片田友樹 / micelleが設計した、福岡の住戸改修「KGM」です。
陶芸家の施主の為に計画されました。建築家は、居住・制作・打合せの空間が共存する在り方を求め、作業場を中心に諸室を配置した“中世の広場”の様な構成を考案しました。また、壁と床には堅牢さを備えて使い込むと味わいが増す素材を選択しています。
作品の扱われ方やアウトプットの変化によって、製作の状況が変化してきた作家のため、住居と製作場・打合せスペースという通常では相入れない用途をマンションの一区画に共存させることとなった。
既存の壁を利用し、部屋と廊下を抉るように解体して、他室の扉が面する中世の広場のような作業場とした。
四方の壁面を窓や扉が占めているが、開口部が正対することはなく、人や物、光や風が通り過ぎるその一瞬立ち止まれるような場所である。
その中で、窯は教会のような位置を占め、その反対側には鑑賞者が眺め受け止めるための正対したポジションを据え、逆の正面性をその背面に持たせた。
壁は絵画や作品、資料などを設置することが想定されたので、何度でも補修して塗り重ねられるよう美術館のような仕様とし、床は優しい表情を持ちつつもタフに使えるリノリウムとした。どちらも使い込んだ表情が楽しみになる素材としている。
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以下、建築家によるテキストです。
陶芸家のための住居の改装
作品の扱われ方やアウトプットの変化によって、製作の状況が変化してきた作家のため、住居と製作場・打合せスペースという通常では相入れない用途をマンションの一区画に共存させることとなった。
既存の壁を利用し、部屋と廊下を抉るように解体して、他室の扉が面する中世の広場のような作業場とした。
四方の壁面を窓や扉が占めているが、開口部が正対することはなく、人や物、光や風が通り過ぎるその一瞬立ち止まれるような場所である。
その中で、窯は教会のような位置を占め、その反対側には鑑賞者が眺め受け止めるための正対したポジションを据え、逆の正面性をその背面に持たせた。
天井には穴を開けたCT鋼をコンクリート躯体の梁下に合わせて等間隔に設置し、制作時の乾燥棚や作業用照明、素材の保管、植栽やハンモック、モビールなどを掛けられるようにし、空間の中心で、製作をしたり、人を迎え、談笑したり、微睡むきっかけとなるようにした。
壁は絵画や作品、資料などを設置することが想定されたので、何度でも補修して塗り重ねられるよう美術館のような仕様とし、床は優しい表情を持ちつつもタフに使えるリノリウムとした。どちらも使い込んだ表情が楽しみになる素材としている。
■建築概要
場所:福岡
デザイン:micelle ltd. / katada tomoki
施工:イクスワークス
施工面積:60.6m2
期間:2019年2月~2019年7月
撮影:Lemmart