黒木大亮 / lyhtyが設計した、兵庫の住宅「赤穂の家(モルタルの家)」です。
この家が建つ赤穂市郊外は、豊かな自然が広がる山間の住宅地である。
内部空間では、家の中庭から隣地の雑木林へと続いていく緑を眺めながら、食事の時間を楽しむことを想定して、コの字型の平面プランの中央に、幅3メートルのキッチンカウンターを造作した。四季折々の移ろいを感じながらの食事は、この敷地から享受できる最大の利点であろう。また、中庭に面した木製建具を開け放ち、コンクリートの縁側より、左官仕上げの片持ち階段(鉄製下地)から屋上テラスに上がり、山間の景観を堪能することもできるようにした。
内外装ともに多用したモルタルは、色ムラがあり、表情豊かな素材である。その風合いを活かすため、画一的な新建材の採用は控え、家具建具はラワン合板、階段材はアピトン合板、外部手摺は溶融亜鉛メッキ、コンクリートなど、下地材として多く使われる材を選んだ。これらは本来、下地に使われることが多く、汎用性の高い材料である。これにより、結果として、高価な材料に頼るのではなく、身近な材料を上手に組み合わせることに成功し、コストダウンにつながった。
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以下、建築家によるテキストです。
緑豊かな山間部に自然に馴染んでいくモルタルの家
この家が建つ赤穂市郊外は、豊かな自然が広がる山間の住宅地である。
ログハウス調の別荘も散見されるこの地で、依頼主である30代の夫婦からの要望は、景観を損ねずに、山間に馴染む「モルタルの塊のような家」をというもの。コンクリート打ち放しに比べて、豊かな風合いや表情を持つモルタルという素材を、最大限に活かした住まいづくりが求められた。
内部空間では、家の中庭から隣地の雑木林へと続いていく緑を眺めながら、食事の時間を楽しむことを想定して、コの字型の平面プランの中央に、幅3メートルのキッチンカウンターを造作した。四季折々の移ろいを感じながらの食事は、この敷地から享受できる最大の利点であろう。また、中庭に面した木製建具を開け放ち、コンクリートの縁側より、左官仕上げの片持ち階段(鉄製下地)から屋上テラスに上がり、山間の景観を堪能することもできるようにした。
内外装ともに多用したモルタルは、色ムラがあり、表情豊かな素材である。その風合いを活かすため、画一的な新建材の採用は控え、家具建具はラワン合板、階段材はアピトン合板、外部手摺は溶融亜鉛メッキ、コンクリートなど、下地材として多く使われる材を選んだ。これらは本来、下地に使われることが多く、汎用性の高い材料である。これにより、結果として、高価な材料に頼るのではなく、身近な材料を上手に組み合わせることに成功し、コストダウンにつながった。
豊かな自然が広がる山間の住宅地という敷地条件と、依頼主からの要望を真正面から紐解くことで導き出された、素直な住宅に仕上がった。周囲に馴染む外観、永続的に修繕可能な汎用性の高い素材によって、この地につつましくも長く存在し続けることを願っている。
(黒木大亮)
■建築概要
設計:lyhty(リュフト)黒木大亮
所在地:兵庫県赤穂市
用途:住居
工事種別:新築
構造:木造 二階建て
敷地面積:216.27㎡(約65坪)
延床面積:94.81㎡(約29坪)
1階床面積:81.57㎡(約25坪)
2階床面積:13.24㎡(約4坪)
竣工年月:2019年3月
撮影:笹倉洋平(笹の倉舎)