



山田貴宏 / ビオフォルム環境デザイン室が設計した、岩手・陸前高田市の「陸前高田 発酵パーク CAMOCY」です。
震災被害を受けた街に計画された7つの店舗等が入る施設です。建築家は、“地域が元気になる”存在を目指し、かつての街並みを参照した“蔵の屋根”が連続する様な意匠の外観を考案しました。そして、建築に加えて什器も地元の職人と地元の素材で作り上げました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
2020年12月に岩手県陸前高田市にオープンした、発酵をテーマにした商業施設「発酵パーク CAMOCY」。
東日本大震災により街全体の99%がなくなった陸前高田市を、「発酵」をテーマに再生し賑わいを取り戻そうという「CAMOCYプロジェクト」の一環です。味噌、醤油、チョコレート工房、発酵食堂、クラフトビール、パン屋など七つの店舗や、フードコートやキッチンスタジオが配置されています。
「復興の象徴として、人も暮らしも徐々に発酵していく」をテーマに、地域が元気になる施設づくりを目指しました。
震災前は街道沿いに蔵が連なっていたという、かつての街並みをファサードデザインに反映しました。
蔵の屋根のスカイラインが連続するような意匠が、街並みのよきアイコンになり、かつての風情を取り戻す一助になればと思います。また、震災前の記憶を継ぐため津波の後から救われた石畳を外構で再利用しています。
かつて気仙大工として活躍した歴史を持つこの地で大工技術を生かしながらこうした規模の施設を作るには木造が最も適していると考え、構造は木造とし、地元の素材と地元の職人さんたちと作ることを第一に考えました。
内外装、家具にとふんだんに地元の杉や松を使用しています。木材を山から切り出し地元の製材所にて製材し、地元の大工や職人が腕をふるいました。これからの時代をみすえ、地域に根差した産業と技術を改めて育んでいくことを大切にしたいと考えます。
店舗什器は、地域の木材屋さん、鉄工所さん、職人さんと協働して開発しました。主材は赤身のきれいな気仙杉、スツールの背になる材は山林に自生している広葉樹の小径木丸太。丸太の皮むきは手作業で一つ一つ丁寧に剥いていただきました。
多くの作り手同士の対話を通して実現した“発酵家具”は、地域の材料と人の手をつなぐ役割を担いました。また、かつての商家には必ずあった“暖簾”を、地域の作り手さんと染物屋さんに担っていただき、建物の入口や各店舗の表面に配しました。
















