森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、東側道路より見る。 photo©kenta hasegawa
森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる室2からダイニングとリビングを見る。(建具を開いた状態) photo©kenta hasegawa
森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる室1(建具を開いた状態) photo©kenta hasegawa
森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる架構の詳細 photo©kenta hasegawa
森下陽 / AMPが設計した、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」です。
山裾のレッカーの進入が難しい敷地での計画です。建築家は、大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案しました。また、外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれています。
夫婦と子供のためのアトリエ付き住宅である。
敷地は集落のはずれで、北側に広がる山の麓の小高い場所にある。周囲は茶畑に囲まれ、南側に広がる眺望も良好で長閑な空気が流れている。しかし集落からつながる道は狭く、大きな車が上がってくるのには難がある土地でもあった。
建主夫婦は、本業と平行して画家としての活動も行っている。そのため、大きな絵を描くときに取り回しが容易なある程度の広さがあり、天井高が確保されたアトリエを含めた計画が求められた。そして家族構成の変化や、用途の変化などの可変性を考慮した住宅として、この場所でどのような建ち方が相応しいか検討を重ねた。
まずは敷地いっぱいに6×6間の正方形平面を配置し、角度を振って駐車スペースを確保した。最小の室が4畳半となるように1つのグリッドを設定し4×4の16グリッドで全体を分割した。北西の2グリッドは屋根のあるポーチとして外に開き、対角をプライベートなテラスとして内に開き、ポーチとテラスに面した部分にのみ開口部を設けた。
敷地がレッカーでの作業が困難な場所であるため、上棟作業は人力で行うことを想定し全ての材を105mm角の材料で構成した。細い材で高い天井懐と1.5間ピッチのグリッドを実現するため、上部を高さ1メートルのトラスで組んでいる。フリーになったトラスの下部は、その時の用途によって建具で間仕切り可能になる。各室は上部に連続するトラス部から採光を確保し、ポーチからテラスへ外から内がレイヤー状になるような配置としている。
以下の写真はクリックで拡大します
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる鳥瞰、北側から見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる鳥瞰、南側から見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる俯瞰、南側から見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる俯瞰、西側から見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、南側より見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、西側道路より見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、東側道路より見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、東側道路より見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるポーチを見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるポーチを見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるポーチ越しに内部を見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるポーチ越しに内部を見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる室2からポーチを見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる中央:室2、右手前:ダイニング、右奥:キッチン photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる室2からダイニングとリビングを見る。(建具を開いた状態) photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる室2からダイニングとリビングを見る。(建具を開いた状態) photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる左:室2、手前:ダイニング、奥:キッチン photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる左:ダイニング、右:キッチン、右奥:サニタリー photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるサニタリー photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるダイニングからアトリエ側を見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるアトリエからポーチを見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるアトリエからリビング側を見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるアトリエ(建具を開いた状態) photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるアトリエ(建具を閉じた状態) photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる室1(建具を開いた状態) photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる室1(建具を閉じた状態) photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるテラス photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる架構の詳細 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる架構の詳細 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれるテラスを見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、南側を見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、南側を見る。 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、南側より見る、夜景 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、西側道路より見る、夜景 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる外観、東側道路より見る、夜景 photo©kenta hasegawa
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる平面図 image©AMP/アンプ建築設計事務所
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森下陽 / AMPによる、静岡・掛川市の、住宅兼アトリエ「原里の欄間」。山裾のレッカーの進入が難しい敷地。大きな制作の場を備えた可変性のある住まいを求め、105角材の“トラス”梁を用いた自由な空間が連なる建築を考案。外周の高窓等から生活が滲みだし地域との繋がりも生まれる断面図 image©AMP/アンプ建築設計事務所
以下、建築家によるテキストです。
夫婦と子供のためのアトリエ付き住宅である。
敷地は集落のはずれで、北側に広がる山の麓の小高い場所にある。周囲は茶畑に囲まれ、南側に広がる眺望も良好で長閑な空気が流れている。しかし集落からつながる道は狭く、大きな車が上がってくるのには難がある土地でもあった。
建主夫婦は、本業と平行して画家としての活動も行っている。そのため、大きな絵を描くときに取り回しが容易なある程度の広さがあり、天井高が確保されたアトリエを含めた計画が求められた。そして家族構成の変化や、用途の変化などの可変性を考慮した住宅として、この場所でどのような建ち方が相応しいか検討を重ねた。
現状、アトリエは一日中過ごす場所ではない。そのため、土間のように入口を兼ね、人を迎え入れる場所であるように考えた。アトリエを籠る場所ではなく開かれた場所としてとらえると、アトリエを中心に各室が緩やかに繋がるように平屋を採用することとした。
まずは敷地いっぱいに6×6間の正方形平面を配置し、角度を振って駐車スペースを確保した。最小の室が4畳半となるように1つのグリッドを設定し4×4の16グリッドで全体を分割した。北西の2グリッドは屋根のあるポーチとして外に開き、対角をプライベートなテラスとして内に開き、ポーチとテラスに面した部分にのみ開口部を設けた。
敷地がレッカーでの作業が困難な場所であるため、上棟作業は人力で行うことを想定し全ての材を105mm角の材料で構成した。細い材で高い天井懐と1.5間ピッチのグリッドを実現するため、上部を高さ1メートルのトラスで組んでいる。フリーになったトラスの下部は、その時の用途によって建具で間仕切り可能になる。各室は上部に連続するトラス部から採光を確保し、ポーチからテラスへ外から内がレイヤー状になるような配置としている。
昔からの関係性が強い集落に別の土地から移り住む家族にとってトラスで構成された大きな屋根は、時には住まい手の生活がにじみ出るものとして、時にはご近所を迎え入れるものとして機能している。
そして将来の変化にも柔軟に対応するより所となることを期待している。
■建築概要
名称:原里の欄間
所在地:掛川市
用途:住宅兼アトリエ
設計:AMP 担当/森下陽、杉本尚樹(元所員)
構造設計:高橋俊也構造建築研究所 担当/高橋俊也
施工:杉浦建築店
構造:木造
規模:地上1階
敷地面積:379.30㎡
延床面積:101.96㎡
竣工:2023年4月
写真:kenta hasegawa
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・屋根 | 屋根 | ガルバリウム鋼板竪はぜ葺き
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外装・壁 | 外壁 | ガルバリウム鋼板小波
ポリカーボネート
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外装・その他 | 軒天 | 構造用合板 オスモクリア塗装
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内装・床 | 床 | ラスティックオーク(ニチカ)
FRP防水トップコート
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内装・壁 | 壁 | ラワン合板
FRP防水トップコート
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内装・天井 | 天井 | 構造用合板
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