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柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図
photo©田中克昌

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architecture|feature
杉尾篤照明設計事務所加和太建設ZO設計室建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(外装・建具)建材(外装・その他)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(外構・床)田中克昌図面あり坪井宏嗣事務所PERSIMMON HILLS architects柿木佑介廣岡周平
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、夕景 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、低層部分の避難階段を見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図4階、共用スペース photo©田中克昌

柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsが設計した、東京・港区の「WOWK芝公園」です。
現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビルです。建築家は交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施しました。また、都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図されました。

東京・芝公園のペンシルビルの計画です。
2階から8階までの各フロアが賃貸事務所となっています。

オフィスビルはどこも同じように大人数が効率的に機械的な労働を行うための基準階がスタックされ、それが都市の風景をつくってきました。しかし、そのような労働のための均質空間は、もはや現代社会にはフィットしないものになっています。

IT化が進んだことによって小さな組織や個人でも大きな仕事ができるようになり、また、組織自体の在り方も変化して個の自由な振る舞いが可能となってきています。複数の小さな組織や個人が集まり、能動的に働き、交流できる場所が必要であり、それによって都市の新しい風景をつくっていくべきではないでしょうか。

建築家によるテキストより

敷地は、幹線道路沿いの中高層ビル群(皮)と、それに囲まれた低層木造建築物に占められた街区(餡子)との境目付近に位置しています。
餡子には職住一体形式の建物が多く残っていて、比較的幅の狭い道沿いに、小さい単位の職の場が並んでおり、細い路地のネットワークが息づいています。

建築家によるテキストより

本計画では、敷地境界からオフセットした単純なラーメンフレームのまわりに、奥にできるだけコンパクトにまとめられがちな避難階段をまとわりつかせて、各階で着床する位置、エントランスの位置を変えています。その余白を狙ってボリュームを付け足していき、狭小ながらも基準階を壊していきました。天空率を納めるようにボリュームを斜めにしたり、開口の大きさや位置を調整したり、素材を切り替えたりすることで各階にキャラクターをつけています。

敷地周辺の小さな単位の職の場、路地空間のネットワークといった魅力的な都市構造を立体化して新たな働く場所をつくることによって、古い風景と新しい風景を繋いでいけるのではないかと考えています。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、遠方より見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、遠方より見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、建物全体を見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、正面より見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、側面を見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、背面を見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、低層部を見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、低層部分の避難階段を見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、1階のラウンジを見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図1階、ラウンジ photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図2階、賃貸事務所、ホール photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図3階、避難階段 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図3階、賃貸事務所、ホール photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図4階、共用スペース photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図4階から避難階段を見下ろす。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図6階、賃貸事務所、ホール photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図6階、賃貸事務所、ホール photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図6階、賃貸事務所、ブース photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図6階、賃貸事務所、ブース photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図6階、賃貸事務所、ブース photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図7階、賃貸事務所、ホールからブースを見る。 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図8階、賃貸事務所、ブース photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図屋上テラス photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図屋上テラス photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図屋上テラス photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、夕景 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図外観、夜景 photo©田中克昌
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図平面図 image©PERSIMMON HILLS architects
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図立面ダイアグラム image©PERSIMMON HILLS architects
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図コンセプトダイアグラム image©PERSIMMON HILLS architects
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、東京・港区の「WOWK芝公園」。現代社会における在り方を追求した賃貸事務所ビル。交流を促し“都市の新しい風景”となる建築を目指し、避難階段の配置と量塊の操作で“基準階を壊す”設計を実施。都市構造の立体化での新旧風景の接続も意図コンセプトモデル photo©PERSIMMON HILLS architects

以下、建築家によるテキストです。


東京・芝公園のペンシルビルの計画です。
2階から8階までの各フロアが賃貸事務所となっています。

オフィスビルはどこも同じように大人数が効率的に機械的な労働を行うための基準階がスタックされ、それが都市の風景をつくってきました。しかし、そのような労働のための均質空間は、もはや現代社会にはフィットしないものになっています。

IT化が進んだことによって小さな組織や個人でも大きな仕事ができるようになり、また、組織自体の在り方も変化して個の自由な振る舞いが可能となってきています。複数の小さな組織や個人が集まり、能動的に働き、交流できる場所が必要であり、それによって都市の新しい風景をつくっていくべきではないでしょうか。

狭小敷地で計画をするとどうしても、縦動線(エレベーター+避難階段)や共用部をコンパクトにまとめて、出来る限り広くプレーンなフロアを確保するために苦心することになります。その結果、ファサードデザインという表層的な部分の操作のみになりがちです。内部空間は均質で固有性のない基準階フロアの積層になってしまいます。

そして従来通り、最寄駅がどこか、またそこからの距離、専有面積の広さ、階、といった定量化できる条件から価値が決まってしまいます。もちろんそれらも大事なことではあるのですが、小さな組織や個人による利用が想定されるペンシルビルにおいては特に、定量化できない部分からくる価値、つまり、そこで働きたい、そこに居たい、といった願望を喚起するような、選択の幅が広がるような仕掛けが必要ではないでしょうか。

敷地は、幹線道路沿いの中高層ビル群(皮)と、それに囲まれた低層木造建築物に占められた街区(餡子)との境目付近に位置しています。
餡子には職住一体形式の建物が多く残っていて、比較的幅の狭い道沿いに、小さい単位の職の場が並んでおり、細い路地のネットワークが息づいています。

本計画では、敷地境界からオフセットした単純なラーメンフレームのまわりに、奥にできるだけコンパクトにまとめられがちな避難階段をまとわりつかせて、各階で着床する位置、エントランスの位置を変えています。その余白を狙ってボリュームを付け足していき、狭小ながらも基準階を壊していきました。天空率を納めるようにボリュームを斜めにしたり、開口の大きさや位置を調整したり、素材を切り替えたりすることで各階にキャラクターをつけています。

敷地周辺の小さな単位の職の場、路地空間のネットワークといった魅力的な都市構造を立体化して新たな働く場所をつくることによって、古い風景と新しい風景を繋いでいけるのではないかと考えています。

各フロアではメインフレーム(ホール)とそこから飛び出るサブフレーム(ブース)によって開かれた場所と閉じこもって集中する場所をつくっています。さらに避難階段やバルコニー、屋上などの屋外・半屋外空間に人が寄り付くきっかけを散りばめて積極的に居場所化しています。

■建築概要

作品名:WOWK芝公園
所在地:東京都港区
用途:事務所
設計・監理:柿木佑介+廣岡周平/PERSIMMON HILLS architects
施工:加和太建設株式会社
構造:坪井宏嗣構造設計事務所
設備:ZO設計室
照明:杉尾篤照明設計事務所
構造:鉄骨造
階数:地上8階
高さ:最高高さ 24.72m、軒高 23.29m
敷地面積:77.44㎡
建築面積・建蔽率:57.47㎡(74.22%)
延床面積・容積率:342.05㎡(386.08%)
各階床面積:1階 52.65㎡、2階 48.17㎡、3階 41.53㎡、4階 38.21㎡、5階 38.98㎡、6階 40.09㎡、7階 42.01㎡、8階 40.41㎡
設計期間:2019年11月~2021年6月
工事期間:2021年6月~2022年3月
竣工年月:2022年3月
写真:田中克昌

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外構・床外構

コンクリート金鏝仕上げ+砂利敷

外装・壁外壁

押出成形セメント板

外装・屋根屋根

塗膜防水の上デッキ仕上げ

外装・建具開口部

アルミサッシ+スチールサッシ

外装・その他軒裏

ケイカル板のうえ、化粧シート貼り

外装・その他階段

スチール製チェッカープレート

内装・床ラウンジ(1F) 床

タイル

内装・壁ラウンジ(1F) 壁

RC打放し

内装・天井ラウンジ(1F) 天井

デッキプレート現し

内装・床ホール 床

コンクリート金鏝押さえ

内装・天井ホール 天井

デッキプレート現し

内装・床ブース 床

タイルカーペット

内装・天井ブース 天井

化粧シート貼

内装・壁一般部 壁

クロス仕上

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2024.03.15 Fri 07:25
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    国立新美術館での展覧会「マティス 自由なフォルム」の入場チケットをプレゼント。最晩年に取り組んだ“ヴァンスのロザリオ礼拝堂”にも焦点をあてる展示。礼拝堂の“内部や時間の流れを再現した空間”や“マティスのドローイングが施された模型”も公開ヴァンスのロザリオ礼拝堂内部の再現展示 photo©architecturephoto
    国立新美術館での展覧会「マティス 自由なフォルム」の入場チケットをプレゼント。最晩年に取り組んだ“ヴァンスのロザリオ礼拝堂”にも焦点をあてる展示。礼拝堂の“内部や時間の流れを再現した空間”や“マティスのドローイングが施された模型”も公開ヴァンス礼拝堂の外観のマケット(1/20) 1948年11月 アンリ・マティスのデッサン 制作:Les Maquettes EPI ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse photo©architecturephoto
    国立新美術館での展覧会「マティス 自由なフォルム」の入場チケットをプレゼントへの応募はこちらから
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    国立新美術館での展覧会「マティス 自由なフォルム」の入場チケットを5組10名様にプレゼントいたします。
    最晩年に取り組んだ“ヴァンスのロザリオ礼拝堂”にも焦点をあてる展示です。礼拝堂の“内部や時間の流れを再現した空間”や“マティスのドローイングが施された模型”も公開されています。
    応募締切は2024年3月25日(月)13時まで(お申込みにはGoogleアカウントが必要になります)。こちらのフォームからご応募ください。厳正な抽選を行い当選された方にはメールにてご連絡いたします(メール送付を当選発表に変えさせていただきます)。展覧会の公式ページはこちら。

    ※厳正な抽選を行いまして当選者の方にメールをお送りしました。沢山のご応募誠にありがとうございました。(2024/3/29追記)

    巨匠がニースに遺した切り紙絵のあざやかな世界。「マティス 自由なフォルム」2024年2月14日(水)~5月27日(月)まで国立新美術館にて開催!

    20世紀最大の巨匠の一人アンリ・マティス(1869-1954)。自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴のフォーヴィスムの中心人物としてパリで頭角を現します。後半生の大半を過ごすこととなるニースではアトリエで様々なモデルやオブジェを精力的に描く一方で、マティスは色が塗られた紙をハサミで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に取り組みます。

    本展はフランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイル等の作品や資料、約150点を紹介するものです。なかでも切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌードⅣ》が出品されるほか、大作《花と果実》は本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開される必見の作品です。

    本展ではさらに、マティスが最晩年にその建設に取り組んだ、芸術家人生の集大成ともいえるヴァンスのロザリオ礼拝堂にも着目し、建築から室内装飾、祭服に至るまで、マティスの至高の芸術を紹介いたします。

    リリーステキストより

    以下に、会場の写真と詳細な情報を掲載します

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    2024.03.15 Fri 14:12
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    2024.3.14Thu
    • 山本嘉寛建築設計事務所による、大阪市の住宅「木川の長屋」。かつての長屋街のビルの谷間に建つ住宅の建替。多様な設えが可能な住まいとして、全体を8つに区画して其々の“間”の繋がりを“戸”の開閉で変えられる建築を考案。2つの広縁を適切に配置して採光と通風も確保
    • 小松隼人建築設計事務所による、大阪市の「帝塚山の家」。住宅が密集した“閉塞的な印象”の敷地。緑に溢れ光と風を体感できる空間を目指し、“性格の異なる庭”を南北に配置する構成を考案。南庭では水平方向にも連続する“ブリーズソレイユ”で柔らかな光を導入する
    2024.3.16Sat
    • 益子義弘・林寛治・藤井章・大澤悟郎・松隈洋による、吉村順三についてのシンポジウム「吉村順三の建築 ―アメリカと日本― 日本編」の動画。元所員や研究者が登壇して、2024年2月に行われたもの
    • 第35回JIA新人賞を、藤原徹平と海法圭が受賞

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