今井博康が設計した、千葉・松戸市の住戸改修「凹の家」です。
夫婦と猫2匹の為に計画されました。建築家は、人と猫の快適な暮らしを求め、間仕切り壁を床から“350mm”浮かせて部屋全体が“猫の為の広場”にもなる構成を考案しました。そして、異なる特性を持つ存在が同じ空間に重なりフィットする状態を作る事も意図されました。
夫婦と猫二匹が共生する中古マンションのフルリノベーション。
65㎡と限られた面積の中で広がりが感じられ、猫も人間も共に快適に過ごせる家を目指し、人間だけでなく猫の視点(生態・習性・安全性)もプラスした設計を試みた。
既存の単純な田の字プランから部屋数を減らし、2つに分かれていた水回りを一つにまとめ、ぐるりと遠回りする変化と奥行きのある動線計画とした。部屋の間仕切りになっている棚、キッチン、洗面を浮かせ、床と壁に350mmの隙間を作った。350mm浮いた壁は人間にとって間仕切りとして機能しながらも奥行や広がりを感じさせ、猫にとっては部屋全体が大きな広場のようになるのと同時に、野良猫が車の下に隠れるような物陰の居場所を生んだ。床が繋がるため全体の空調やロボット掃除機の効率が向上した。
住まいの設計に人間以外の視点を組み込むことで、ミニマムな見た目でありながら都市のように異なるスケール・習性・活動域を持つモノ(人間、猫、子供、ロボット掃除機など)が同空間上に重なりフィットする、豊かな状態を生み出すことが出来た。
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以下、建築家によるテキストです。
夫婦と猫二匹が共生する中古マンションのフルリノベーション。
65㎡と限られた面積の中で広がりが感じられ、猫も人間も共に快適に過ごせる家を目指し、人間だけでなく猫の視点(生態・習性・安全性)もプラスした設計を試みた。
既存の単純な田の字プランから部屋数を減らし、2つに分かれていた水回りを一つにまとめ、ぐるりと遠回りする変化と奥行きのある動線計画とした。部屋の間仕切りになっている棚、キッチン、洗面を浮かせ、床と壁に350㎜の隙間を作った。350㎜浮いた壁は人間にとって間仕切りとして機能しながらも奥行や広がりを感じさせ、猫にとっては部屋全体が大きな広場のようになるのと同時に、野良猫が車の下に隠れるような物陰の居場所を生んだ。床が繋がるため全体の空調やロボット掃除機の効率が向上した。
その他に、棚の中のステップや、覗き穴、梁下のキャットウォークなど、猫の居場所や多様で立体的な動線、活動域を広げる仕掛けを忍ばせた。他の棚の穴はプロジェクター、AV機器などの機能として使われる。
住まいの設計に人間以外の視点を組み込むことで、ミニマムな見た目でありながら都市のように異なるスケール・習性・活動域を持つモノ(人間、猫、子供、ロボット掃除機など)が同空間上に重なりフィットする、豊かな状態を生み出すことが出来た。
■建築概要
題名:凹の家
所在地:千葉県松戸市
主用途:住宅
設計:今井博康
施工:ソレイユリビングテック リファイン新松戸
構造:RC造
階数:地上1階
延床面積:65㎡
設計:2022年9月~2022年2月
工事:2022年2月~2022年7月
竣工:2023年11月
写真:Tomoyuki Kusunose、Takumi Homma、Hiroyasu Imai