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フォレンジック・アーキテクチャーの代表 エヤル・ワイズマンへの、2022年4月に行われたインタビューの動画「過去を見つめ、未来を変革する」

フォレンジック・アーキテクチャーの代表 エヤル・ワイズマンへの、2022年4月に行われたインタビューの動画「フォレンジック・アーキテクチャーは、過去を見つめ、未来を変革する」です。動画の制作はルイジアナ美術館です。
フォレンジック・アーキテクチャーは2019年に、イギリスの権威あるアートのアワード「ターナー賞」にノミネートされるなどでも注目を集めました。こちらにも、日本語で読める紹介記事があります。

(翻訳)
「真実は誤りの中にあります」。フォレンジック・アーキテクチャーの代表、エヤル・ワイズマンに会い、彼の仕事と、世界を理解するための重要なツールとしての建築の可能性について、魅力的な詳細インタビューを行いました。

「物心ついたときから、建築家になりたいと思っていました」。イスラエルのハイファで育ったエヤル・ワイズマンは、早くから「建築の政治的意義」に対する理解を深めていました。

「近隣の地域がどのように構成されているのかがわかりました。パレスチナ人のコミュニティとユダヤ人のマジョリティの間の境界線が見えたのです」

フォレンジック・アーキテクチャーは、伝統的な建築企業とは一線を画しています。国家、警察、軍隊、企業による暴力を含む人権侵害を調査する学際的な研究グループです。建築家だけでなく、アーティスト、ソフトウェア開発者、ジャーナリスト、弁護士、アニメーターなどが参加しています。草の根活動家、国際NGO、メディア組織と協力し、政治紛争、警察の残虐行為、国境体制、環境暴力の影響を受ける人々のために調査を行っています。
フォレンジック・アーキテクチャーは、建築的なツールや方法を用いて、特定の事件を広義の空間的・建築的に分析します。3Dで視覚化しレンダリングすることで、空間を再構築するだけでなく、そこで何が起こったのかを記録するのです。
「建築とは、建物を建てることだと勘違いされています。建築はそうではありません。建築とは、その中での機能や人々のチャンネル、行動を開いたり閉じたりことによって可能になる、流動性や関係性のことなのです。建築とは、事件や出来事、その中で起こる社会的関係についてのものだと理解すれば、社会的関係や出来事をより良い方法で理解することができるようになるのです。実際、非常にユニークな方法です」と、エヤル・ワイズマンは言います。

フォレンジック・アーキテクチャーは、素材や構造物、そして人々に声を与え、それらに対して行われた犯罪の証拠を翻訳し、画像や音で語りかけることによって、その物語を広めます。暴力の事件とその目撃者が空間的に分析されるとき、それらは視覚的な形を獲得します。したがって、フォレンジック・アーキテクチャーは、空間がその中で起こる出来事にどのように感化されるかを研究する美的実践でもあります。証言の調査や表現は、出来事がどのように知覚され、文書化され、提示されるかに依存します。

「フォレンジック・アーキテクチャーの原則に『ルック・ハード・プリンシパル』と呼ばれるものがあります。今日、フォレンジック・アーキテクチャーが調査している犯罪の多くは、都市の中、建物の中で起こっているため、建築はその痕跡を保存する媒体となるのです」

犯罪や紛争に関する既成の調査方法とは異なり、フォレンジック・アーキテクチャーは、事件が起こった空間に基づいてその事件を解明するために、型破りでユニークな方法をいくつか採用しています。また、目撃者、証言、証拠といった概念や、それらの相互関係をマッピングし、理解することに多くの注意を払います。人権に関する言説の中心に位置する目撃者の証言は、法廷での口頭での証言(viva voce)以上のものである可能性があります。葉っぱ、ほこり、レンガなど、どんな物質でも証言することができるのです。

フォレンジック・アーキテクチャーは、オープンソースのデータを使い、一部は彼ら自身のデザインによる最先端の手法で分析し、物質的な証拠を調査し、その声を伝えています。3Dモデルを使用し、トラウマとなるような出来事を経験した目撃者の記憶を呼び起こすのです。その目的は、問題の事件が起こった「空間」を再構築し、この構築されたモデルの中で関連する出来事を再演することです。
最も重要な情報源は、ソーシャルメディア、ブログ、政府のウェブサイト、衛星データソース、ニュースサイトなど、公共のものであることが多い。画像、データ、証言などを駆使し、その結果をオンラインで公開する一方、一部の事例をギャラリーや博物館で展示するフォレンジック・アーキテクチャーは、その調査を新しいタイプの法廷に持ち込んでいるのです。
「私たちの仕事はケアについてです。注意を払うことです。痕跡に気づき、それを記録する能力を開発し、強化することです。しかし、それだけではありません。しかし、それだけでは不十分で、その痕跡をつなぎ合わせる必要があるのです。その意味で、私たちの仕事は探偵のようなものです。未来を変えるために過去を見るのです」

ピーター・ズントーとアーティストのオトボン・ンカンガが、2022年4月に行ったトークの動画

ピーター・ズントーとアーティストのオトボン・ンカンガ(Otobong Nkanga)が、2022年4月に行ったトークの動画です。ブレゲンツ美術館の主催で行われたものです。

(翻訳)
2022年夏、ブレゲンツ美術館は創立25周年を迎え、ヴェネチア・ビエンナーレの期間中にヴェネチアで展覧会を開催しています。
オープニング後の数日間、選ばれたアーティストとゲストによる一連のトークイベントが開催されました。初日の夜は、サン・フランチェスコ・デラ・ヴィーニャの回廊で、オトボン・ンカンガとブレゲンツ美術館を設計した建築家ピーター・ズントーが対談を行いました。

(原文)
In the summer of 2022, Kunsthaus Bregenz is celebrating its 25th anniversary and with an exhibition in Venice during the Biennale di Venezia.
In the days after the opening, a series of talks with selected artists and guests took place. On the first evening, Otobong Nkanga and KUB architect Peter Zumthor were talking in the cloister of San Francesco della Vigna.

佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示
佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示 photo©comuramai
佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示 photo©comuramai
佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示 photo©comuramai

佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、東京・本駒込のギャラリー“ときの忘れもの”で開催されます。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示します。開催期間は2022年3月25日~4月3日。展覧会の公式ページはこちら佐藤の建築作品はアーキテクチャーフォトでも度々特集記事として紹介しています。

群空洞と囲い

空海による教風が確立された密教を純密と呼ぶのに対して、それ以前の有象無象の密教を雑部密教、雑密と呼ぶことがある。雑密は、地場の神信仰と結合し、体系化されずに断片的かつ同時多発的に生まれ出た、私度の僧による信仰であった。

雑密の内で制作された一木彫の仏像には、当時の腐敗した仏教界、社会全体に怒りの念を表明する、屹立とした荒々しさがあった。おそらくは木彫でないと表現できないような、ドップリと大らかに構えた量感ある異様な造型感覚が注入されていた。

歴史の中では古代から中世への転形と言える束の間の造型であったのかもしれないが、正統に対する異端、中心に対する外縁が担わざるを得ない先鋭性がそこにはあった。造型の極北として、外縁から生まれ出た必然として、雑密仏は再考される必要がある。

そんな、夢想に近い、1000年前の制作への思考を、私は東北地方の片田舎で巡らせている。地域圏は違うが、自分自身が在地社会に身を置いたことで、雑密仏に込められたような外縁としての造型感覚を突き詰めて考えることができるかもしれないと考えた。それは、移動が制限されていた昨今のコンディションによってさらに強く思うに至った。

東北では比較的容易にクリの丸太が手に入る。寒冷地の利であるとも言える。そしてクリの丸太に空洞を彫り抜く。空洞を彫るのは、これが同時に建築の縮減模型の役割も果たすからだ。そして、彫った空洞に鉄をまとわり付かせ、自立させる。自立した空洞は、家具、あるいは何かを囲い込むための道具として、ヒトの生活圏のどこかに位置付けられる。鉄とクリの取り合いは重要な関心事である。なぜならばこの空洞は、ある種の開口部にまつわる実験でもあるからだ。入口と出口。空洞はその形式故に必ずある方向性が定められる。そして方向を持った複数の空洞が、古寺に集結する雑密仏の如く群居し、揺蕩う煙のように微かに連続する風景を企てる。
(佐藤研吾 2021年12月)

以下に、展示される佐藤の作品の一部をプレビューします。

メキシコの建築家 フリーダ・エスコベドが、ニューヨークの、メトロポリタン美術館の新棟の設計者に

メキシコの建築家 フリーダ・エスコベドが、ニューヨークの、メトロポリタン美術館の新棟の設計者に選ばれています。リンク先はニューヨークタイムズです。フリーダは現在42歳の女性建築家で、2018年にはサーペンタインパヴィリオンの設計も手掛けました。こちらに日本語で読めるインタビューがあります。

以下は、フリーダが手掛けた2018年のサーペンタインパヴィリオンの様子とインタビューを収録した動画です。

西澤徹夫が会場構成を手掛けた、京都市京セラ美術館での森村泰昌の展覧会「ワタシの迷宮劇場」の様子を紹介する動画

西澤徹夫が会場構成を手掛けた、京都市京セラ美術館での森村泰昌の展覧会「ワタシの迷宮劇場」の様子を紹介する動画です。作家の森村泰昌の解説付き。こちらのPDFに簡易的なプランが掲載されています。会期は、2022年6月5日まで。

京都市京セラ美術館の開館1周年記念展のひとつとして、日本を代表する現代美術家の一人、森村泰昌(1951年大阪生まれ)の個展を開催します。

1970年代に京都市立芸術大学で学んだ森村は、美術史における名画の登場人物や歴史上の人物、女優に扮するセルフポートレートを制作することで、ジェンダーや人種を含んだ個人のアイデンティティの多重性を視覚化し、個人史と歴史の交錯点を表現してきました。近年では、ジャパン・ソサエティ(2018年)、プーシキン美術館(2017年)、国立国際美術館(2016年)、アンディ・ウォーホル美術館(2013年)、アーティゾン美術館(2021年)での個展開催のほか、「横浜トリエンナーレ2014」でアーティスティックディレクターを務めるなど、国内外で活躍を続けています。

出品作品は、これまでほとんど発表されることのなかった、1984年から撮りためている秘蔵のインスタント写真約800枚に加え、1994年に森村が自作の小説を自ら朗読したCD《顔》の音源をもとに、展示室に特設の音響空間をしつらえ、無人朗読劇として再制作します。本展は、森村の京都における1998年以来の大規模な個展であり、35年余り継続されてきた私的世界の全貌を公開する初の試みとなります。

何者かになり変わることで自己を解体し、一個人における複数の顔を露呈する森村の表現は、スマートフォンの進化やSNSの普及によって身近になった「自撮り」と共通しながらも、決定的に異なる面を持っています。そこには、自己への透徹した眼差しと、一人の人間が複数の存在として生きていくことへの圧倒的な肯定を見ることができます。コロナ禍において、あらためて自身の制作の原点に立ち返ることでこれからを模索する、森村の現在を提示する展覧会となるでしょう。

建築写真家のヘレネ・ビネットが、バワ財団の主催で行った講演の動画。ズントー建築等の撮影でも知られる

建築写真家のヘレネ・ビネットが、ジェフリー・バワ財団の主催で行った講演の動画です。ピーター・ズントーの建築等の撮影でも世界的に知られています。

(翻訳)
ジェフリー・バワ・トラストにて、著名な建築写真家であるヘレネ・ビネとの対談を開催します。ジェフリー・バワの作品を撮影してきたビネは、バワの庭園「ルヌガンガ」との出会いを、自身のキャリアにおいて極めて重要な瞬間であったと述べています。この特別イベントでは、ビネが自身のアーカイブからルヌガンガとエナ・デ・シルヴァ邸の写真(その多くは初公開)を紹介し、その実践について語ります。

(原文)
Join us at the Geoffrey Bawa Trust for a conversation with acclaimed architectural photographer Hélène Binet. A fervent advocate of analogue photography, working exclusively with film, and a firm believer that ‘the soul of photography is its relationship with the instant,’ Binet has photographed Geoffrey Bawa’s work and describes her encounter with Bawa’s garden Lunuganga, as a pivotal moment in her career. In this special event Binet will share photographs of Lunuganga and the Ena de Silva house from her archives, many of which have not been shown previously, and speak about her practice.

漫画家で美術家の横山裕一による、広島市でのアートプロジェクト「『実施しろ』『何をだ』」のダイジェスト動画。市内の様々な場所で作品が展開される様子を紹介

漫画家で美術家の横山裕一による、広島市でのアートプロジェクト「renovation2023.hiroshima-moca.jp”>『実施しろ』『何をだ』」のダイジェスト動画です。市内の様々な場所で作品が展開される様子を紹介しています。2010年にはトラフの会場構成で美術館での個展を行っていたりもします。

疾走感のある描線や独特なキャラクターたちの繰り広げるナンセンスな会話等で「ネオ漫画」とも称される横山裕一の作品が、比治山公園に点在する看板や工事のための通行止めフェンスなどに登場。さらに、比治山を飛び出して市内の様々な場所に展開していく。作品は今回のプロジェクトのための描き下ろし。比治山やゲンビにまつわることがらをテーマに、登場人物たちによる不思議な会話が繰り広げられます。

広島市現代美術館で展開中の休館中プロジェクト、横山裕一:「実施しろ」「何をだ」。
https://renovation2023.hiroshima-moca…
2021年5月~2022年3月にかけ、広島市内の様々な場所で展開されている本プロジェクトの様子をダイジェストでお届けします。

横山裕一「実施しろ」「何をだ」ダイジェスト動画
撮影・編集:越智正洋

ミースが1952年に計画して頓挫したインディアナ大学の施設が70年の時を経て完成。2013年に眠っていた設計図が発見され、寄付を資金に建設計画が開始、トーマス・ファイファー事務所が現代用途に合うようアレンジし設計
ミースが1952年に計画して頓挫したインディアナ大学の施設が70年の時を経て完成。2013年に眠っていた設計図が発見され、寄付を資金に建設計画が開始、トーマス・ファイファー事務所が現代用途に合うようアレンジし設計 Image courtesy the Eskenazi School of Art, Architecture + Design, Indiana University. © Hadley Fruits
ミースが1952年に計画して頓挫したインディアナ大学の施設が70年の時を経て完成。2013年に眠っていた設計図が発見され、寄付を資金に建設計画が開始、トーマス・ファイファー事務所が現代用途に合うようアレンジし設計 Image courtesy the Eskenazi School of Art, Architecture + Design, Indiana University. © Hadley Fruits
ミースが1952年に計画して頓挫したインディアナ大学の施設が70年の時を経て完成。2013年に眠っていた設計図が発見され、寄付を資金に建設計画が開始、トーマス・ファイファー事務所が現代用途に合うようアレンジし設計 Image courtesy the Eskenazi School of Art, Architecture + Design, Indiana University. © Hadley Fruits

ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが1952年に計画して頓挫した、アメリカのインディアナ大学の施設が70年の時を経て完成しました。2013年に眠っていた設計図が発見され、寄付を資金に建設計画が開始、トーマス・ファイファー・アンド・パートナーズが現代用途に合うようアレンジした設計を手掛けました。アーキテクチャーフォトでは2021年6月に建設時の様子を紹介していました。

こちらはリリーステキストの翻訳

インディアナ大学、エスケナージ・美術・建築・デザイン学部のミース・ファン・デル・ローエ校舎を開設
70年の時を経て再発見されたミースのデザイン、2022年春学期スタートで教員と学生を迎え入れる
2022年4月8日にオープンハウスとレセプションを開催予定

インディアナ大学エスケナージ・美術・建築・デザイン学部のペグ・ファイモン学部長は、本日、同校のミース・ファン・デル・ローエ館が春学期の学生、教員、一般に開放されたことを発表しました。この建物は、ミースがブルーミントン・キャンパスのために1952年に設計したものが、最近になって再発見されたもので、同校の共有施設として使用されます。この設計は、トーマス・ファイファー・アンド・パートナーズの建築チームによって、現代の用途に合うように繊細にアレンジされています。講義、ワークショップ、学生の共同作業、事務、オフィスなどのスペースが含まれています。

元々はIU(インディアナ大学)の友愛団体パイ・ラムダ・ファイの支部に依頼されたもので、その後、支部に放棄され、約60年間、ミースのデザインは忘れ去られていました。2013年、旧支部のメンバーであるシドニー・エスケナージが、IUのマイケル・A・マクロビー学長(当時)に、この建物のミースの設計図が存在することを知らせたことで、再びその存在が明らかになりました。再発見の軌跡をたどり、IUはシカゴ美術館とニューヨーク近代美術館のアーカイブからプロジェクトの資料を発見しました。2019年、IUは1万平方フィート(約930㎡)の2階建て建物を実現すると発表し、シドニー&ロイス・エスケナージ夫妻からの2000万ドルの寄付の一部で建設費をまかなうことになりました。

幅60フィート(約18m)、長さ140フィート(約42)の建物は、主に白く塗られた薄い鉄と、10フィート(約3m)四方の窓ガラスでできており、厳選されたグレーの石灰岩と白いエポキシテラゾが使用されています。2階は床から天井までの窓で覆われ、中央には正方形のアトリウムがあり、建物全体が透明であるかのような印象を与えます。低層部の大部分は空気に開放され、2階またはメイン階は地上面より優雅に持ち上がっています。建築的には、同時代のファンズワース邸や、ミースの初期のコンセプトであるイリノイ工科大学の多くの建築物の質量や形態と強い関連性を持っています。また、ミースとフローレンス・ノールがそれぞれデザインした家具は、建物のデザインと時代を引き立たせるために選ばれています。

Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、パリの「ザ・アール・サー二・コレクション ミュージアムスペース」。18世紀築の歴史的建物内のギャラリー空間で、5千年以上の時間に及ぶコレクションを有する財団の為に設計、マニフェスト“未来の考古学”に基づいたリサーチにより“時空を超えた対話”を目指す
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、パリの「ザ・アール・サー二・コレクション ミュージアムスペース」。18世紀築の歴史的建物内のギャラリー空間で、5千年以上の時間に及ぶコレクションを有する財団の為に設計、マニフェスト“未来の考古学”に基づいたリサーチにより“時空を超えた対話”を目指す photo©Takuji Shimmura
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、パリの「ザ・アール・サー二・コレクション ミュージアムスペース」。18世紀築の歴史的建物内のギャラリー空間で、5千年以上の時間に及ぶコレクションを有する財団の為に設計、マニフェスト“未来の考古学”に基づいたリサーチにより“時空を超えた対話”を目指す photo©Takuji Shimmura
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、パリの「ザ・アール・サー二・コレクション ミュージアムスペース」。18世紀築の歴史的建物内のギャラリー空間で、5千年以上の時間に及ぶコレクションを有する財団の為に設計、マニフェスト“未来の考古学”に基づいたリサーチにより“時空を超えた対話”を目指す photo©Takuji Shimmura
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、パリの「ザ・アール・サー二・コレクション ミュージアムスペース」。18世紀築の歴史的建物内のギャラリー空間で、5千年以上の時間に及ぶコレクションを有する財団の為に設計、マニフェスト“未来の考古学”に基づいたリサーチにより“時空を超えた対話”を目指す photo©Takuji Shimmura

Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが設計した、フランス・パリの「ザ・アール・サー二・コレクション ミュージアムスペース」です。18世紀築の歴史的建物内“オテル・ドゥ・ラ・マリン”内のギャラリー空間で、5千年以上の時間に及ぶコレクションを有する財団の為に設計、マニフェスト“未来の考古学”に基づいたリサーチにより“時空を超えた対話”を目指しました。

オテル・ドゥ・ラ・マリンは18世紀にルイ15世の命により、王室主任建築家であったアンジュ=ジャック・ガブリエルによって設計されました。パリの中心コンコルド広場の正面に位置しフランス王室のコレクションを保管するために建てられた歴史的建造物です。

建築家によるテキストより

ザ・アール・サー二・コレクションは、世界の多様な文明や文化、古代の神々、人類の知恵、自然への賛美など、5,000年以上の遠い時間に及ぶ世界最大級のコレクションを有しています。彼らは、「普遍的な美」と「21世紀の美術館」を融合させた新しいギャラリー空間の設計を、ATTA – Atelier Tsuyoshi Tane Architectsに委ねました。

建築家によるテキストより

ATTAのマニフェスト「未来の考古学」に基づき、リサーチはオテル・ドゥ・ラ・マリンの記憶の発掘から始まり、ヴェルサイユの床パターンやロカイユ様式の装飾など、歴史に埋もれた発明物語を掘り起こし、未来のアイデアへと変換していったのです。

18世紀のフランスの歴史、古代人の創造物、21世紀と未来、それらを超越した記憶の重ね合わせによって、このプロジェクトのコンセプトはシームレスな「時空を超えた対話」となったのです。

建築家によるテキストより
オラファー・エリアソンとハンス・ウルリッヒ・オブリストが2021年9月に行った講演の動画

オラファー・エリアソンとハンス・ウルリッヒ・オブリストが2021年9月に行った講演の動画です。バイエラー財団美術館でのエリアソンの展示に合わせて行われたものです。英語字幕付き。

(翻訳)
25年以上にわたり、オラファー・エリアソンは知覚、動き、体感、自己の感情について探求してきました。彼にとってアートは、思考を世界での行動に移すための重要な手段です。彫刻、絵画、写真、映像、インスタレーションなど、エリアソンの多様な作品は、世界中で広く展示されています。美術館やギャラリーにとどまらず、建築プロジェクトや市民空間への介入を通じて、より広い公共圏を巻き込んだ活動を行っています。エリアソンの作品は、人間、非人間を問わず、複数の視点を受け入れることで、鑑賞者に未来の共存の形を探求するよう促しています。今回のバイエラー財団での個展では、美術館を舞台に、私たちが抱く自然や文化に対する先入観を、国境を越えて問い直します。

(原文)
For over 25 years, Olafur Eliasson’s work has explored perception, movement, embodied experience, and feelings of self. Art, for him, is a crucial means for turning thinking into doing in the world. Eliasson’s diverse works – including sculpture, painting, photography, film, and installations – have been exhibited widely throughout the world. Beyond the museum and gallery, his practice engages the broader public sphere through architectural projects and interventions in civic space. Eliasson’s art invites viewers to explore future forms of coexistence by welcoming multiple perspectives – human and non-human alike. For his solo show at the Fondation Beyeler, the artist immersed the museum in a border-crossing investigation of our preconceptions of nature and culture.

展示の写真も掲載します。

アーティストの塩田千春の、中国・上海の龍美術館での展覧会「The Soul Trembles」の会場の動画。塩田のインタビューも収録

アーティストの塩田千春の、中国・上海の龍美術館での展覧会「The Soul Trembles」の会場の動画です。塩田のインタビューも日本語で収録されています。森美術館での「塩田千春展:魂がふるえる」が巡回したものです。会期は2022年3月26日まで。

西澤徹夫と青木淳が参加して、2021年9月にJIAの主催で行われた講演「歴史的建築に現代の息吹を与える 京都市京セラ美術館のリノベーション」の動画

西澤徹夫青木淳が参加して、2021年9月3日にJIAの主催で行われた講演「歴史的建築に現代の息吹を与える 京都市京セラ美術館のリノベーション」の動画です。

京都京セラ美術館のリノベーション[西澤徹夫]…現存する最古の公立美術館である京都市美術館は、1933 年に開館して以来、京都の文化的な中心地としての役割を果たして来ましたが、築後 80 年あまりを経て各所で老朽化が進行していました。また、近年の増加著しい観光客や観覧者が求める都市空間とサービス機能への対応も求められました。大型化し素材や展示方法も多様化した現代の美術作品に適した展示空間を提供できない状況でした。このため、歴史的な美術館の姿を後世に残しながらも現代のニーズに応える「保存と活用」をいかにすべきかとの課題に、私たちは西側正面広場をスロープ状に掘り下げて、新たなエントランスにすること、そこから中央ホールへ階段であがり、東側の日本庭園へ抜ける東西貫通動線を骨格としました。京都市美術館がこれまで育んできた文化的な厚み、美術館の可能性など、歴史を重層させるリノベーションについてお話しさせて頂きます。

ヘルツォーグ&ド・ムーロン、TFPファレルズ、アラップによる、中国・香港の美術館「M+」。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアムで、ファサードに大型スクリーンを備えた記念碑的な外観と、埋め立て地だからこそ生まれた巨大な地下展示空間を含む33のギャラリーをもつ建築
ヘルツォーグ&ド・ムーロン、TFPファレルズ、アラップによる、中国・香港の美術館「M+」。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアムで、ファサードに大型スクリーンを備えた記念碑的な外観と、埋め立て地だからこそ生まれた巨大な地下展示空間を含む33のギャラリーをもつ建築 M+, Hong Kong Photo: Virgile Simon Bertrand ©Virgile Simon Bertrand Courtesy of Herzog & de Meuron
ヘルツォーグ&ド・ムーロン、TFPファレルズ、アラップによる、中国・香港の美術館「M+」。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアムで、ファサードに大型スクリーンを備えた記念碑的な外観と、埋め立て地だからこそ生まれた巨大な地下展示空間を含む33のギャラリーをもつ建築 M+, Hong Kong Photo: Kevin Mak ©Kevin Mak Courtesy of Herzog & de Meuron
ヘルツォーグ&ド・ムーロン、TFPファレルズ、アラップによる、中国・香港の美術館「M+」。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアムで、ファサードに大型スクリーンを備えた記念碑的な外観と、埋め立て地だからこそ生まれた巨大な地下展示空間を含む33のギャラリーをもつ建築 M+, Hong Kong Photo: Edman Choy Courtesy of Herzog & de Meuron
ヘルツォーグ&ド・ムーロン、TFPファレルズ、アラップによる、中国・香港の美術館「M+」。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアムで、ファサードに大型スクリーンを備えた記念碑的な外観と、埋め立て地だからこそ生まれた巨大な地下展示空間を含む33のギャラリーをもつ建築 The Main Hall, M+, Hong Kong Photo: Kevin Mak ©Kevin Mak Courtesy of Herzog & de Meuron
ヘルツォーグ&ド・ムーロン、TFPファレルズ、アラップによる、中国・香港の美術館「M+」。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアムで、ファサードに大型スクリーンを備えた記念碑的な外観と、埋め立て地だからこそ生まれた巨大な地下展示空間を含む33のギャラリーをもつ建築 Installation view of Individuals, Networks, Expressions in South Galleries Photo: Kevin Mak ©Kevin Mak Courtesy of M+, Hong Kong

ヘルツォーグ&ド・ムーロンTFPファレルズ(ローカルパートナー)、アラップ(エンジニアリングコンサルタント)が設計した、中国・香港の美術館「M+」。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアムで、ファサードに大型スクリーンを備えた記念碑的な外観と、埋め立て地だからこそ生まれた巨大な地下展示空間を含む33のギャラリーをもつ建築となっています。本記事では写真とテキストに加え約15分の美術館をガイドする動画も掲載します。

こちらはリリーステキストを抜粋して翻訳したものです

香港のM+が2021年11月12日(金)に一般公開。アジア初の世界的な視覚文化のミュージアム

(2021年11月11日、香港)香港の西九龍文化区にあるアジア初の世界的な現代視覚文化ミュージアム「M+」は、2021年11月12日(金)に一般公開され、3日間の週末には誰もが楽しめる祝賀プログラムが用意されています。

オープニング・ディスプレイでは、香港、大中華圏、アジアをはじめとする世界各国のビジュアル・アート、デザイン、建築、動画など、M+の傑出したコレクションを紹介します。これらの展示では、33のギャラリーと館内のその他のスペースにある約1,500点の作品が紹介されます。

新しいギャラリーのオープニングを飾る6つの展覧会では、M+が2012年から構築してきたコレクションの中心にある、包括的な学際的、地域的なテーマや物語をご紹介します。

─ 香港:Here and Beyond(G/F、メインホールギャラリー):「Here」、「Identities」、「Places」、「Beyond」の4つの章で構成され、1960年代から現在までの香港の変貌とユニークな視覚文化を表現しています。

─ M+ Sigg Collection: M+ Sigg Collection: From Revolution to Globalisation(レベル2、シグギャラリー):M+ Siggコレクションから1970年代から2000年代までの中国現代美術の発展を年代順に紹介しています。

─ Things, Spaces, Interactions(レベル2、イーストギャラリー):過去70年間の国際的なデザインと建築をテーマ別、年代別に紹介し、今日の生活との関連性を探る。

─ Individuals, Networks, Expressions(レベル2、南ギャラリー):アジアの視点から語られる戦後の国際的なビジュアルアートの物語です。

─ アントニー・ゴームリー「Asian Field」(レベル2、ウェストギャラリー):世界的に有名なイギリス人彫刻家が、2003年に広東省の村の300人の村人たちと5日間かけて制作した数万個の土偶の大規模なインスタレーション。

─ The Dream of the Museum(レベル2、コートヤードギャラリー):M+のアジアにおけるユニークなコンテクストの中心となる、コンセプチュアル・アートの世界的な作品群です。

また、メインホールでは、台湾を代表する書道家、トン・ヤン・ツォー(Tong Yang-Tze)の作品を展示しています。また、M+の地下にある大規模な作品展示スペース「ファウンド・スペース」では、ダイナミックなインスタレーションの第一弾として、アーティストのチェン・ジェン(Chen Zhen)とダン・ヴォ(Danh Vo)の作品が展示されます。ヘグ・ヤン(Haegue Yang)による新しいM+ コミッションでは、高さの異なる天井から吊るされた長い金属製のベルの組紐が特徴的です。M+のファサードには、コレクションのハイライトビデオと、ヴァンサン・ブロケール(Vincent Broquaire)による10部構成のアニメーション「How to Build a Museum」が特集されています。

世界的に有名な建築事務所であるヘルツォーグ&ド・ムーロンのグローバルチームが、TFPファレルズとアラップと共同で設計した65,000㎡のM+ビルは、香港で最も象徴的なランドマークの一つであり、その建築形態は記念碑的であると同時に、都市景観の中でのそのポジションは根本的に開放的です。ビクトリア・ハーバーのウォーターフロントに位置するこの建築物は、印象的なテラコッタ・タイルで覆われたタワーで構成されており、南側のファサードにはM+のコンテンツを表示するためのダイナミックなLEDメディアシステムが設置されています。

M+のミュージアム・ディレクターであるスハンニャ・ラフェル(Suhanya Raffel)は言います。
「M+のビジョンは、視覚文化を通して、共感、尊敬、複数の視点、創造性を促進する学びのコミュニティを構築し、すべての観客が恩恵を受けられるようにすることです。M+は、創造的な学習体験を提供するオープンで快適なプラットフォームを提供することで、人、物、空間を結びつける活発な文化を創造することに専念しています。この美術館が、市の住民や海外からの訪問者にインスピレーションを与えることを願っています。」

M+の副館長兼チーフ・キュレーターであるドリュン・チョン(Doryun Chong)は言います。
「M+の建設は、そのコレクションから美術館そのものに至るまで、約10年にわたる投資と専門知識の集大成であり、香港というユニークなコンテクストを起点としたグローバルな視点から、地理的・年代的に構成された多次元的な物語を話す現代の美術館を創造するためのものです。M+のようなミュージアムは、世界でも他にありません。」

澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす
澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす photo©Sawada Hashimura
澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす photo©Sawada Hashimura
澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす photo©Sawada Hashimura

澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、東京・恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだすことを意図しました。展示期間は2021年12月12日まで。施設の公式サイトはこちら

CAGE Galleryは、ギャラリーとはいうものの、街路に面した窓が2つあるのみである。一辺1.7メートル程度のほぼ正方形の窓が2つ、奥行きは24センチ程度しかない。この場所での展示をするにあたり、下記の3点から構想することにした。

建築家によるテキストより

ひとつは既存のステンレスの窓枠を作品のための単なる額縁としてだけ扱うのではなく、額縁であると同時に作品を形作る一要素として作品の中に取り入れること。次に、たとえ薄くても窓の内側には空間が存在するものとして考えること。そして、その空間が2つあること。

建築家によるテキストより

作品の形態は、窓枠内の空間の寸法から導き出される形としている。つまり、サブロク(3尺×6尺)と呼ばれる規格サイズの合板2枚をギャラリーの奥行き分だけ湾曲するサイズに調整してはめ込むことでおのずと決まる曲面としている。そうして窓枠の中におさまった曲面とギャラリーの壁面によってできたギャラリー内の「スキマ」の空間を撮影し、もう片方の窓枠の曲面に印刷することで、立体と平面の両義性を持つオブジェクトがそれぞれの空間を写し合う、相互の参照関係をつくった。

建築家によるテキストより
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Ossip van Duivenbode
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Iris van den Broeke
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Iris van den Broeke
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Ossip van Duivenbode

MVRDVの設計で完成していた、オランダ・ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」の開館します。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開します。開館は2021年11月6日からとのこと。アーキテクチャーフォトでは様々な季節の外観写真も特集記事として紹介していました。

こちらはリリーステキストの翻訳です

新しいタイプのアート体験を。デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲンの一般公開が開始へ

11月6日、MVRDVが設計したロッテルダムのデポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン(Depot Boijmans Van Beuningen)がオープンします。デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲンでは、様々な保存所に保管されている151,000点以上の作品と来館者との対話を中心に展開されます。来場者は、一人でもグループでも、空調の効いた保管スペースを巡るガイドツアーに参加したり、高さ35メートルに位置する屋上の森やレストラン「Renilde」を楽しむことができます。今回のオープンは、約10年に及ぶプロジェクトの締めくくりとなります。MVRDVは、2013年の設計コンペで勝利し、2017年に建設を開始しました。11月5日(金)にはオランダのウィレム=アレクサンダー国王がオープニングセレモニーを行い、11月6日(土)の午前10時から一般公開されます。

デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン(Depot Boijmans Van Beuningen)は、世界で初めての一般公開された美術品保管施設です。この施設の設計にあたっては、さまざまなターゲットグループが歓迎してくれるような、可能な限り魅力的な建物を作ることが求められました。それは、コレクションのごく一部しか展示できない第二の美術館ではなく、目を見張るような数の美術品やデザイン作品の保管・維持管理の裏にある世界を明らかにするエンジンルームであることを強調したものでした。保管庫を訪れると、まったく新しい体験ができます。美術品は美術史の時代ではなく、大きさや気候に応じて配置され、古い作品と現代の作品が並置されているため、新たなつながりが生まれてきます。

建築家であり都市計画家でもあるヴィニー・マース率いるMVRDVの設計チームは、丸みを帯びた頑丈で機能的な建物を選択し、隣の建物に背を向けることなく、ミュゼーアム公園(Museumpark)とロッテルダム市の両方と新しい関係を築くことにしました。周囲の環境に溶け込むような建物であると同時に、数十億の価値を持つコレクションの安全な保管場所となることを目指しました。

デポの形状は、建物の設置面積を比較的小さくしたいという要望から生まれたものです。その結果、建物は公園内のスペースを取らず、保管スペース、修復スタジオ、ケータリング施設、映画やプレゼンテーションの部屋など、すべてのプログラムを収容するために、10メートルのオーバーハングで上方にカーブしています。建物には5つの気候ゾーンがあり、版画や絵画、写真など、最もデリケートな芸術作品に対応しています。

6,609m2のガラスを1,664枚のパネルに分割した鏡面仕上げのファサードは、建物が周囲の環境に視覚的に溶け込むようになっています。大きなエントランスドアはファサードと一体化しており、営業時間中のみ、ジェームズ・ボンドの映画に出てくるガジェットのようにファサードが開いて見えるようになっています。天候に左右されることなく、毎日異なる表情を見せる車両基地は、まるで生きた絵画のようです。

八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、国立新美術館でのインスタレーション「The Matter of Facts」。コロナ禍で中止延期のイベント等印刷物を素材として用い、“都市の記憶”として再提示することで、私達が生きる“現在地”を新たに捉えるための試み
八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、国立新美術館でのインスタレーション「The Matter of Facts」。コロナ禍で中止延期のイベント等印刷物を素材として用い、“都市の記憶”として再提示することで、私達が生きる“現在地”を新たに捉えるための試み photo©PAN- PROJECTS
八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、国立新美術館でのインスタレーション「The Matter of Facts」。コロナ禍で中止延期のイベント等印刷物を素材として用い、“都市の記憶”として再提示することで、私達が生きる“現在地”を新たに捉えるための試み photo©PAN- PROJECTS
八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、国立新美術館でのインスタレーション「The Matter of Facts」。コロナ禍で中止延期のイベント等印刷物を素材として用い、“都市の記憶”として再提示することで、私達が生きる“現在地”を新たに捉えるための試み photo©PAN- PROJECTS

八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、東京港区の国立新美術館でのインスタレーション「The Matter of Facts」です。コロナ禍で中止延期されたイベント等印刷物を素材として用い、“都市の記憶”として再提示することで、私達が生きる“現在地”を新たに捉えるための試みです。展示期間は2021年12月20日まで。展示の公式ページはこちら。また、PAN- PROJECTSは本作品につながる作品として2017年に「PAPER PAVILION」を完成させています。

PAN- PROJECTSは、ロンドンを拠点に活動する八木祐理子、高田一正による建築家ユニットです。これまで場所の持つ固有の文化や歴史を見つめ、複雑に絡み合う要素を大切にし、その調和を試みるプロジェクトを展開してきました。

建築家によるテキストより

《The Matter of Facts》では、東京都内の公共機関や商業施設で発行された広報物、とりわけコロナ禍で中止・延期となったイベントなどの印刷物を素材として用い、「都市の記憶」として再提示し、国立新美術館の1階中央インフォメーションカウンターと一体化した大型インスタレーションです。

建築家によるテキストより

事実や事柄(=facts)の伝達手段であり、かつ痕跡でもある大量の印刷物の集積から成る本作は、コロナ禍の「都市の記憶」を留め、私たちが生きる「現在地」を新たに捉えようとする試みです。

建築家によるテキストより

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