SHARE 廣部剛司建築研究所による、千葉・南房総市の「VILLA MKZ」。岩盤の露出等がある“複雑な条件”の土地。条件の間を“縫うような”計画を行う為、三角形を連続させた平面をベースとした“可変の余地を内包する”方法論で設計。海を向く諸室が“折れ曲がり”連続する空間を作る
廣部剛司建築研究所が設計した、千葉・南房総市の「VILLA MKZ」です。
岩盤の露出等がある“複雑な条件”の土地です。建築家は、条件の間を“縫うような”計画を行う為、三角形を連続させた平面をベースとした“可変の余地を内包する”方法論で設計しました。そして、海を向く諸室が“折れ曲がり”連続する空間を作りました。
それは複雑な条件の敷地に、踊るような“足跡”を刻んでいく道ゆきであった。
南東の海景に面した素晴らしいロケーションの敷地ではあるが、敷地の中央に岩盤が露出した1.4m前後の段差があり、道路側には建築をすることができない領域が食い込んでいた。
主として2台分のガレージとゲストルームを納める別棟(アネックス)は、必然的にその段差が最小になる東側のエリアに置かれることになったが、母屋に関しては難しい敷地条件の間を“縫うように”配置していくことが求められた。
ファーストプレゼンテーションの時に、クライアントに説明したのは、連続する三角形でプランが構成されているが、これはここでFIXされるものではなく、これからの詳細設計に合わせて頂点を「つまみながら」変更していくことで調整が可能な手法であるということだった。
事実、設計のプロセスにおいて頂点(ポイント)は内部からの要望に合わせて徐々に変化していき、それぞれの場所に必要な生活のスケールを包み込んでいった。
このように、全体を強い幾何学で「統御」するのではなく、内部のアクティビティにあわせて空間のスケールを可変していく余地を内包した手法を「モーダル・プランニング」と名付け、「PHASE DANCE」(2019)でも採用している。
三角形の平面形を増幅するように構成されている屋根スラブは、1ヶ所ずつ形状の違う多角形の柱と、一部の耐力壁によって持ち上げられ、内部の気積から高さ方向のリズムとボリュームを連続的にデザインしている。かくして海に向き合う諸室が、東西に折れ曲がりながら連続する平面構成となり、シーケンシャルに空間が連続することとなった。
「モーダル」とはJAZZの用語から連想した言葉で、少し乱暴に定義づけると、ひとつの調性(キー)の上に基本的にメロディーが乗っているのではなく、様々なキーに飛んでいく「自由」を担保した先にある可能性を探った手法である。
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以下、建築家によるテキストです。
それは複雑な条件の敷地に、踊るような“足跡”を刻んでいく道ゆきであった。
南東の海景に面した素晴らしいロケーションの敷地ではあるが、敷地の中央に岩盤が露出した1.4m前後の段差があり、道路側には建築をすることができない領域が食い込んでいた。
主として2台分のガレージとゲストルームを納める別棟(アネックス)は、必然的にその段差が最小になる東側のエリアに置かれることになったが、母屋に関しては難しい敷地条件の間を“縫うように”配置していくことが求められた。
ファーストプレゼンテーションの時に、クライアントに説明したのは、連続する三角形でプランが構成されているが、これはここでFIXされるものではなく、これからの詳細設計に合わせて頂点を「つまみながら」変更していくことで調整が可能な手法であるということだった。
事実、設計のプロセスにおいて頂点(ポイント)は内部からの要望に合わせて徐々に変化していき、それぞれの場所に必要な生活のスケールを包み込んでいった。
このように、全体を強い幾何学で「統御」するのではなく、内部のアクティビティにあわせて空間のスケールを可変していく余地を内包した手法を「モーダル・プランニング」と名付け、「PHASE DANCE」(2019)でも採用している。
三角形の平面形を増幅するように構成されている屋根スラブは、1ヶ所ずつ形状の違う多角形の柱と、一部の耐力壁によって持ち上げられ、内部の気積から高さ方向のリズムとボリュームを連続的にデザインしている。かくして海に向き合う諸室が、東西に折れ曲がりながら連続する平面構成となり、シーケンシャルに空間が連続することとなった。
「モーダル」とはJAZZの用語から連想した言葉で、少し乱暴に定義づけると、ひとつの調性(キー)の上に基本的にメロディーが乗っているのではなく、様々なキーに飛んでいく「自由」を担保した先にある可能性を探った手法である。
ここでは自由平面の三角形が連続する「複雑性」を操ることによって、ランドスケープとの関係や各室の必要な面積、空間のボリュームなどのパラメーターを自由に可変させようと試み、結果として内部の自然なスケール感や敷地との親和性が生まれることを目指している。
■建築概要
題名:VILLA MKZ
所在地:千葉県南房総市
主用途:専用住宅
設計:廣部剛司建築研究所 廣部剛司 担当/齋藤育江(元所員)、牧野里咲
構造設計:エスフォルム 大内彰
施工:片岡健工務店
構造:RC造(母家・アネックス共)
階数:地上2階(母家・アネックス共)
敷地面積:1254.1㎡(379.4坪)
建築面積:215.3㎡(65.1坪) 母家:145.7㎡(44.1坪)、別棟(アネックス):69.5㎡(21.0坪)
延床面積:342.1㎡(103.5坪) 母家:249.3㎡(75.4坪)、別棟(アネックス):92.8㎡(28.1坪)
設計:2016年2月~2018年2月
工事:2018年3月~2021年7月
竣工:2021年7月
写真:鳥村鋼一
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・屋根 | 屋根 | |
外装・床 | 母屋テラス 床 | ロマネスクシルバーフレンチパターン(東京水産) |
外装・壁 | 外壁 | |
内装・床 | ポーチ、階段 床 | |
内装・床 | 母屋オフィススペース、ゲストルーム、離れ1F 床 | シルキーベージュフレンチパターン 天然石貼り(東京水産) |
内装・床 | 母屋主寝室、LDK 床 | |
内装・床 | 母屋洗面脱衣室、浴室 床 | 十和田石 |
内装・壁 | 母屋LDK、主寝室 壁 | |
内装・壁 | 母屋キッチン 壁 | |
内装・壁 | 母屋洗面脱衣室、浴室 壁 | |
内装・天井 | 母屋2F 天井 | プラフォンチークセパレ 木下地グラスウールt90の上チーク羽目板(IOC) |
内装・天井 | 母屋洗面脱衣室 天井 | |
内装・天井 | 母屋1F 天井 | |
内装・照明 | 母屋2F 照明 | ユニバーサルダウンライト:LZD-92136YB(DAIKO) |
内装・家具 | 母屋LDK 家具 | |
内装・設備 | 母屋 ワインセラー | |
外構・床 | 外構 | 芦野石、コンクリート洗い出し仕上げ、浅間石 |
外構・照明 | 街路灯 |
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