針谷將史建築設計事務所が設計した、埼玉の「安部邸」です。
一家6人の為の住まいの計画です。建築家は、家族の為の“公共空間”としての“家”を求め、“親密な距離”と“個人の距離”が同時に存在する建築を志向しました。そして、他者としての“自律する構造体”で複数の小さな中心と周縁をひとつに繋ぎました。本記事では西川公朗と川村恵理による写真で、この建築を紹介します。
家そのものが、家族のための公共空間にはなり得るだろうか。空間と構造の新しい関係性から、家の公共性について考えてみたい。
この計画は都心でも郊外でもない住宅地に建つ、6人の家族の暮らす家。家族とは、強い結びつきがありながらも、それぞれが自立した個人の集まりである。そのような個人同士の関係を尊重し、親密な距離と個人の距離が同時に存在する空間を構想した。複数の小さな中心と周縁が、構造体によってぐるりとひとつに連なる。
ここでは自律する構造体は「もうひとりの他者」となり、永続的な中庭と共に、家族とのあいだを取り持つ。その全体像は異なる複数のパースペクティブの集積によって知覚され、一義的な解釈に留まらない、多様な領域認識を得ることで、各々が自由に過ごせる環境が生まれる。
生活のための器であることを超えて、人と建築が対等な関係を築けたとき、家は家族の公共空間になる。
西川公朗による写真
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川村恵理による写真
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以下、建築家によるテキストです。
家(家族)の公共性について
「キッチンにはハイライトとウィスキーグラス、どこにでもあるような家族の風景。友達のようでいて他人のように遠い、愛しい距離が、ここにはいつもあるよ」
(ハナレグミ「家族の風景」)
家そのものが、家族のための公共空間にはなり得るだろうか。空間と構造の新しい関係性から、家の公共性について考えてみたい。
この計画は都心でも郊外でもない住宅地に建つ、6人の家族の暮らす家。
家族とは、強い結びつきがありながらも、それぞれが自立した個人の集まりである。そのような個人同士の関係を尊重し、親密な距離と個人の距離が同時に存在する空間を構想した。複数の小さな中心と周縁が、構造体によってぐるりとひとつに連なる。
ここでは自律する構造体は「もうひとりの他者」となり、永続的な中庭と共に、家族とのあいだを取り持つ。その全体像は異なる複数のパースペクティブの集積によって知覚され、一義的な解釈に留まらない、多様な領域認識を得ることで、各々が自由に過ごせる環境が生まれる。
生活のための器であることを超えて、人と建築が対等な関係を築けたとき、家は家族の公共空間になる。
■建築概要
題名:安部邸
所在地:埼玉県
主用途:専用住宅
設計:針谷將史建築設計事務所 担当:針谷將史、野村郁人
施工:株式会社まつもとコーポレーション
構造:小西泰孝建築構造設計
照明:岡安泉照明設計事務所
カーテン:Talking about curtains 佐藤未季
造園:シツラエ 村田康行
家具:スケール 山本大輔、新宮恭仁
家具:GRAPEFRUIT FURNITURE 小杉真嗣
スチールサッシ:デバイス
鉄骨:平井スチール
構造:鉄骨造
階数:地上2階
敷地面積:293.92㎡
建築面積:104.50㎡
延床面積:190.35㎡
設計期間:2020年11月~2022年1月
工事期間:2022年2月~2022年12月
竣工:2022年12月
写真:西川公朗、川村恵理