SHARE 塩塚隆生アトリエによる、大分の事務所「柳井電機工業中津オフィス」の写真と図面
塩塚隆生アトリエのウェブサイトに、大分の事務所「柳井電機工業中津オフィス」の写真と図面が掲載されています。
社会インフラ関連事業を営む企業の支店オフィスの改装計画。鉄骨造2階建ての1階部分をワンルームのオフィスとして改装し、2階は既存のまま会議室や更衣室として利用する。15Mx11Mのコンパクトな平面形状を活かして、まわりの環境と連動した執務空間をつくろうとした。敷地は、田園風景の中に溜め池やクリークが巡らされた瀬戸内海に面した平野にあり、そうした穏やかで開かれた自然環境が空間の質として感じられるようにしようとした。まず、これまでは会議室でふさがれていた、南西方向にある大きな桜の木への眺望を取り込むことで、全方向に開口された明るく風通しの良い状態をつくろうとした。水回りの位置は変えずに既存の内装材を撤去し、現れた鉄骨の躯体・天井のデッキプレートはシルバーペイント、外周まわりの壁面はグレーで塗装、接客エリアの床は既存土間コンクリートのまま、執務エリアはOAフロア現しとするなど、床・壁・天井が窓で切り取られた風景や持ち込まれる家具や人の背景となるような色調・素材を選んだ。また、水回りを囲む壁面はホワイトボードシート仕上げ、2階への階段まわりは中空ポリカーボネート板の可動壁とし、空間を分節する新たな設えには機能を付加することで空間にアクティブな影響をもたらすようにした。受付・打ち合わせを兼ねたハイカウンターや水回りのユニット、デスクやスタッフラウンジを囲うバンク、これらは室内を巡る光や風の流れを促すように、流動的で有機的な並置・形状としている。それによって人の動きが促され、部署を超えた情報の交換や業務への対応、来客との交流、執務と休憩のオン/オフのスムースな切り替えなど、オフィスにポジティブな変化をもたらすと考えた。現しになった柱・梁に沿って設けたラワン合板によるモールディングは、その流動的な執務空間の秩序、活動のための補助線となっている。