SHARE 佐々木達郎建築設計事務所による、 長野の宿泊施設「星野リゾート BEB5軽井沢」。自然豊かで四季折々の風景を楽しめる敷地で、建築の量塊を森林と一体化するよう抑え素材選択でも景観に配慮、中庭を囲む共用空間では宿泊者が其々の居場所を見つけ滞在を楽しめる機能を用意
佐々木達郎建築設計事務所が設計した、 長野の宿泊施設「星野リゾート BEB5軽井沢」です。自然豊かで四季折々の風景を楽しめる敷地で、建築の量塊を森林と一体化するよう抑え素材選択でも景観に配慮、中庭を囲む共用空間では宿泊者が其々の居場所を見つけ滞在を楽しめる機能が用意されました。施設の公式サイトはこちら。
この建築は、旅を身近に楽しむためにつくられた74室の客室をもつホテルである。
敷地は、長野県軽井沢町の唐松や紅葉が自然豊かな林に囲まれ、1年を通して四季折々に変化する風景を楽しむことが可能な場所であった。そこで、この土地固有の豊かな自然を建築の魅力として取り込こむことを考えた。建物のボリュームは、周辺の森林と一体化し、建築が風景として消えていくように抑え、無彩色や木材の自然な色彩を中心としたマテリアルで景観に配慮した。
ハの字型に開いた中庭型の配置を採用し、パースペクティブに広がる大きなデッキテラスを設けている。そのテラスをぐるりと囲い込んだ1階の共用空間は、中庭の自然が連続する「林」に見立てた空間とし、ゲストが自由に居場所を見つけ、おもいおもいに滞在を楽しめる機能を散りばめた。
構造形式は、環境への配慮から、イ準耐火建築物(1時間)の木造2階建てとして計画している。
自然と隣接する中庭に面した窓廻りの柱には、220mm角の米マツ集成材を使用し、45mmの燃え代を確保した。それ以外の柱、床は、石膏ボードで被覆し、コストバランスを図っている。また、特殊な構造として、西と東の2つの棟の接合部分にEXP.Jを設けず、鉄骨庇を水平梁として使うことで補強し、吹抜け壁面の耐風梁としても利用した。
一方で、この規模のホテルでの木造の採用事例が少なく、コスト面、性能面については検証を繰り返した。小さな単位の客室が連続するホテル建築の特性上、小断面の流通材を利用し易い事や、杭や地盤改良を含めた総合的な比較から、コスト面においても木造にメリットがあることがわかり採用にいたっている。
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以下、建築家によるテキストです。
自然を引き込む
この建築は、旅を身近に楽しむためにつくられた74室の客室をもつホテルである。
敷地は、長野県軽井沢町の唐松や紅葉が自然豊かな林に囲まれ、1年を通して四季折々に変化する風景を楽しむことが可能な場所であった。そこで、この土地固有の豊かな自然を建築の魅力として取り込こむことを考えた。建物のボリュームは、周辺の森林と一体化し、建築が風景として消えていくように抑え、無彩色や木材の自然な色彩を中心としたマテリアルで景観に配慮した。
ハの字型に開いた中庭型の配置を採用し、パースペクティブに広がる大きなデッキテラスを設けている。そのテラスをぐるりと囲い込んだ1階の共用空間は、中庭の自然が連続する「林」に見立てた空間とし、ゲストが自由に居場所を見つけ、おもいおもいに滞在を楽しめる機能を散りばめた。
内外の境界面には、木の柱や、木製建具を採用し、内外の連続性を高めている。また、3寸角の国産ヒノキ材を採用した家具は、柱と鏡で構成され、写りこむ木漏れ日や木の質感が中庭と混じり合い、より自然との一体感を感じられる計画としている。
この自然と一体化した建築に賑わいが生まれ、この地域の新しい風景となることを期待している。
木造でつくるホテル
構造形式は、環境への配慮から、イ準耐火建築物(1時間)の木造2階建てとして計画している。
自然と隣接する中庭に面した窓廻りの柱には、220mm角の米マツ集成材を使用し、45mmの燃え代を確保した。それ以外の柱、床は、石膏ボードで被覆し、コストバランスを図っている。また、特殊な構造として、西と東の2つの棟の接合部分にEXP.Jを設けず、鉄骨庇を水平梁として使うことで補強し、吹抜け壁面の耐風梁としても利用した。
一方で、この規模のホテルでの木造の採用事例が少なく、コスト面、性能面については検証を繰り返した。小さな単位の客室が連続するホテル建築の特性上、小断面の流通材を利用し易い事や、杭や地盤改良を含めた総合的な比較から、コスト面においても木造にメリットがあることがわかり採用にいたっている。
性能面では、重衝撃音への遮音を高めるため、甲乙梁のピッチを密にする事で剛性を高めた素面と二重床による断面構成により、ホテルが求める性能を確保している。
■建築概要
物件名称:星野リゾート BEB5軽井沢
用途:ホテル
所在地:長野県北佐久郡軽井沢町
設計監理:佐々木達郎建築設計事務所
(佐々木達郎、田上拓*、松本礼永*、中島紀子*)*は元所員
構造設計:KAP
設備:森村設計
施工:竹花工業株式会社
外構:FIELDCOM.DESIGN 小竹良恵
照明:ICE都市環境照明研究所 武石正宣
家具:TIME&STYLE
サイン:OUTSIGHT GRAPHICS 後藤圭介
工事種別:新築
階数:地上2階
構造種別:木造
敷地面積:5311.38㎡
建築面積:1444.28㎡
延床面積:2828.18㎡
最高高さ:9960mm
最高軒高:7950mm
竣工月日:2018年11月
写真:Nacasa & Partners
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・屋根 | 屋根 | |
外装・壁 | 外壁 | |
内装・床 | 共有部床 | |
内装・壁 | 共有部壁 | AEP塗装 特注仕上げ(ドゥカーレ) |
内装・天井 | 共有部天井 | AEP塗装(日塗工) |
内装・床 | 客室(やぐらルーム)床 | |
内装・壁 | 客室(やぐらルーム)壁 | AEP塗装(日塗工) |
内装・天井 | 客室(やぐらルーム)天井 | クロス張り(東リ) |
内装・造作家具 | ベッド(やぐら寝台) | 国産ヒノキ集成材 90角(TIME&STYLE) |
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