田村篤昌 / 田村篤昌デザイン事務所による、和歌山の住宅「蝙蝠庵 1945-2015」

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田村篤昌 / 田村篤昌デザイン事務所による、和歌山の住宅「蝙蝠庵 1945-2015」

architecture, feature

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五尺七寸(1726mm)伝統的な和風の寸法で内法高を統一

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all photos(C)照井壮平 蝙蝠の明窓から射す光が広縁をてらす

田村篤昌 / 田村篤昌デザイン事務所が設計した、和歌山の住宅「蝙蝠庵 1945-2015」です。

施主の叔母が残した築70 年の住宅。
叔母が茶道教室を行うために購入した建物(旧棟)に、程なく住居としても使えるように新棟を増築した木造平屋建の住宅である。
長らく荷物置き場として放置されていた住宅は、施主が譲り受けたときには、損傷が激しく居住することが出来ない状態にあった。施主が荷物の整理を行い閉ざされた雨戸を開くと蝙蝠の明窓から射す光が広縁を照らし開放感のある座敷が現れた。贅沢な造りの付書院と床の間、遊び心のある書院造りである。
取壊して新築を建てるべきか、リノベーションを行うか、現場考察での判断が求められた。
新築よりも費用や時間、手間がかかることを説明した上で、それでも施主の「のこしたい」という想いがある。
施主の想いを尊重し、単に復元するのではなく古い空間と新しい空間が出会う場として「蝙蝠庵」と名付け、新築では体験できない「のこす価値」を提案した。

※以下の写真はクリックで拡大します

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現地測量図、70前の住宅であるため図面がなく現地で詳細に測量

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改装前、建物と道路の関係

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改装前、新棟・ダイニング

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改装前、新棟・廊下

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改装前、テラス

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右/改装前、平面図  S=1/150・左/改装後、平面図  S=1/150

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改装前、ファサード 2013年08月

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改装後、ファサード 2015年12月

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旧和室等、茶室(書院)

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開口部内法高(五尺七寸)を揃えるための断面詳細図 S=1/15

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リビング・ダイニングを見る

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ダイニングからリビング、キッチンを見る

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ダイニングを見る

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ダイニングからキッチンを見る

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キッチンを見る

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木曽漆和紙壁と三河白土左官壁と栓中杢目天井のディテール

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居室からテラスを見る

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浴室を見る

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古い空間と新しい空間を繋ぎ、内部と外部が出会う余白のテラス

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テラスの雪景色

以下、建築家によるテキストです。

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【のこす価値】
施主の叔母が残した築70 年の住宅。
叔母が茶道教室を行うために購入した建物(旧棟)に、程なく住居としても使えるように新棟を増築した木造平屋建の住宅である。
長らく荷物置き場として放置されていた住宅は、施主が譲り受けたときには、損傷が激しく居住することが出来ない状態にあった。施主が荷物の整理を行い閉ざされた雨戸を開くと蝙蝠の明窓から射す光が広縁を照らし開放感のある座敷が現れた。贅沢な造りの付書院と床の間、遊び心のある書院造りである。
取壊して新築を建てるべきか、リノベーションを行うか、現場考察での判断が求められた。
新築よりも費用や時間、手間がかかることを説明した上で、それでも施主の「のこしたい」という想いがある。
施主の想いを尊重し、単に復元するのではなく古い空間と新しい空間が出会う場として「蝙蝠庵」と名付け、新築では体験できない「のこす価値」を提案した。

【家のかたち】
築70 年の住宅は、街の目印になるような家ではなく切妻屋根の普通の家。
それでも、街の記憶として簡単に家の形を変えるべきではない。単に古いから価値があるのではなく、街と繋がり街の一部として風景をかたちづくる「かたち」として価値がある。
変えるのは、家のかたちではなく、暮らしのかたち。

【五尺七寸】
70 年の価値を今の生活スタイルにどのように取入れ繋ぐか、新しい日常を送る居住空間として可能性を追求する。
新棟は、今の生活スタイルに沿って寸法を決めると内法高が高くなり、旧棟との寸法感覚が異なる。畳の生活と椅子の生活では高さの寸法が異なることは当然だが、寸法の違いが連結している空間で発生すると旧棟は単に古い空間として認識され全体の統一感が無くなる。
そのため、五尺七寸(1726mm)伝統的な和風の寸法で内法高を統一した。
内法高を揃えることで古と今を違和感なく繋ぎ、プロポーションを守ることにより新棟のデザインは和室の様式から開放される。

【余白のテラス】
古い空間と新しい空間を繋ぎ、内部と外部が出会う場として、開放的な余白のあるテラスを住宅の中心に配した。新棟居室、廊下、旧棟広縁の三方向から出入りすることができ、古い空間と新しい空間が一つであることを暗示する。
また、テラスの勾配天井はリビングまで伸ばし、テラス・廊下・ダイニングが一室空間になるように演出している。
【雪化粧】
竣工日、温暖の和歌山に雪が舞う。
白侘助と枯山水、いろは紅葉と杉苔の庭園は純白な化粧を施した。光・風・雨・雪、自然の気配を室内から感じることができる。そういった情緒的な感覚は、人間が豊かな生活を送るために必要なものである。
古い空間は新しい空間の対比ではなく寸法を合せ、身体感覚を整える。そうすることでよりデザインは自由になる。新しくリノベーションした空間は、70 年の経過を存分に楽しめる空間となり「のこす価値」を見出すことができた。

■建築概要
作品名:蝙蝠庵 1945-2015
設計:田村篤昌/田村篤昌デザイン事務所
構造:宮井政彰/ヴィスタ建築設計事務所
施工:和田幸男/和田建築
所在地:和歌山県和歌山市
用途:専用住宅
家族構成:夫婦
工事種別:改修工事(リノベーション)
構造規模:木造平屋建
敷地面積:256.13 ㎡
建築面積:153.54 ㎡
延床面積:152.67 ㎡
設計期間:2014 年03 月 ~ 2015 年12 月
工事期間:2014 年05 月 ~ 2016 年01 月
写真撮影:照井壮平

田村篤昌デザイン事務所
Atsumasa Tamura Design Office
URL:http://www.atsumasatamura.jp/
〒603-8055
京都府京都市北区上賀茂高縄手町41ノースコテージ D
TEL:090-8219-0764
FAX:075-320-2474
お問合せ:atsumasatamura@me.com


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