SHARE 東京藝大青木淳研究室による「テンポラリーなリノベーションとしての展覧会②『鳥は泳ぎつづける』」が開催。常に工事が行われる渋谷のビル1階を会場に、展覧会の行為と時間に注目し問い直すことで、空間を変容させると共に都市空間へもアプローチ
- 日程
- 2021年11月20日(土)–11月29日(月)
東京藝術大学青木淳研究室による「テンポラリーなリノベーションとしての展覧会②『鳥は泳ぎつづける』」が開催されます。常に工事が行われる渋谷のビル1階を会場に、展覧会の行為と時間に注目し問い直すことで、空間を変容させると共に都市空間へもアプローチする展覧会になるようです。会場は東京・渋谷区桜丘町のSACS 渋谷で、会期は2021年11月15日~12月2日(※但し、入場可能期間は2021年11月20日~11月29日)。
会場を含む渋谷では大規模かつ長期間に及ぶ再開発が行われ、常にどこかで工事が行われています。しかしその一つ一つの動きはバラバラで、例えば一つの建物が竣工した時点であるところでは別の建物が解体されはじめ、またあるところではプロジェクトが完成に向かっています。
そのような「動きの集積としての渋谷」を訪れる時、私たちは総体として進んでいるのか後退しているのか分からないような都市の一断面を目にします。
展覧会を展示するということは展覧会の空間に加えて、その際に生じる梱包・搬入・搬出・設営・移動といった時間をも見せることです。本来、搬入→展示→搬出と流れる時間軸を読み替え、搬入、搬出と展示を重ねます。そのため、企画のあらゆる場面に前後の時間を感じていただける操作があります。展示中でありながら設営中にも感じられ、はたまた搬出中であるかのような空間で、不思議な居心地の良さを感じて頂けることを期待します。
本企画では、今この場所で展覧会を開くということにとどまらず、ショーウィンドウやテナントといった商業空間にある、中身の出入りが繰り返される場所について建築家として何ができるかを考えることとなりました。
そういった場所ではある時には洋服が売られ、またある時にはアート作品が飾られますが、それらのいわゆるディスプレイは、情報を発信する「展示物」とその「受け手」という二項対立的な構図をとります。この時、二者以外の構成要素は考慮されていません。『テンポラリーなリノベーションとしての展覧会』では、いわゆる「作品」によって新たな文脈を提示するのではなく、展覧会場内の複数の事物・人・ひいては会場の外にある街の中に張り巡らされている関係性を顕在化することで展覧会という空間の完成を目指します。
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以下、リリーステキストです。
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何かが“動きつづけている” ことは決して特別な現象ではありません。
またそれは、私自身が止まっていながらそれに重なる細胞単位では動き続けているように、“止まっている” ことと両立され得るものです。
東京藝術大学大学院青木淳研究室では、昨年12月に学内の一室を会場として『テンポラリーなリノベーションとしての展覧会(注1)』を開催しました。今年度は渋谷区桜丘町にあるビルの一階部分に会場を移し、展覧会を開催致します。
会場を含む渋谷では大規模かつ長期間に及ぶ再開発が行われ、常にどこかで工事が行われています。しかしその一つ一つの動きはバラバラで、例えば一つの建物が竣工した時点であるところでは別の建物が解体されはじめ、またあるところではプロジェクトが完成に向かっています。
そのような「動きの集積としての渋谷」を訪れる時、私たちは総体として進んでいるのか後退しているのか分からないような都市の一断面を目にします。
本企画では、本来作品を展示する手法として用いられてきた“展覧会” という形式そのものに着目します。私たちは全期間を通して会場に展覧会としての空間と、それが始まる/ 終わるための空間を共在させました。
そこでは展覧会を開く時必然的に生じる梱包や搬入、組み立て、あるいは解体や搬出が行われている光景が同時に展覧会でもあるという状況が生まれます。
来場者が目にするのは、渋谷の街のように途切れない動きの中のほんの一場面です。
テンポラリーなリノベーションとしての展覧会とは
展覧会が開催される時に起こる事象を観察すると、展覧会とはある空間を作品の配置によってある一定の時期に元の場所とは異なる空間にする行為です。一度作品を差し置いて考えれば、それはテンポラリーなリノベーションと言えると思われます。
本シリーズでは「作品」を展示するのではないあり方で空間を変容させることを試みます。その会場ではリノベーションが空間を改変する手段であり、展示内容という目的にもなります。
2020年12月、東京藝術大学正木記念館にて「シン・マサキキネンカン」として同様の趣旨の展示を行い、8日間で1200人ほどの来場者を記録しました。またテンポラリーなリノベーションとして企画された本展覧会場が高く評価され、以降の展覧会にリノベーションの一部が継承、使用されました。
特徴、見所
ー展覧会の展示
展覧会を展示するということは展覧会の空間に加えて、その際に生じる梱包・搬入・搬出・設営・移動といった時間をも見せることです。本来、搬入→展示→搬出と流れる時間軸を読み替え、搬入、搬出と展示を重ねます。そのため、企画のあらゆる場面に前後の時間を感じていただける操作があります。展示中でありながら設営中にも感じられ、はたまた搬出中であるかのような空間で、不思議な居心地の良さを感じて頂けることを期待します。
ー1日で異なる会場構成
1日を3つの時間帯に分け、10:00-13:00 / 17:00-21:00を入場可能時間、その間の13:00-17:00 を作業時間(搬入・設営・搬出を行う時間)とします。毎日、日中に作業時間をとることで午前と午後で異なった会場構成が現れます。1日を通して会場が変化していく様子は前面道路からも鑑賞することができます。
ー設計対象
私たちは展示壁や展示台、椅子などといった展覧会を開くのに最低限必要なものに加え、それらの搬入や組み立てにかかる時間や搬出までの動き方などを設計しています。展示壁や展示台、椅子などの各要素はそれぞれ自律したバラバラな動きをしていて、関係しあっています。また、行われる操作はテンポラリーなものであるので会場を構成するものたちがどこから来てどう処理されるのか、展覧会の前後の動きも設計対象になっています。
止まりながら動きつづけていること
私達が会期を通して入場可能時間に行うことはリノベーションした空間そのものの展示で、一見静止している会場を来場者に開放します。私達は日々空間に改変を行いますが、作業時間は入場できません。この場で行うのはパフォーマンスの上演ではないからです。加えた操作はもちろんですが、空間体験そのものを楽しんでいただければ幸いです。
展望
本企画では、今この場所で展覧会を開くということにとどまらず、ショーウィンドウやテナントといった商業空間にある、中身の出入りが繰り返される場所について建築家として何ができるかを考えることとなりました。
そういった場所ではある時には洋服が売られ、またある時にはアート作品が飾られますが、それらのいわゆるディスプレイは、情報を発信する「展示物」とその「受け手」という二項対立的な構図をとります。この時、二者以外の構成要素は考慮されていません。『テンポラリーなリノベーションとしての展覧会』では、いわゆる「作品」によって新たな文脈を提示するのではなく、展覧会場内の複数の事物・人・ひいては会場の外にある街の中に張り巡らされている関係性を顕在化することで展覧会という空間の完成を目指します。
そのとき、テンポラリーなリノベーションとしての展覧会は、都市でよく目にするガラス一枚で道から分断された場所をある意味で占領し、その空間の所属を建物内部から都市空間に取り替える可能性をもつ手段でもあると考えます。
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■展覧会概要
実施期間:2021.11.15(月)-2021.12.2(木)
入場可能期間:2021.11.20(土)-2021.11.29(月)
10:00-13:00/17:00-21:00( 入場は閉場時刻の30 分前まで)
会場:SACS 渋谷 / 東京都渋谷区桜丘町16-12 桜丘フロントビル1F
アクセス:JR 渋谷駅西口 徒歩約2 分
入場料:無料
主催:
青木淳研究室 修士一年
大貫友瑞・河上朝乃・高井爽・松井一将
担当教員:青木淳(教授)・笹田侑志(教育研究助手)
協力(50 音順):マコトオカザキ(写真、映像補助)/ Pablo Haiku(音楽)
お問い合わせ:050-3552-5768
助成:一般財団法人乃村文化財団/ 藝大フレンズ賛助金
※展覧会場では新型コロナウイルス感染防止対策を実施するため、混雑状況によっては入場をお待ちいただく場合がございます。