SHARE 野村大輔 / dada+徳野由美子建築設計事務所が全体空間デザイン等を手掛けた、宮城・石巻市の「ワーキングステージ / Third Selfワーキングスペース」
野村大輔 / dada+徳野由美子建築設計事務所が全体空間デザイン等を手掛けた、宮城・石巻市の「ワーキングステージ / Third Selfワーキングスペース」です。また、スペース内のブースのデザインは「ブースA『リトリートワークプレイス』」をハーマンミラージャパン / 田沼智子+河合暁+野村大輔 / dadaが、「ブースB『ワーキングステージ』」を徳野由美子建築設計事務所が、「ブースC『タイニーオフィス』」を野村大輔 / dadaが手掛けています。施設の公式ページはこちら。
2020年秋に行われたハーマンミラージャパン主催の設計コンペで最優秀賞を頂いたことがきっかけで、宮城県石巻市にある空き家(元文房具屋さんの倉庫建築)の2Fの一部130㎡をコワーキングスペースとしてコンペの審査員をして下さった野村大輔氏(dada株式会社)と共同で空間全体をデザインし、またさらにその一部のスペースをコンペ時のアイデアのケーススタディとして設計しました。
コンペ案のアイデアは、石巻に実在するRC壁式構造の旧社員寮を対象として、6畳程の広さで横に3つに仕切られた部屋を、少し高さのある床と長いテーブルを造作してつくる”ステージ”空間でつなぎ、小さい空間としての単位としても大きな空間としての単位としてもワーケーション利用を楽しめる魅力的な空間を作るというもので、既存の建築の構造を担保しながら空間の使われ方の新しい可能性を提案したものです。
今回のプロジェクトでは実際に使う空間でありながらワークスタイルのショールームとしてコンペのアイデアを再現することが求められていたので、他のワークスタイルブースや必要なオープンスペースとの関係を調整しながらコンペ敷地の面積にできるだけ近いスペースを敷地内に確保したところに、コワーキングスペースとして利用する際に椅子に座って周りの視線を遮ることができる高さとして床から1300mmの高さで壁を設定し、コンペ案を再現しました。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
2020年秋に行われたハーマンミラージャパン主催の設計コンペで最優秀賞を頂いたことがきっかけで、宮城県石巻市にある空き家(元文房具屋さんの倉庫建築)の2Fの一部130㎡をコワーキングスペースとしてコンペの審査員をして下さった野村大輔氏(dada株式会社)と共同で空間全体をデザインし、またさらにその一部のスペースをコンペ時のアイデアのケーススタディとして設計しました。
コンペ案のアイデアは、石巻に実在するRC壁式構造の旧社員寮を対象として、6畳程の広さで横に3つに仕切られた部屋を、少し高さのある床と長いテーブルを造作してつくる”ステージ”空間でつなぎ、小さい空間としての単位としても大きな空間としての単位としてもワーケーション利用を楽しめる魅力的な空間を作るというもので、既存の建築の構造を担保しながら空間の使われ方の新しい可能性を提案したものです。
今回のプロジェクトでは実際に使う空間でありながらワークスタイルのショールームとしてコンペのアイデアを再現することが求められていたので、他のワークスタイルブースや必要なオープンスペースとの関係を調整しながらコンペ敷地の面積にできるだけ近いスペースを敷地内に確保したところに、コワーキングスペースとして利用する際に椅子に座って周りの視線を遮ることができる高さとして床から1300mmの高さで壁を設定し、コンペ案を再現しました。
壁の高さを椅子に着座した時の状況にフォーカスして設定したことで、作業の前後や作業中に立ち上がると自然とコンペ案以外の空間の様子が感じられ、敷地である倉庫建築の開口部からの自然光が心地よく感じられる倉庫ならではの開放性と作業に集中できるスペースが両立したワークブースとしました。
壁は設計コンペの対象のRC壁式構造の建築をイメージできるように厚みを持たせ150mmとし、ワークの際に壁の上端に何か少し物を置いたりすることもできるような棚のような機能性も併せ持つ寸法としました。
壁の構造は現地で材料の調達、施工が短期間で可能なものとして木下地を組んだ上にラーチ合板で仕上げています。ラーチ合板は、節のある流通品の構造用合板の裏表で節の目立ちにくいものを表とし使用し、
ワークスペースとして使用する際に節の要素がなるべく気にならないようにしています。
コンペ案のアイデアの要でもある、床レベルから100mmほど高さのあるワークステージの床は古レンガで作りました。
新しい空間の軸になる素材、倉庫の再活用という今回のプロジェクトの背景としてもどのような素材が良いか考え、ひとつひとつ色や形が異なりゴツゴツした感触で印象の強いレンガを使うことにしました。また、ワークステージ以外の床は古レンガとは対照的な毛足が長く柔かなロールカーペットで仕上げ、ワークスペースとその他の空間の変化を足元の感触で楽しむことができることを意図しました。
ワークステージ上の空間を長く突き抜けるテーブルの天板は杉の巾剥ぎ板を使い、コストに配慮しながら存在感の感じられる素材としました。
空間全体のデザインは、既存の倉庫建築の風合いを生かしあまり手を加えず、新たに床一面にオリジナルの模様をペイントした上に、空間の中心にリビングの様に寛げるオープンスペース、その周りにワークスタイルの展示ブースでもある3つのワークスペースを配置しました。
床のオリジナルの模様は、石巻の素晴らしさである豊かな自然と人同士のつながりをこの場所を訪れる方に意識してもらえたら、との考えから、石巻の北上川の代表的な風景である「ヨシ原」の黄金色と大きく広がる空や海をモチーフとした合計3色と、人と人とのつながりをモチーフとした白く長い線とでデザインしたものです。
(徳野由美子)
■建築概要
プロジェクト名:ワーキングステージ / Third Selfワーキングスペース
所在地:宮城県石巻市住吉町1丁目1-15 Creative Hub2階
用途:コワーキングスペース、ワークスタイルショールーム
面積:25㎡ / 130㎡
施主:一般社団法人Third Self
クリエイティブディレクション:巻組 / 渡邊享子+dada株式会社 / 野村大輔
企画協力:ハーマンミラージャパン株式会社 / 松崎勉 前澤恵子 河合暁
全体空間デザイン:dada株式会社 / 野村大輔+徳野由美子建築設計事務所 / 徳野由美子
ブースB「ワーキングステージ」 設計:徳野由美子建築設計事務所 / 徳野由美子
ブースA「リトリートワークプレイス」設計:ハーマンミラージャパン株式会社 / 田沼智子・河合暁+dada株式会社 / 野村大輔
ブースC「タイニーオフィス」設計:dada株式会社 / 野村大輔 遠藤愛梨
コンストラクションマネジメント:gdz株式会社
グラフィック:隠岐由佳
植栽:緑演舎 / 大山雄也
インテリアスタイリング:窪川勝哉
アートワーク:TISTOU / 平田倫子
施工:株式会社創匠、巻組 / 三浦拓 津田成美、有限会社戸井田工業、まる意匠、イーエムエンジニアリング
模型製作協力:古庄百合香 河野美紀
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協賛(AtoZ):
BoConcept、CARL HANSEN & SON、Cassina.ixc.、dada株式会社、gdz株式会社、HAY、Herman Miller、Interiors、Interoffice、ITOKI、株式会社スカラ、KOKUYO、MAGIS 、Maristo、まる意匠、MODULAR、NISSIN EX、Okamura、OshimaPros、緑園舎、TISTOU、徳野由美子建築設計事務所、
WELCOME GROUP、Wilkhahn、Workplace Solutions Inc.WSI、YAMAGIWA、有限会社戸井田工業
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竣工:2021年3月
写真:山田真優美、徳野由美子建築設計事務所
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
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内装・床 | ワーキングステージ床1 | 古レンガ210×100×60(スカラ) |
内装・床 | ワーキングステージ床2 | ロールカーペット:LUX original Arctic Grey(オーシマプロス) |
内装・家具 | ワーキングステージ家具1 | Giant color wheel ottoman_orange、Lounge Chair、Eames Fiberglass Side chair (Herman Miller) |
内装・家具 | ワーキングステージ家具2 | |
内装・家具 | ワーキングステージ家具3 | |
内装・家具 | ワーキングステージ家具4 | |
内装・照明 | ワーキングステージ照明 | |
内装・植栽 | ワーキングステージ植栽 | アレカヤシ、フレポデューム、グレープアイビー、シュロチク(緑園舎) |
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