長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、岡山・倉敷市の店舗「立ち呑み ura」です。
倉敷美観地区の近隣での計画です。建築家は、観光産業の街で住民の為に出来る事を模索し、“若い人の営みをつくる”切っ掛けとなる存在を志向しました。そして、地域のランドマークを意図して立面の開口から内壁のライトアップを見せる建築を考案しました。店舗の公式ページはこちら。
倉敷美観地区は歴史的な町並みが残り、観光地として知られているが、昨今、観光産業の発展とともに商業施設が増加する中、住民との調和を保つことが難しくなっている。
倉敷に住むということはそれ自体の誇り高きことだが、同時にそれが足枷となり、次世代につながらず、その隙に観光産業が入ってきて、昼間は原宿のような観光地に、夜になると人気のない場所になっている。そこに危機感を持つ住民のお話を聞く機会があり、その中で自分でできることを考えた時、再び倉敷に若い人の営みをつくることと考え、そのきっかけになるようなことを考えたいと申し出てその一つのきっかけに美観地区周辺に計画する機会をいただいた。
その第一弾がこのURAとなった。
このURAの場所は大正時代にできた立派な古民家のわきに戦後の混乱の頃に寄せ集めの材料でつくられた。まるで主屋に寄生するようにできた頼りない建物だ。
そして、それだけに限らず、そこが駅前の交差点に位置することもあって隅切りを余儀なくされ、さらにファサードをえぐられるように切り取られた。その経過を経て、主屋のファサードから45°振られたところで、切り取られ、ファサードが出来上がった。
その結果、ファサードに正体した時、本来、ファサードに対して直行するように建つはずの主屋の壁面が45°内側に折り込まれたように建ち、正面から見るとよく見える。その事実に気付いた時、その隣の外壁面をライトアップし、ファサード面に大きな開口をつくり、それが建物の正面から見えるようにすることで駅前に人並みを作るきっかけとなるランドマークをつくった。