SHARE 佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioによる、京都市の、市指定文化財を改修した飲食店「ダンデライオン・チョコレート京都東山一念坂店」
佐野文彦 / Fumihiko Sano Studioが設計した、京都市の、市指定文化財を改修した飲食店「ダンデライオン・チョコレート京都東山一念坂店」です。店舗の公式サイトはこちら。
この物件は高台寺近くの一念坂と呼ばれる、古くからの京都の風情が残り落ち着いた雰囲気を持った通りに建っている。建物は京都市指定の文化財となっており、建物の外観は歴史を感じさせるものだ。しかし内部は数年前に大規模な増改築がされており、元の姿をうかがい知ることができない状態だった。
私はこの建物が以前は持っていたであろう京町屋の雰囲気を取り戻させつつ、このチョコレートブランド発祥の地、サンフランシスコらしさをどこか感じるラフで心地よい開放的な空間を作ることを目指した。
日本建築は寺社仏閣などの特殊なものを除いて主たる素材は杉だ。天井板をはじめ鴨居、柱、長押、廻縁、障子、欄間など日本建築を構成する多くの部材に杉が使われている。
クラフトチョコレートと吉野杉という厳選された自然の無垢な素材を使ったものづくりには親和性があると考え、杉を空間を作っていく素材の中心に据えた。ほとんどのオリジナルの内部意匠は失われてしまっていたが京町屋だったはずのこの空間を、まるで元々ここにあったかのように、空間に溶け込むようデザインを進めていった。
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以下、建築家によるテキストです。
この物件は高台寺近くの一念坂と呼ばれる、古くからの京都の風情が残り落ち着いた雰囲気を持った通りに建っている。建物は京都市指定の文化財となっており、建物の外観は歴史を感じさせるものだ。しかし内部は数年前に大規模な増改築がされており、元の姿をうかがい知ることができない状態だった。
私はこの建物が以前は持っていたであろう京町屋の雰囲気を取り戻させつつ、このチョコレートブランド発祥の地、サンフランシスコらしさをどこか感じるラフで心地よい開放的な空間を作ることを目指した。
日本建築は寺社仏閣などの特殊なものを除いて主たる素材は杉だ。天井板をはじめ鴨居、柱、長押、廻縁、障子、欄間など日本建築を構成する多くの部材に杉が使われている。
クラフトチョコレートと吉野杉という厳選された自然の無垢な素材を使ったものづくりには親和性があると考え、杉を空間を作っていく素材の中心に据えた。ほとんどのオリジナルの内部意匠は失われてしまっていたが京町屋だったはずのこの空間を、まるで元々ここにあったかのように、空間に溶け込むようデザインを進めていった。
エントランスからリテールエリアを抜けレジカウンターの前に立つと前庭と中庭に挟まれ開放感と共に新緑や紅葉、花などの季節ごとの変化を楽しむことができる。
広く大きく取った二階客室へ向かう階段からは小屋組みまでが一度に目に入ってくることでつながりを感じるダイナミックな空間となった。
カカオバーでは幅700-900㎜の吉野杉の共材を縦に使い、木材の持つ強さや時間を感じられる巨大なカウンターを空間の中心とした。また既存の構造を弱めないよう構造壁の配置を検討しながらプランをレイアウトし、構造補強を施している。
100年以上前からこの場所にあり続けるこの建物が新たな役目を得ることで、この通りに新たな記憶と歴史を刻んでいくことを楽しみにしている。
■建築概要
プロジェクト名:ダンデライオン・チョコレート京都東山一念坂店
住所:〒605-0826京都府京都市東山区桝屋町363-6
用途:飲食店
設計:Fumihiko Sano Studio
施工:関西リフォーム研究所
階数:地上2階建て
建築面積:116.80㎡
床面積:226.18㎡
竣工:2018年4月
撮影:志摩大輔
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | リテール・レジ・キッチン・1F廊下床 | モルタル金ゴテ仕上げ |
内装・床 | 2Fカフェ・2F廊下・ワ-クショップスペース床 | 木フローリング |
内装・壁 | リテール・レジ・キッチン・1F廊下・2Fカフェ・2F廊下・ワ-クショップスペース壁 | チョコレートカス墨入り漆喰 |
内装・天井 | リテール・レジ・キッチン・1F廊下天井 | 黒皮鉄板 |
内装・造作家具 | レジカウンター | 杉無垢材、モルタル、真鍮アングル |
内装・家具 | 2Fカフェ・ワ-クショップスペース |
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