永山祐子建築設計による、大阪・関西万博の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」。女性をテーマとしジェンダー平等を目指す施設。自身設計のドバイ万博日本館のファサードのリユースも試み、解体・運搬・保管・再構築に関わる様々な問題を乗り越えて実現。次のリユース先も決定済で設計も既に開始 外観、南西から見る、夜景 Victor Picon ©Cartier
永山祐子建築設計による、大阪・関西万博の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」。女性をテーマとしジェンダー平等を目指す施設。自身設計のドバイ万博日本館のファサードのリユースも試み、解体・運搬・保管・再構築に関わる様々な問題を乗り越えて実現。次のリユース先も決定済で設計も既に開始 アプローチから展示室側を見る。 Victor Picon ©Cartier
永山祐子建築設計による、大阪・関西万博の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」。女性をテーマとしジェンダー平等を目指す施設。自身設計のドバイ万博日本館のファサードのリユースも試み、解体・運搬・保管・再構築に関わる様々な問題を乗り越えて実現。次のリユース先も決定済で設計も既に開始 2階、アッパーガーデン、「WA」スペース側を見る。 Victor Picon ©Cartier
永山祐子建築設計による、大阪・関西万博の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」。女性をテーマとしジェンダー平等を目指す施設。自身設計のドバイ万博日本館のファサードのリユースも試み、解体・運搬・保管・再構築に関わる様々な問題を乗り越えて実現。次のリユース先も決定済で設計も既に開始 2階、「WA」スペース Victor Picon ©Cartier
永山祐子建築設計 による、大阪・関西万博の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」です。
女性をテーマとしジェンダー平等を目指す施設です。建築家は、自身設計のドバイ万博日本館のファサードのリユースも試み、解体・運搬・保管・再構築に関わる様々な問題を乗り越えて実現しました。また、次のリユース先も決定済で設計も既に開始しています。施設の公式ページはこちら。
Women’s Pavilion in collaboration with Cartierは女性をテーマとしジェンダー平等を目指すパビリオンである。
日本で男女雇用機会均等法が制定されたのは1985年。私がドバイ万博日本館の公募に参加した2018年のタイミングで、サウジアラビアでは女性の自動車運転がはじめて認められたことに驚き、中東での女性活躍の現状がどうなっているのかに深く興味があった。日本館の提案書の中で、女性を含めオールジェンダー、オールジェネレーションが語らう場となることを提案した。
今回のパビリオンには、2020年のドバイ万博から2025年大阪・関西万博につなげる試みとして2つの要素がある。
1つ目は、ドバイ万博から始まった女性の社会貢献に光をあてた館の継承だ。
ドバイ万博で創設された「ウーマンズ パビリオン」の名前と強い意志を引き継ぎ、大阪・関西万博では、Cartier、内閣府、経済産業省、2025年日本国際博覧会協会によって共同出展されている。2つ目は、ドバイ万博日本館のファサードのリユースである。連続した2つの万博で同じ部材が転用されるのは万博史上初の試みといわれている。
ドバイ万博日本館のリユースはもちろん万博予算には入っておらず、万博の資材が国から民間を渡っていくのは非常に難しい。
リユースを見越した解体、そして運搬保管の協力者を自力で探すところから始まった。大林組が国の資産である資材を競り落とし、丁寧な解体を担い、ドバイから大阪までの運搬保管は山九が協力してくれた。
そしてカルティエがその資材を使って大阪・関西万博でウーマンズ パビリオンを作ることに共感してくれたことで今回のリユースが実現した。
1970年の大阪万博から使われているこの構造システムは、長年の間に確立されていて、リユースが可能な技術だ。だが、リユースに際して、ボールジョイントのパズルは、想定していた以上に困難だった。まずはドバイ万博の終了とともに丁寧に解体し、40ftコンテナ1個半に収めて、大阪の倉庫に運んだ。チューブ約 6,000本、ノード(結節点)約2,000個の製品確認を行い、大林組のビジュアル工程管理システム「プロミエ」を使うことによって明快にどの部位にどのパーツが使われているかを把握した。
全く違う敷地の形に、建物の適材適所に前万博のパーツを移植した。部材の移植では、エンジニアリングのArupが専用ソフトを作成し、新規部材を作らないというルールのもと、既存の部材を緻密に組み替えていくことで全体を再構成していった。
構造解析を行なって、構造的に成立していることを確認しながら細かい移植を計画。この作業には約3ヶ月を要した。
困難は続いたが、リユースというストーリーを超えて新しい表現を得られたことを実感している。この建築の部材はすでに次なるリユースも決まっていて、その設計を進めている。