宮崎晃吉 / HAGISOが設計した、東京・荒川区のシェアオフィス「西日暮里のトンネル」です。
裏側に路地が連続する住宅地での計画です。建築家は、見出した都市構造を取入れる空間を求め、“街区に穿つトンネル”をモチーフとした設計を志向しました。また、金属板で仕上げた塀を備えた奥庭は内部に多様な表情の変化をもたらします。
荒川区西日暮里、西日暮里駅と新三河島駅の間の路地に建つ住宅の一階をシェアオフィスにリノベーションするプロジェクト。
住宅は施主の生家で、もともとは1階に印刷工場、2階3階が自宅となっていた。
現在は施主の母が暮らしているが、印刷工場だった1階は使われず、印刷機械と活版印刷の活字がずらりと並んでいた。
玄関先には母の趣味の園芸の鉢がならび、手入れが行き届いている。
地域を紐解くと、かつては印刷関係の工場や倉庫が多く立ち並んでいたそうで、今もいくつかは残っているものの、徐々に住宅に置き換わり現在は住宅街となっている。設計の初期段階で周辺の素材のサンプリングや都市構造の特性の分析の中から、建物の裏側には植栽などが植えられている細い路地空間が連続していることを見出した。
一見すると表層的な町並みの裏に実は緑の連続する空間があるという発見をこの建築に取り入れるために、道路から街区に穿つトンネルのモチーフを設計意図の中心に据えた。住宅の玄関の隣の間口を目一杯使い、外部から連続するトンネルは、敷地奥においてステンレスの鏡面板によって斜めに反射される。時間によって差し込む日光や、明暗の差によってまちから見えるトンネルの表情は大きく変化する。
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以下、建築家によるテキストです。
荒川区西日暮里、西日暮里駅と新三河島駅の間の路地に建つ住宅の一階をシェアオフィスにリノベーションするプロジェクト。
住宅は施主の生家で、もともとは1階に印刷工場、2階3階が自宅となっていた。
現在は施主の母が暮らしているが、印刷工場だった1階は使われず、印刷機械と活版印刷の活字がずらりと並んでいた。
玄関先には母の趣味の園芸の鉢がならび、手入れが行き届いている。
地域を紐解くと、かつては印刷関係の工場や倉庫が多く立ち並んでいたそうで、今もいくつかは残っているものの、徐々に住宅に置き換わり現在は住宅街となっている。設計の初期段階で周辺の素材のサンプリングや都市構造の特性の分析の中から、建物の裏側には植栽などが植えられている細い路地空間が連続していることを見出した。
一見すると表層的な町並みの裏に実は緑の連続する空間があるという発見をこの建築に取り入れるために、道路から街区に穿つトンネルのモチーフを設計意図の中心に据えた。住宅の玄関の隣の間口を目一杯使い、外部から連続するトンネルは、敷地奥においてステンレスの鏡面板によって斜めに反射される。時間によって差し込む日光や、明暗の差によってまちから見えるトンネルの表情は大きく変化する。
トンネルに沿う形で、園芸棚、屋外ベンチ、屋内ベンチ、デスク、と人の居場所が形を変えながら連続している。敷地奥の幅が広くなるところは、ちょっとした食事ができるキッチンとダイニングテーブルとすることで、オフィスで働く人同士や、時には二階で暮らす母も交えて食事を楽しむことも考えた。
■建築概要
作品タイトル:西日暮里のトンネル
所在地:東京都荒川区西日暮里
主要用途:事務所
建主:株式会社アンドインターフェース
建築設計:HAGISO 担当:宮崎晃吉、児林幸輔、小林大陸
施工:株式会社TRUNK MARK 担当:松本亮
階数:3階建
地域地区:商業地域 準防火地域
構造:鉄骨造
敷地面積:61.79m²
建築面積:37.01m²
床面積:33.33m²(計画部分)
設計期間:2020年12月~2021年8月
施工期間:2021年9月~2022年1月
竣工:2022年1月
写真:千葉正人