今津康夫 / ninkipen!が設計した、大阪市の店舗「PORT」です。
昭和竣工のビル内のヴィンテージと新品の衣類や家具を扱う店です。建築家は、ショップの個性に相応しい在り方を求め、既存の“素材に潜む美しさ”に敬意を払う設計を志向しました。そして、床のテラゾーや天井のアルミパネルを磨き上げて再活用しました。店舗の公式サイトはこちら。
ヴィンテージ家具とウィメンズの服を取り扱うセレクトショップのインテリアデザインである。
昭和40年竣工のビルは時が止まったように当時の姿のまま残されていて、セピアに燻んでしまっているが、丁寧な仕事と当時は最先端だったであろう素材に潜む美しさにすぐに魅了された。
半世紀かけて大量に積もった汚れを落とすことから始めることが、新しいものと古いものを同時に扱う店のパーソナリティに相応しいと思った。
床のテラゾーはポリッシャーのブラシを徐々に細かく変えながら何度も磨きあげて竣工時以上の輝きを取り戻し、タバコのヤニがこびり付いた天井のアルミパネルは剥離剤で洗浄し再利用し、数が足りないものは複製して補った。
エントランスのドアプレートは当時と変わらずに作り続けられていることに驚きながら、新しいものに取り替えた。
時計の針を戻すように鮮やかに蘇った直截的な空間の下、過去と現在を行ったり来たりしながら手に取る逸品は、どれもタイムレスな魅力を放っている。
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以下、建築家によるテキストです。
ヴィンテージ家具とウィメンズの服を取り扱うセレクトショップのインテリアデザインである。
昭和40年竣工のビルは時が止まったように当時の姿のまま残されていて、セピアに燻んでしまっているが、丁寧な仕事と当時は最先端だったであろう素材に潜む美しさにすぐに魅了された。
半世紀かけて大量に積もった汚れを落とすことから始めることが、新しいものと古いものを同時に扱う店のパーソナリティに相応しいと思った。
床のテラゾーはポリッシャーのブラシを徐々に細かく変えながら何度も磨きあげて竣工時以上の輝きを取り戻し、タバコのヤニがこびり付いた天井のアルミパネルは剥離剤で洗浄し再利用し、数が足りないものは複製して補った。
エントランスのドアプレートは当時と変わらずに作り続けられていることに驚きながら、新しいものに取り替えた。
時計の針を戻すように鮮やかに蘇った直截的な空間の下、過去と現在を行ったり来たりしながら手に取る逸品は、どれもタイムレスな魅力を放っている。
■建築概要
名称:PORT
場所:大阪市
用途:セレクトショップ
設計:今津康夫 Yasuo Imazu / ninkipen!
施工:THE
延床面積:87.33㎡
竣工:2023年7月
写真:河田弘樹 Hiroki Kawata