠すことで、立面は抽象度を増し、すっきりとした外観となった。

建築家によるテキストより
尾崎泰永 / 尾崎建築事務所による、東京・品川区の住戸改修「ROOM-M」。約50㎡の区画での家族3人の住まい。景観享受と個室数確保等を求め、詳細な想定を基にした寸法の“チューニング”から導いた“屏風壁”で空間を分割する構成を考案。都市住居に必要な合理性と柔軟性を空間に付与
尾崎泰永 / 尾崎建築事務所による、東京・品川区の住戸改修「ROOM-M」。約50㎡の区画での家族3人の住まい。景観享受と個室数確保等を求め、詳細な想定を基にした寸法の“チューニング”から導いた“屏風壁”で空間を分割する構成を考案。都市住居に必要な合理性と柔軟性を空間に付与玄関から開口越しにリビングと部屋1(寝室)を見る。 photo©松浦範子
尾崎泰永 / 尾崎建築事務所による、東京・品川区の住戸改修「ROOM-M」。約50㎡の区画での家族3人の住まい。景観享受と個室数確保等を求め、詳細な想定を基にした寸法の“チューニング”から導いた“屏風壁”で空間を分割する構成を考案。都市住居に必要な合理性と柔軟性を空間に付与ダイニングからリビングを見る。 photo©松井進
尾崎泰永 / 尾崎建築事務所による、東京・品川区の住戸改修「ROOM-M」。約50㎡の区画での家族3人の住まい。景観享受と個室数確保等を求め、詳細な想定を基にした寸法の“チューニング”から導いた“屏風壁”で空間を分割する構成を考案。都市住居に必要な合理性と柔軟性を空間に付与部屋2(仕事場) photo©松井進

尾崎泰永 / 尾崎建築事務所が設計した、東京・品川区の住戸改修「ROOM-M」です。
約50㎡の区画に家族3人の住まいを作る計画です。建築家は、景観享受と個室数確保等を求め、詳細な想定を基にした寸法の“チューニング”から導いた“屏風壁”で空間を分割する構成を考案しました。そして、都市住居に必要な合理性と柔軟性を空間に付与する事も意図されました。

今計画は近年リノベーションされていた築38年の商品化住戸だった。
クライアントは夫婦+子供の3人家族だが、複数の個室が欲しいなど、希望を根本的に満たせていない50㎡程の1LDK住戸であった。間取りは合っていなかったが、都心でサクラ並木の景観が期待できる立地を優先し、商品化住戸を購入したうえで、更にリノベーションを行うこととなった。

建築家によるテキストより

そこでまず、サクラの見える北側に広い空間を得るため、全体を南北方向から東西方向に分けなおす直線の壁を設定し、さらに壁の位置をチューニングした。玄関を広くしたい、TV とソファの距離をもっと離したい、キッチンとダイニングは横並びにしたい、廊下は最小幅でいい、部屋はベッドサイズギリギリでよい、といった置かれる家具を具体的に想定して検討を行いながら、直線設定だった壁の位置を動かし、最後にそれらをつないで、個々の居場所と室内の一体感が共存するような一続きの屏風壁としてフィックスさせた。

建築家によるテキストより

住み手の空間感覚を反映するなかで収束した屏風壁は、商品化住戸を住み手の感覚にチューニングするためのアイデアであり、面積の限られた都市の住空間をムダなく使うためのアイデアでもある。

屏風壁には窓を穿ち、視線の抜けを増やし、奥の部屋や玄関からも窓の先の窓の向こうにサクラが見通せる。さらに屏風壁に絡むかたちで引戸を計画し、引戸を開ければぐるりとまわれるワンルーム、閉じれば最大3つの個室が生まれる計画となっている。

建築家によるテキストより
山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る
山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る俯瞰 photo©Lamberto Rubino
山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階から2階への階段、正面にあるのは書庫。 photo©Lamberto Rubino

山之内淡 / AWGLが設計した、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」です。
“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエです。建築家は、全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案しました。そして、猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る事が意図されました。

東京都心から約1時間。歴史が深く緑豊かな鎌倉の敷地に立つ設計者の自邸兼アトリエの計画。
暮らすのは30代の夫婦と2匹の猫である。猫にとって、家は世界だと思う。愛猫から家のあり方を学びたいと考え、“2匹の愛猫”を“2人の施主”に見立てた。

建築家によるテキストより

猫たちからの要望の1つ目はその日その時間で“好みの温度の層”を選べること。2つ目は“付かず離れずの距離感”で家族と同じ空間に居られること。3つ目は“安全な居場所”を複数持ち四季に合わせて移動することだった。

建築家によるテキストより

私たちはまず家全体を1つの大きなキャットツリーとして設計する方針を定めた。
天窓のある吹抜空間を中心に螺旋状に階段が取り囲む計画とし、階段の踏面・蹴上寸法を猫の身体寸法に合わせて設計した。家全体が細かな(23のレベルの)“温度の層”のストライプに分けられ、どこに居ても違和感なく視線が通るよう工夫した。
階段の南側と西側には壁一面に本棚を配置した。私たち人間にとっては階段状の書庫となり猫たちにとっては十分な大きさのベッドとなる。階段の構造は日本伝統の南京玉すだれからヒントを得たキャンチレバー構造で設計し、構造をそのまま現し仕上げとして空間にアクセントを加えている。

建築家によるテキストより
葛島隆之建築設計事務所による、東京・千代田区の「Office Idein」。コロナ禍での事務所の稼働率減少に伴う移転計画。“新しい交流の場”への再編を目指し、人が集まる可能性とその空間の作り方を模索。床に設ける段差で平面計画を行い“居場所や家具的な機能”が生まれる空間を作る
葛島隆之建築設計事務所による、東京・千代田区の「Office Idein」。コロナ禍での事務所の稼働率減少に伴う移転計画。“新しい交流の場”への再編を目指し、人が集まる可能性とその空間の作り方を模索。床に設ける段差で平面計画を行い“居場所や家具的な機能”が生まれる空間を作る1階、ラボスペース photo©葛島隆之建築設計事務所
葛島隆之建築設計事務所による、東京・千代田区の「Office Idein」。コロナ禍での事務所の稼働率減少に伴う移転計画。“新しい交流の場”への再編を目指し、人が集まる可能性とその空間の作り方を模索。床に設ける段差で平面計画を行い“居場所や家具的な機能”が生まれる空間を作る2階、執務スペースの詳細 photo©金川晋吾
葛島隆之建築設計事務所による、東京・千代田区の「Office Idein」。コロナ禍での事務所の稼働率減少に伴う移転計画。“新しい交流の場”への再編を目指し、人が集まる可能性とその空間の作り方を模索。床に設ける段差で平面計画を行い“居場所や家具的な機能”が生まれる空間を作る2階、執務スペースの詳細 photo©金川晋吾

葛島隆之建築設計事務所が設計した、東京・千代田区の「Office Idein」です。
コロナ禍での事務所の稼働率減少に伴う移転計画です。建築家は、“新しい交流の場”への再編を目指し、人が集まる可能性とその空間の作り方を模索しました。そして、床に設ける段差で平面計画を行い“居場所や家具的な機能”が生まれる空間を作りました。施主企業の公式サイトはこちら

IT系ベンチャー企業Ideinのオフィス移転に伴う内装計画。

もともとリモートワークを導入していた企業であったが、コロナ禍によりそれが加速し、オフィスの稼働率が1~2割程度まで減ったことから移転する事を決めた。移転により、約500㎡あった大きな一室空間から約60㎡×3= 約180㎡(3階建ての1棟借り)となる。移転前のオフィスのようにワンフロアでみんなが集まって同じスタイルで仕事をするのではなく、オフィスという場所を何か新しいコミュニケーションの場に変えたいとの事であった。

建築家によるテキストより

求められた機能は、フリーアドレスの執務空間や個別ブース、商品をテストする為のラボスペース、ディスカッションの場、会議スペースなどである。従来の汎用的な合理性をもったオフィス、あるいはカフェやレンタルオフィスの空間では代替できない、自社にリアルで人が集まる可能性とその空間のつくり方を模索し、身体スケールによって作られるオフィスを考えた。

建築家によるテキストより

具体的には床に40cmの段差を設け、その段差によって平面計画を行う事とした。
底面は既存のデッキコンクリート現し(2階はコンクリートの上にカーペット貼り)、造作面はモルタルで仕上げ、その取り合いや縁にアールをつける事で一体化し、大地や水が作り出す地形のような雰囲気とした。
段差によって人が腰を掛けたり、ゆるやかに領域を分けたり、床が展示ブースになったりと細かな居場所や家具的な機能が生まれる。ランドスケープのような一体的な風景の中に具体的な空間をちりばめた。

建築家によるテキストより

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