畑克敏+足立拓哉+深澤愛佳+深澤創一 / studio36が設計した、愛知・岡崎市の「NEKKO OKAZAKI」です。
幅の広い緑道に面する区画に計画された飲食店と貸スペース等の複合施設です。建築家は、環境との連続性を求め、緑道の特徴を参照した“抑揚のある”空間を志向しました。そして、其々のスペースを“緑道に点在する店舗群”に“見立て”設計しました。施設の公式サイトはこちら。
計画建物は、「道であり、広場でもある」という“みちひろば”として2021年3月に全面再整備された「中央緑道」沿いに位置しているが、緑道側の開口のない立面がその巨大さを強調しており、建物と店舗のスケール差が街から店舗を遠ざけてしまうように感じた。
そこで、緑道と店舗がひと続きの空間となるように中央緑道の特徴である河岸段丘を活かした抑揚のある空間をそのまま店舗内に引き込み、酒屋とパン屋と工房からなる店舗を“緑道に点在する店舗群”に見立てて計画を進めた。その結果、当初違和感を感じていたスケール差を乗り越え、街と連続した商空間で誰もが思い思いの過ごし方ができる公共性の高い場所を目指した。
全体構成としては、緑道に点在する店舗群とするために、中央緑道のデザインに引用されている旧東海道の軸を店舗内に引き込み、既存構造フレーム(グリッドプラン)との隙間に店舗・客席・イベントスペースを配置することで、一人でいても心地よく、複数人でも集まれる冗長性のある平面計画とした。
また、既存構造フレームと異なるグリッドに動線を重ねることで、間口が狭く奥行きの深い平面が持つネガティブさを乗り越え、自然と奥まで足を運んでしまうような計画を目指した。
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以下、建築家によるテキストです。
緑道に点在する店舗群に見立てた、日常を支える複合施設
計画建物は、「道であり、広場でもある」という“みちひろば”として2021年3月に全面再整備された「中央緑道」沿いに位置しているが、緑道側の開口のない立面がその巨大さを強調しており、建物と店舗のスケール差が街から店舗を遠ざけてしまうように感じた。
そこで、緑道と店舗がひと続きの空間となるように中央緑道の特徴である河岸段丘を活かした抑揚のある空間をそのまま店舗内に引き込み、酒屋とパン屋と工房からなる店舗を“緑道に点在する店舗群”に見立てて計画を進めた。その結果、当初違和感を感じていたスケール差を乗り越え、街と連続した商空間で誰もが思い思いの過ごし方ができる公共性の高い場所を目指した。
旧東海道の軸(角度)を引用した、緑道と一体的な平面計画
全体構成としては、緑道に点在する店舗群とするために、中央緑道のデザインに引用されている旧東海道の軸を店舗内に引き込み、既存構造フレーム(グリッドプラン)との隙間に店舗・客席・イベントスペースを配置することで、一人でいても心地よく、複数人でも集まれる冗長性のある平面計画とした。
また、既存構造フレームと異なるグリッドに動線を重ねることで、間口が狭く奥行きの深い平面が持つネガティブさを乗り越え、自然と奥まで足を運んでしまうような計画を目指した。
中山間地域の地域資源(材料+人のネットワーク)を最大限に活かした内装
内装には、中山間地域で採ることができる市産材(額田のスギ板やヒノキ角材、片麻岩など)を用いることで、街中にしても中山間の地域資源を知ってもらうことに加えて、中山間地域の文化や景観(※片麻岩はかつて万足平の猪垣として広く使用)を形成してきた素材の再評価、技術の伝承の一助になればと考えた。
今回使用した片麻岩は一度途絶えた流通を「人のつながり」の中で復活させ、再度調達することが可能となった。一度途絶えてしまった素材へのアプローチには、市場の原理に加えてそこに介在する「人のつながり」を丁寧に紐解く先に素材の再評価があり、その先にようやく土地固有の景観が形成されるのではないかと思う。
■建築概要
題名:NEKKO OKAZAKI
所在地:愛知県岡崎市
主用途:飲食店、認可外保育施設
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企画
ディレクション:藤井伸昌
PM:studio36一級建築士事務所 担当/畑克敏、足立拓哉、深澤愛佳、深澤創一、梅村樹
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設計
建築:studio36一級建築士事務所 担当/畑克敏、足立拓哉、深澤愛佳、深澤創一、梅村樹
植栽:株式会社フィーカ
グラフィックデザイン:design office Switch
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施工
建築:五城建設株式会社
電気・空調:株式会社戸松電気工業所
衛生:石田設備株式会社
植栽:株式会社フィーカ
サイン:Adesign sign+graphic
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延べ床面積:397.98㎡(改修範囲)
設計:2021年8月~2022年4月
工事:2022年4月~2022年7月
竣工:2022年7月
写真:Asuto Noda