木村日出夫+木村淳子 / STUDIO RAKKORA ARCHITECTSが設計した、大阪・堺市の、三住戸の改修「茶山台団地のリノベーション」です。既存躯体と両面採光という環境の再解釈が重要だと捉え、躯体に対して挿入する要素の素材感やスケール感を操作、新要素を通し眺める団地環境がより肯定的に感じられる空間が構想されました。
また、本建築の内覧会情報を末尾に掲載します(要事前申し込みで、2022年1月23日に開催)。
大阪府住宅供給公社が主催する「令和3年度公社茶山台団地住宅改善事業 事業提案競技」による団地リノベーションの提案。
茶山台団地は大阪府堺市の泉北ニュータウンに位置し、周辺は緑豊かな環境でありながら、大阪の都市部にもアクセスしやすい立地である。事業提案競技では、45㎡の住戸を2つ合わせて住まう90㎡の「ニコイチ」2住戸と、45㎡の「リノベ45」1住戸の提案が求められた。
茶山台団地は十分な隣棟間隔かつ階段室型の住棟であるため、両面採光を得ることで、どの住戸も光に満ちた室内空間となっている。また、既存プランはいわゆる田の字型で、中央の構造壁や梁などのコンクリート躯体を残すことが前提となった。改修にあたり、既存躯体の持つ空間性に対抗せずにうまく応用することが有意義な手法であり、団地特有の光環境と合わせて既存の再解釈と再利用の方向性を示すことが、この建築を通して新しい暮らしを提案する重要なテーマになると考えた。
2つの開口を持つ構造壁が中央に残された「ニコイチ」では、挿入する壁やフレームの位置を躯体の開口に合わせて決定することで、既存の再解釈を行いながら、光と風が抜ける特徴的な空間構成を実現している。
大梁が中央に残された「リノベ45」では開口部や欄間を設けた複数の壁やフレームを、外周部の躯体から離して挿入することで、光のまわる柔らかな空間とした。