齋藤和哉建築設計事務所が設計した、宮城・岩沼市の、神社に詣でる参拝者のための休憩所「金蛇水神社外苑 SandoTerrace」です。施設の公式サイトはこちら。
神社に詣でる参拝者のための休憩所である。
敷地にはもともと小さな休憩所が建っていて、それを増改築して再利用することも検討したが、神社が思い描く将来的な用途にそぐわないことや現行法規の条件を満たすのが難しいと判断し、建て替えることになった。
敷地の南側に牡丹園と丘を一体的に整備して庭園をつくる計画も同時に進んでおり、それと呼応できる建物にする必要もあった。また、駐車場から市道を歩かないと境内にたどり着けない参拝動線も整理した方が良いのではないかと現地を見た際に思った。
駐車場と鳥居を結ぶ円弧状の参道を新たに設けることで参拝者の流れをまとめつつ、庭園の方向へひろがりを持たせる平面形状とした。駐車場と鳥居とでは2.5mほどの高低差があるため、スロープと平場を組み合わせ、ゆるやかに両方をつなげている。参道は石と玉砂利と人工木の3つの道でできており、その両側に休憩棟と牡丹棟を配し、参拝者がたまれる空間をつくった。2つの切妻屋根を組み合わせた、大きな木トラスの屋根は参道をなぞるように少しずつ高さを上げながら参拝者を境内へと導いていく。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
神社に詣でる参拝者のための休憩所である。
敷地にはもともと小さな休憩所が建っていて、それを増改築して再利用することも検討したが、神社が思い描く将来的な用途にそぐわないことや現行法規の条件を満たすのが難しいと判断し、建て替えることになった。敷地の南側に牡丹園と丘を一体的に整備して庭園をつくる計画も同時に進んでおり、それと呼応できる建物にする必要もあった。また、駐車場から市道を歩かないと境内にたどり着けない参拝動線も整理した方が良いのではないかと現地を見た際に思った。
宮城県岩沼市に鎮座する金蛇水神社は山あいの七ッ堤を水源とする金蛇沢が平野に流れ出る位置に本殿があることから、水に関わる神として古くから信仰されてきた。その成り立ちの根源である、沢と堤、それぞれが持つ「ながれ」と「たまり」の要素をこの建築に取り込もうと考えた。
駐車場と鳥居を結ぶ円弧状の参道を新たに設けることで参拝者の流れをまとめつつ、庭園の方向へひろがりを持たせる平面形状とした。駐車場と鳥居とでは2.5mほどの高低差があるため、スロープと平場を組み合わせ、ゆるやかに両方をつなげている。参道は石と玉砂利と人工木の3つの道でできており、その両側に休憩棟と牡丹棟を配し、参拝者がたまれる空間をつくった。2つの切妻屋根を組み合わせた、大きな木トラスの屋根は参道をなぞるように少しずつ高さを上げながら参拝者を境内へと導いていく。
参道は地面と屋根の高さが変化しつつ、木トラスが円を描きながら一定のリズムを繰り返すことで、歩くごとに空間が切り替わっていく印象を受ける。あるところでは参拝者休憩や物品販売と一体になった室内空間のように、あるところでは一気に視界が抜け、庭園と連続した屋外テラスのように感じることができる。
祭事と日常とで使われ方が大きく変化する神社特有の性質に合致した空間をこの建築では実現できたのではないかと考えている。正月やどんと祭、例大祭の時には木トラスの下に露店が立ち並んで賑わいを見せ、それが終わればいつものように静かで自然を感じることができる参道へ戻っていく。それは建築のような道であり、道のような建築でもある。
■建築概要
建物名称:金蛇水神社外苑 SandoTerrace
所在地:宮城県岩沼市
主要用途:飲食店、展示、物販店、事務所、倉庫
設計:齋藤和哉建築設計事務所(担当:齋藤和哉、髙橋雅人)
構造:yAt構造設計事務所(担当:中畠敦広)
設備:E.I.S設備計画(機械担当:高橋和弘、電気担当:小野寺彰)
照明:岡安泉照明設計事務所(担当:岡安泉)
サイン:BLMU(松井健太郎、桑原大輝)
主体構造:木造
階数:地下1階
最高高さ:7,370mm
敷地面積:2,332.72㎡
建築面積:1,014.34㎡
延床面積:1,014.34㎡
竣工:2020年4月
写真:阿野太一
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・屋根 | 屋根 | パーフェクトルーフ 一文字、風船葺き(片山鉄建)
|
外装・建具 | カーテンウォール | 特注スチールカーテンウォール(ヤマキ工業)
|
外装・建具 | 自動ドア | ロスカドア、ミニフォールド(ナブコシステム)
|
内装・照明 | 特注ペンダントなど一式 | (大光電機)
|
※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません