SHARE 関口貴人と新明工産による、埼玉・飯能市の、新築平屋の美容院「Hair room TOARU」の内覧会が“3/26”に開催。平田晃久事務所出身の建築家による独立最初の作品。カットスペースを構成する鏡を“3m”を超えるサイズにまで拡大して空間を構成。目の前に座る自分だけでなく緑や街をも映し出す
- 日程
- 2023年3月26日(日)
関口貴人建築設計事務所と新明工産による、埼玉・飯能市の、新築平屋の美容院「Hair room TOARU」の内覧会が開催されます。
平田晃久建築設計事務所出身の建築家による独立最初の作品です。建築家は、カットスペースを構成する鏡を“3m”を超えるサイズにまで拡大して空間を構成しました。そして、目の前に座る自分だけでなく緑や街をも映し出す事が意図されました。開催日は2023年3月26日。参加費無料。事前申し込み不要です。建築の場所はこちら(Google Map)。【ap・ad】
埼玉県飯能市に建てるRCラーメン壁とCLT屋根併用構造の平屋の美容院である。
人の内的な部分から活動を呼び起こすような物質的で自然な建築をつくることができないか、そのようなことを思いながら、ここでは建築の要素や形式から一度離れ、カットスペースを構成する鏡と机を解体し、組み換えることから建築を考えていった。
一般的なスケールを超えた大きな鏡(RC壁)を1辺にもつ2.3m角のカットスペースをずらしながら配置し、その間に大きな机(CLT屋根)を架け渡していく。RC壁とCLT屋根はアングルとビスだけの簡易的な接合構法で家具のように取り付けられ、RC壁はそれだけで面外方向の荷重に対して自立し、CLT屋根はそれ自体が構造体になり梁のない長スパンの架構をつくる。
間に嵌め込まれたガラスは構造シールにより枠のない透明な開口をつくることで、RC壁が地面から建ち上がってCLT屋根がただそれに載っているだけのように見える。
以下、建築家によるテキストです。
埼玉県飯能市に建てるRCラーメン壁とCLT屋根併用構造の平屋の美容院である。
人の内的な部分から活動を呼び起こすような物質的で自然な建築をつくることができないか、そのようなことを思いながら、ここでは建築の要素や形式から一度離れ、カットスペースを構成する鏡と机を解体し、組み換えることから建築を考えていった。
一般的なスケールを超えた大きな鏡(RC壁)を1辺にもつ2.3m角のカットスペースをずらしながら配置し、その間に大きな机(CLT屋根)を架け渡していく。RC壁とCLT屋根はアングルとビスだけの簡易的な接合構法で家具のように取り付けられ、RC壁はそれだけで面外方向の荷重に対して自立し、CLT屋根はそれ自体が構造体になり梁のない長スパンの架構をつくる。
間に嵌め込まれたガラスは構造シールにより枠のない透明な開口をつくることで、RC壁が地面から建ち上がってCLT屋根がただそれに載っているだけのように見える。
飯能市は市域の4分の3を森林に覆われており、林業が盛んで江戸時代から西川材と呼ばれる木材を筏により江戸へ流送していた。かつて江戸に流していた木材を水平に連続する屋根として、現在往来する車の流れを鏡によって取り込み、重ね合わせる。内外に植えた植栽を反射によって重ね、緑に覆われたカットスペースをつくる。
幅2.3m×高さ3.2、3.8mの鏡は、椅子に座ったときに鏡だけが人の視野角の中で鮮明に見えるため、自分の容姿を映すモノでありながら、緑やまちの中に自分を映すモノにもなる。鏡と机の重なりに緑を重ね、今と昔のまちの風景を重ね、そこに自分も重ねていく。
鏡と机、この小さな活動の要素が本来あるモノの意味や用途、スケールを超えて建築として建ち現れ、モノコトが多層的に混成する自然で美しい建築を創造した。
■建築概要
建物名:Hair room TOARU
建設地:埼玉県飯能市双柳225-1
用途:美容院
設計:関口貴人建築設計事務所+新明工産
施工:八木建設
規模:平屋(一部塔屋)
構造:RCラーメン壁+CLT屋根
敷地面積:346.91m2
建築面積:159.19m2
延床面積:174.83m2
工事期間:2022年8月~2023年2月
関口貴人
1982年埼玉県生まれ、2008年東京理科大学大学院小嶋一浩研究室修了後、平田晃久建築設計事務所勤務。チーフ、ディレクターを経て、2022年関口貴人建築設計事務所設立。
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