SHARE 田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、神奈川・鎌倉市の、旅館併用住宅「岸家」。海沿いの住宅密集地に建つ1日1組限定の宿泊施設の計画、周辺環境を活かし運営理念の具現化を目指して、二棟の建物と庭園からなる構成を考案。棟貸し形式はコロナ禍での社会的需要にも応える
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOが設計した、神奈川・鎌倉市の、旅館併用住宅「岸家」です。
海沿いの住宅密集地に建つ1日1組限定の宿泊施設の計画、周辺環境を活かし運営理念の具現化を目指して、二棟の建物と庭園からなる構成を考案。棟貸し形式はコロナ禍での社会的需要にも応えています。施設の公式サイトはこちら。
由比ヶ浜沿いの旅館併用住宅。
施主は以前都内で古い日本家屋に住み副業として余った「客間」を民泊運営していた若い夫婦。今回は本業として場所を鎌倉に移し本格的に住みながら饗す為の場所を求めた。
敷地は短辺が海に面した住宅密集地。小さな母屋と離れを計画し庭園を中央に配置。分棟とする事で棟貸しとし、海と庭園を交互に体験出来る動線とした。一方母屋の一階は建物越しに海を臨む事の出来るダイニングとし二階のみが施主の為の居住空間。
夫婦にとって建物はゲストを饗し対価を得る唯一の糧であり、家を建てる事は大きな賭けだった。その切実さから家の殆どがゲストの為に奉仕する場所となり、「客間」が肥大化したような建築となった。
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以下、建築家によるテキストです。
由比ヶ浜沿いの旅館併用住宅。
施主は以前都内で古い日本家屋に住み副業として余った「客間」を民泊運営していた若い夫婦。今回は本業として場所を鎌倉に移し本格的に住みながら饗す為の場所を求めた。
敷地は短辺が海に面した住宅密集地。小さな母屋と離れを計画し庭園を中央に配置。分棟とする事で棟貸しとし、海と庭園を交互に体験出来る動線とした。一方母屋の一階は建物越しに海を臨む事の出来るダイニングとし二階のみが施主の為の居住空間。
夫婦にとって建物はゲストを饗し対価を得る唯一の糧であり、家を建てる事は大きな賭けだった。その切実さから家の殆どがゲストの為に奉仕する場所となり、「客間」が肥大化したような建築となった。
コロナ禍で小さい事が強みに
お饗しをするために家に泊まってもらう。そんなコンセプトの旅館の運用は、宿泊人数を絞った一組だけの棟貸しとした事により、都内から近場でかつ密接する事を避けたいという昨今の社会的な需要に見合ったものだった。ホテル等と違い、小規模であるため少人数しか対応が出来ない事が、むしろ望まれるということは、計画当時全く予想していなかったが、今回は結果として新しいニーズを掘り起こす事になった。
■建築概要
作品名:岸家
所在地:神奈川県鎌倉市
主要用途:旅館併用住宅
家族構成:夫婦
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設計
建築設計:G ARCHITECTS STUDIO 担当/田中亮平
共同設計:山翠舎、許光範(元パートナー。現在許光範建築設計事務所主宰)
構造設計:DIX構造設計部 担当/田村尚土、鈴木愛実(元所員)
照明:PICCA 担当/平井辰可
外構・造園 SfG 担当/大野暁彦
美術:岸家/岸仁美
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施工
建築:安齋工務店 担当/安齋輝信、井上博登
家具・建具:山翠舎 担当/内藤崇弘
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主体構造・構法:木造(一部鉄骨造)、在来工法
基礎:べた基礎
階数:地上2階、屋上1階
地域地区:都市計画区域内(市街化区域)、法第22条区域、風致地区、埋蔵文化財包蔵地
道路幅員:南 21.274m
駐車台数:1台
敷地面積:310.86m2
建築面積:92.46m2
延床面積:152.58m2
撮影:志摩大輔