



桔川卓也 / NASCAの外装デザインと店舗設計による、静岡・浜松市の「ヤタロー地産地消工場店」です。シーク設計がA工事の設計を行いました。
バウムクーヘンで知られる企業の工場直売店のプロジェクトです。建築家は、施主の“フードロス削減”の活動に着目し、理念を反映した“アップサイクル素材”で構成する計画を志向しました。そして、地域産の小径木材で代表商品を想起させる“吊り什器”をつくりました。施設の場所はこちら(Google Map)。
敷地は静岡県浜松市。治一郎のバウムクーヘンでも有名なヤタロー工場直売店の移転リニューアル計画である。
クライアントが昭和8年の創業以来、大切にしてきた「この街とともに」という想いを新しい形で表現すべく、「ヤタロー地産地消工場店」が始動した。「地元・浜松を元気にしたい」というクライアントの言葉が原動力となり、このプロジェクトを成功させたいという強い思いに駆られた。
私自身、18歳まで浜松で暮らし、大学進学で地元を離れて22年が経つが、いつの日か建築を通じて地元に貢献したいと考えていた。そのため、クライアントの想いに深く共感し、同じ目標に向かって取り組めると確信した。
ヤタローは製造小売業を主とし、商品開発から物流・販売までを自社で一貫して行う強みを持っている。この強みを活かし、「もったいない」をキーワードにアップサイクル商品を生み出し、フードロス削減の活動を続けている。
建築デザインにおいてもこの理念を反映し、ほとんどのマテリアルをアップサイクル素材で構成した。
売り場空間のシンボルとなる天井吊り什器は、使い道が難しい地元天竜杉の小径木材を用い、バラバラな状態の105角材をバウムクーヘンの輪型になるよう連ね、象徴的な売り場を創出した。
ライブキッチンの腰壁と垂れ壁は、工事の掘削土を用いた左官工事で仕上げた。土地に根ざした土の温もりと深みのある風合いを、店舗の中心となるキッチンに取り入れることを試みた。
他にも、再生紙と間伐材を組み合わせたペーパーウッドや、小さな木片や間伐材を原料とした建材など、さまざまな素材を用いて応えた。

















