中山大介 / 中山建築設計事務所による、島根の「奥出雲の家」。山間部の広大な農地に囲まれた敷地。施主の“素朴な生活”と呼応する住まいを求め、現代的でありながらも近くに建つ“農小屋”の様な在り方の建築を志向。忠実・簡素・謙虚を意識して素材を選定し形を与える外観、北東側より見る。 photo©笹の倉舎 笹倉洋平
中山大介 / 中山建築設計事務所による、島根の「奥出雲の家」。山間部の広大な農地に囲まれた敷地。施主の“素朴な生活”と呼応する住まいを求め、現代的でありながらも近くに建つ“農小屋”の様な在り方の建築を志向。忠実・簡素・謙虚を意識して素材を選定し形を与える外観、北東側より見る。 photo©笹の倉舎 笹倉洋平
中山大介 / 中山建築設計事務所による、島根の「奥出雲の家」。山間部の広大な農地に囲まれた敷地。施主の“素朴な生活”と呼応する住まいを求め、現代的でありながらも近くに建つ“農小屋”の様な在り方の建築を志向。忠実・簡素・謙虚を意識して素材を選定し形を与える1階、廊下側から広間を見る。 photo©笹の倉舎 笹倉洋平
中山大介 / 中山建築設計事務所による、島根の「奥出雲の家」。山間部の広大な農地に囲まれた敷地。施主の“素朴な生活”と呼応する住まいを求め、現代的でありながらも近くに建つ“農小屋”の様な在り方の建築を志向。忠実・簡素・謙虚を意識して素材を選定し形を与える1階、広間から畳間を見る。 photo©笹の倉舎 笹倉洋平
中山大介 / 中山建築設計事務所が設計した、島根の「奥出雲の家」です。
山間部の広大な農地に囲まれた敷地での計画です。建築家は、施主の“素朴な生活”と呼応する住まいを求め、現代的でありながらも近くに建つ“農小屋”の様な在り方の建築を志向しました。そして、忠実・簡素・謙虚を意識して素材を選定し形を与えました。
島根県の山間部、広大な農地を見渡す傾斜地にこの家は建っている。
目の前に広がる田園と折り重なる里山の風景はとても豊かで美しく、その中でも水田のそばに建つ農小屋の佇まいは自然に対する営為の素朴さやたくましさが感じられ惹かれるものがあった。また、この地域に建つ家は石州瓦の赤い瓦屋根が大半なので、当初はそれに倣いこの家もその赤い屋根を架けることをぼんやり思い描いていた。
しかし、建主の素朴な生活をうかがうと、どっしりとした瓦屋根の民家というより、もっと身軽で簡素な小屋に住まうというイメージのほうがあっていると思いはじめた。都市部ではできないこの地らしい設計をしたい。現代の暮らしをしっかりと踏まえながら、すでにある農小屋のような自然への接し方ができないだろうかと考えながら設計を進めた。
厳しい自然環境に対して日差しを遮って風雪をしのぎ、寒暑を和らげるための確実な設計を積み重ねていくと同時に、目的に忠実なこと、簡素な素材を使うこと、謙虚であることなど農小屋のもつ特徴を意識しながら設計した。屋根形状は自然の理に適った切妻屋根とし、積雪荷重を受けることを重視した厚さ(垂木成)としている。
外壁は飾り気のない杉板張りとし目地を同じ杉板でおさえる目板張りとした。アルミサッシはアルミの素地に近い色とし、木製建具は着色せず無塗装だ。風変わりな表現ではなくこの場所での生活を守るために自然だと思える建築のあり方を模索した。格式高い高級車が似合うのが都市部での設計だとするならば、ここでは実用的な軽トラックの似合う家を目指していたように思う。