木村日出夫+木村淳子 / STUDIO RAKKORA ARCHITECTSが設計した、京都市の「原谷の公民館」です。地域の多様で自由な活動を包含し、内外の連続性を持つ木質空間が、地域の景観に新たな印象をもたらすことが意図されました。
この建物は、京都市北区原谷地域の公民館である。
敷地は、原谷の中心部に位置し、西側に原谷中央公園やバス停、南側に保育園、北側に消防分団の施設などが隣接している。周囲を山々に囲まれて工業地域として発展してきた原谷地域に、杉板の外壁と矩勾配屋根による公民館を計画する事で、まちの新しい風景をつくり出すことを目指した。
計画にあたり、地域住民から「地域の集会の場」「交流の場」「教育の場」「文化振興の場」「スポーツを楽しむ場」そして「災害時の緊急避難場所」といった機能が要望され、それらを踏まえて、原谷の新しい地域活動の拠点として、地域の多様で自由な活動を包含するような木造平屋建の建物を計画した。
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以下、建築家によるテキストです。
この建物は、京都市北区原谷地域の公民館である。
敷地は、原谷の中心部に位置し、西側に原谷中央公園やバス停、南側に保育園、北側に消防分団の施設などが隣接している。周囲を山々に囲まれて工業地域として発展してきた原谷地域に、杉板の外壁と矩勾配屋根による公民館を計画する事で、まちの新しい風景をつくり出すことを目指した。
計画にあたり、地域住民から「地域の集会の場」「交流の場」「教育の場」「文化振興の場」「スポーツを楽しむ場」そして「災害時の緊急避難場所」といった機能が要望され、それらを踏まえて、原谷の新しい地域活動の拠点として、地域の多様で自由な活動を包含するような木造平屋建の建物を計画した。
様々な使い方に柔軟に対応できるように、2つの主要な空間である「ふれあいサロン」と「地域ホール」を3つの機能ボリューム(倉庫、キッチン、トイレなど)で挟み、空間をゆるやかに仕切った。「ふれあいサロン」は、地域の人々が土足のまま気軽にアクセスしやすい計画とし、「地域ホール」は、集会や講演会など、多目的に利用できる大きな空間としている。
シンプルでありながら、それぞれの空間を一体的にも、別々にも、またメイン/サブの関係としても利用することができる空間構成とし、キッチンの開口を、「ふれあいサロン」と「地域ホール」の2方向に設けて、双方の空間にサービスできるようにすることで、建物全体に生まれるアクティビティのつながりを演出した。
地域の景観に新たな印象をもたらす杉板の外壁は、建築内部へ連続させることで内外の連続性をつくり出すとともに、内部から軒へと連続する木架構によって、軒下におおらかなアプローチ空間を生み出し、西側の公園や周囲の街並みと建物を連続させた。
構造は、大空間を支持する構造体によって空間が大袈裟にならないように、シンプルで軽やかな木架構の建築を目指した。矩勾配屋根を支持する90mm幅の細い大梁(上弦材)と90mm角の6寸勾配の下弦梁を、束材及び鋼製プレートで連結したユニットをつくり、90mm角の繋材で連続させることで、内部に柔らかな雰囲気を生み出す繊細な木造の空間をつくり出した。
原谷の公民館が、この建築を利用する人々だけでなく、前を通る人、バスを待つ人、公園のこども達といった、地域に暮らす人々の原風景になっていくことを期待している。
■建築概要
原谷の公民館
用途:集会所
所在地:京都府京都市
構造:木造平屋建
敷地面積:556.22㎡
建築面積:125.87㎡
延床面積:125.87㎡
設計:STUDIO RAKKORA ARCHITECTS 木村日出夫 木村淳子
施工:株式会社 椎口工務店
照明計画:大光電機株式会社 TACT
植栽計画:田中美穂植物店 田中美穂
グラフィックデザイン:玉村聡之
竣工:2019年4月
写真:林口哲也