UID前田圭介・原浩二・山澤達義が審査した、中国電力主催の建築アワード「エネルギア住宅作品コンテスト」の入賞作品を公開します。第26回の募集テーマは「自然素材を活かしたサステナブルな住まい」でした。【ap・ad】
中国電力主催の建築アワード「エネルギア住宅作品コンテスト」では、「自然素材を活かしたサステナブルな住まい」をテーマとして作品を募集し、108件の応募がありました。応募作品の中から、自然の循環サイクルに還ることができる自然素材を取り込んだ高い機能性とデザイン性を実現する独創的な工夫を施し、地域の持つ景観・気候風土との調和に配慮されたもの等、計12作品を選出し、「新築・リフォーム住宅部門」の7作品、「学生部門」の5作品を公開しています。
■審査委員
前田圭介 (UID主宰、近畿大学工学部 教授)
原浩二 (原浩二建築設計事務所 所長、広島工業大学 非常勤講師)
山澤達義 (テレビ朝日系「渡辺篤史の建もの探訪」元番組プロデューサー)
エネルギア住宅コンテスト 総評 前田圭介
第26回目のコンテストは「自然素材を活かしたサステナブルな住まい」と題して、数多くの素晴らしい応募作品がありました。自然素材のテーマ性から木造形式の住まいや、内外の仕上げに木材を活かした作品が多いなか、コンクリート打放し仕上げもまた自然素材ではないかとの議論もあり、テーマを深掘りしながら審査員側がどのように解釈していくかが問われる審査会でもありました。
新築部門の最優秀賞は、住まい手だけでなく周辺へ情緒あふれる豊かな環境を生み出しており、この地域を含めた持続可能性を感じさせる作品でした。つまり、サステナブルな住まいとは個だけで完結するのではなく、地域社会と接続する居場所をいかにデザインできるかが問われているように思いました。
またリフォーム部門最優秀賞では小さな蔵にフィットするように建て主の暮らしを丁寧に落し込み、既存の時間に手を加えながら美しいディテールと合わせ新たな価値を創出している豊かな住まいでした。
そして、学生部門の上位案はどれもが地球上における自然の営みから人の暮らしへエネルギーを循環させながら持続可能な社会を実現させようとする意欲的な作品が多く充実した審査会となりました。
以下に各賞の受賞者と作品写真及び提案書を掲載します。
●新築住宅部門の入賞作品
【最優秀賞】
「倉敷の町家(ゴールデンドロップのあかり)」
大角雄三(一級建築士事務所 大角雄三設計室)
【優秀賞】
「西条の家」
穂垣友康・穂垣貴子(くらし設計室)
【佳作】
「元宇品のアトリエ」
春日琢磨(春日琢磨建築設計事務所)
【審査委員特別賞】
「石内の家」
寺岡徹(寺岡徹建築事務所)
【審査委員特別賞】
「あたらしい家」
中村堅志(一級建築士事務所 中村建築 株式会社)
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●リフォーム住宅部門の入賞作品
【最優秀賞】
「5坪の家 小宅~kota~」
國本広行(國本建築堂株式会社)
【優秀賞】
「ビレッジプライド – ゲストルーム」
三宅正浩(株式会社y+M design office)
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●学生部門の入賞作品
【最優秀賞】
「借り、整え、還す」
丸山周(東京理科大学 工学部 建築学科)
佐古統哉(東京理科大学 工学部 建築学科)
【優秀賞】
「雪仕舞いを澄ます-『邪魔者』の雪を『資源』として利用する町屋住宅の提案-」
森野涼帆(東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系)
【佳作】
「舞鶴の共竹居」
化生真依(大阪大学大学院 工学研究科 建築工学コース)
川岡知樹(大阪大学大学院 工学研究科 建築工学コース)
吉田英亜(大阪大学大学院 工学研究科 建築工学コース)
【審査委員特別賞】
「サンカヨウ 一輪の花から忘れられた日本人の雨の記憶が花開く」
塚村遼也(広島大学 工学部第四類 建築プログラム)
谷卓思(広島大学 工学部第四類 建築プログラム)
【審査委員特別賞】
「土に棲まわせてもらってます。」
永井颯真(大同大学 工学部 インテリアデザイン専攻)
坂野綜磨(愛知淑徳大学 創造表現学部 創造表現学科)
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