AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、東側の参道より参拝者休憩所を見る。(建築家による解説:氷川参道からの眺め。奥へ進むと社務所がある) photo©長谷川健太
AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、「水景」側より参拝者休憩所と広場を見る。 photo©長谷川健太
AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、左:女子トイレ、手前:広場、右側:男子トイレとみんなのトイレ photo©長谷川健太
AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案参拝者休憩所、休憩所から開口部越しに「けやきテラス」を見る。(建築家による解説:奥にケヤキテラス) photo©長谷川健太
AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインが設計した、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」です。
建築家たちは、“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位しました。そして、“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案しました。施設の場所はこちら(Google Map)。
悠久の歴史をもつ武蔵一宮氷川神社は、日本一の長さを誇るケヤキ並木の参道など、都市の中で豊かな自然環境を保持しながら地域の日常を支えている。「氷川神社ゆうすいてらす」は、神社入口脇に作られた休憩施設であり、休憩所・トイレ・授乳室等からなる。
創業50年を迎えた地元メンテナンス会社の奉納事業として企画され、大宮に拠点を構えまちづくりに関わる若い建築家へ、と設計を託された。
氷川神社は湧水の存在がその起源にあり、水との関わりが深い。
一方で計画地はアスファルトで覆われ、雨水は地中へ浸透せず本来の循環から遠ざけられている。土壌は水や空気の流れが悪化して樹勢にも深刻な影響を及ぼしており、多くの大樹が倒木の危険性から伐採されている現状に神社も頭を悩ませている。
本来的な水・光・風の流れの回復へ向けた“庭づくり”的な実践のなかに、その流れに寄り添う人間の居場所をそっと挟みこむ。
もとは駐車場の一角に建築を置く計画であったが、庭と建築の関係を反転させ、土地へのランドスケープ的な介入の一部として建築を位置付けた。
敷地は境内の一歩外側で、参道から社務所へ通じる通路兼駐車場である。南側には住宅地があり、さまざまな環境に取り囲まれている。「聖と俗のあわい」の場となることを目指して、両者を緩やかに繋ぐことをどのように建築言語に翻訳するかがテーマとなった。
参道にのみ顔を向けたような既存の構えに対して、表と裏と区別せず全方位からの流れを迎え入れる構えが相応しいと考え、建築は3棟に分けて配置し、参道 / 社務所 / 住宅地への動線と構えをつくった。
住宅地側の2棟は、参道の軸線から角度を振って雁行する配置とし、休憩所や授乳室、トイレが納まる。神社側には東屋を参道の軸に沿って置く。両者は対峙して配置され、その間やまわりが広場 / テラス / 庭といった空間になる。
角度を振った特徴的な配置は、敷地内の樹木に対する配慮から生まれた。参道側の両脇に聳えるケヤキとクスノキの大樹、そして住宅地側との間にある既存樹に対して、その根の張りから距離を取りつつも関係を結べる距離に近づき、休憩所の空間が大樹を美しくフレーミングする関係の角度を検討した。
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AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案俯瞰、敷地上空より見る。(建築家による解説:参道が右側、社務所の駐車場が左側) photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、東側の参道より参拝者休憩所を見る。(建築家による解説:敷地内のケヤキとクスノキの大樹) photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、東側の参道より参拝者休憩所を見る。(建築家による解説:氷川参道からの眺め。奥へ進むと社務所がある) photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、「水景」側より参拝者休憩所と広場を見る。 photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案「けやきテラス」 photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、「けやきテラス」より参拝者休憩所を見る。(建築家による解説:ケヤキテラスの石畳と休憩所の椅子。椅子は参道のケヤキを再利用している) photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、左:参拝者休憩所、右:女子トイレ photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案参拝者休憩所、休憩所からミニキッチンと授乳室を見る。 photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案参拝者休憩所、休憩所から開口部越しに「けやきテラス」を見る。(建築家による解説:奥にケヤキテラス) photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案参拝者休憩所、授乳室、窓を見る。 photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、左:女子トイレ、手前:広場、右側:男子トイレとみんなのトイレ photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案外観、女子トイレ photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案女子トイレ、通路(建築家による解説:照明は造作プレートにダウンライトを設置した) photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案女子トイレ photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案女子トイレ、手洗の詳細(建築家による解説:小物を置ける鏡台は伐採された参道のケヤキを使用。大宮に縁のある陶芸作家による洗面ボウル) photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案女子トイレ、個室 photo©長谷川健太

AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案女子トイレ、架構を見上げる。(建築家による解説:柱と桁は長ほぞ差し込み栓打ち。棟木を焼省略した合掌造りのような屋根形式) photo©長谷川健太

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以下、建築家によるテキストです。
流れを回復する庭づくり
悠久の歴史をもつ武蔵一宮氷川神社は、日本一の長さを誇るケヤキ並木の参道など、都市の中で豊かな自然環境を保持しながら地域の日常を支えている。「氷川神社ゆうすいてらす」は、神社入口脇に作られた休憩施設であり、休憩所・トイレ・授乳室等からなる。
創業50年を迎えた地元メンテナンス会社の奉納事業として企画され、大宮に拠点を構えまちづくりに関わる若い建築家へ、と設計を託された。
氷川神社は湧水の存在がその起源にあり、水との関わりが深い。
一方で計画地はアスファルトで覆われ、雨水は地中へ浸透せず本来の循環から遠ざけられている。土壌は水や空気の流れが悪化して樹勢にも深刻な影響を及ぼしており、多くの大樹が倒木の危険性から伐採されている現状に神社も頭を悩ませている。
本来的な水・光・風の流れの回復へ向けた“庭づくり”的な実践のなかに、その流れに寄り添う人間の居場所をそっと挟みこむ。
もとは駐車場の一角に建築を置く計画であったが、庭と建築の関係を反転させ、土地へのランドスケープ的な介入の一部として建築を位置付けた。
聖と俗のあわい
敷地は境内の一歩外側で、参道から社務所へ通じる通路兼駐車場である。南側には住宅地があり、さまざまな環境に取り囲まれている。「聖と俗のあわい」の場となることを目指して、両者を緩やかに繋ぐことをどのように建築言語に翻訳するかがテーマとなった。
参道にのみ顔を向けたような既存の構えに対して、表と裏と区別せず全方位からの流れを迎え入れる構えが相応しいと考え、建築は3棟に分けて配置し、参道 / 社務所 / 住宅地への動線と構えをつくった。
住宅地側の2棟は、参道の軸線から角度を振って雁行する配置とし、休憩所や授乳室、トイレが納まる。神社側には東屋を参道の軸に沿って置く。両者は対峙して配置され、その間やまわりが広場 / テラス / 庭といった空間になる。
角度を振った特徴的な配置は、敷地内の樹木に対する配慮から生まれた。参道側の両脇に聳えるケヤキとクスノキの大樹、そして住宅地側との間にある既存樹に対して、その根の張りから距離を取りつつも関係を結べる距離に近づき、休憩所の空間が大樹を美しくフレーミングする関係の角度を検討した。
聖と俗のあいだという質は、参拝という儀礼的な行為に寄りそう形式性と、参拝後に心を解く直会(なおらい)の場として非形式性、つまり「緊張と緩和の共存(*1)」という問いを生み、配置・構法・ディテールの様々な次元を一貫するテーマとなる。
雁行する棟は在来構法とし、2,275mmのグリッドに木柱を全て落とすことで、X軸Y軸を等価に扱う。桁方向にだけ横架材をかけ、その上に登り梁的な垂木を乗せ、梁を省略している。小屋組は平面と対照的に方向づけをし、雁行して連なる3つの屋根はそれぞれ桁方向を変えて妻面 / 平面を交互に混ぜ、神社の屋根並みに呼応した奥行きを生み出すことを狙った。
東屋は伝統構法をベースに、背後の透塀の屋根と合わせて緩い反屋根とした。境内から採取した石の上にヒノキの円柱が乗り、貫と桁によって固められる。反り屋根部は流通材を組み合わせて対照的なつくりとした。
神社建築の起源は、社=屋(や)の代(しろ=かわり)、つまり儀礼のための一時的なしつらえであり、その奥にある自然や神を拝む場であった。伝統構法と在来構法を即物的に“混合併存”させ、神社と住宅地のあいだで、聖と俗を建築の中にグラデーショナルに織り交ぜることを意図した。
雨のシークエンス
屋根が雨を受け止め樋をわたり、メッキ仕上げのチェーン型鎖樋を通って外構の水受けへと落ちる。既存アスファルトを撤去し、石、藁、木炭杭、チップ等で作られた土中の穴を通って、土壌へゆっくりと沁み渡る。地下の伏流水が井戸によって地上に汲み上げられ、蛇行する流れからせせらぎが生まれ、クスノキの根をよけた池へ至る。
オーバーフローした雨水は、舗装の下地に用意された “みずみち”を通って水景へ注がれ、池からこぼれ落ちる水は透塀の下をくぐり、境内の水脈へ繋がることで神社の水系の一部となる。建築外構の連携的工夫によって水の垂直的なシークエンスを生み出し、その過程に視覚的 / 聴覚的 / 触覚的な人と水の接点を創出した。
ディスポジショナルな介入へ
自然と社会の関係の結び直しが問われる現代において、人だけではない多様な存在者との間の「適当な距離」を探りあう気配りが、建築の倫理や美学の新たな土台になるのではないか。
配置を意味するdisposeは、dis「分離」+ pose「置く」、つまり距離をあけて置くという語源を持ち、そこから「捨てる」「促す」「準備する」などの多様な意味が付帯していった。配置という単純明快な行為からその語義を柔軟に拡張してみると、建築の実践は「ディスポジショナルな介入」と呼び得るものだろう。(*2)
その実践は、まず「捨てられた」「遠ざけられた」事物へのまなざしから始まる。神社においてトイレは、不浄・ケガレの空間として裏へ追いやられ長年課題が放置されてきた。雨もグレー色のインフラによって遠ざけられた。あるいは長い年月の中で使われなくなった石や木材といった材料も、行くあてなく傍に放置される。周縁化されたものの本来的な力に目を向け、多様な存在者に気を遣りながら、然るべき距離に置きなおす。
これまでも日々注ぎ込まれていた光や風や流れが、ゆうすいてらすという存在を媒介にして、より美しく顕在化する。直接触知できない「背景」への、新しいまなざしを「促す」こと、これがディスポジショナルな介入のもう一つの可能性である。
ゆうすいてらすの中で、トイレは屋根の連なりの中に溶け込んで、共存している。その横を結婚式の参進が通りぬけ、穏やかな休憩の空間が祝祭の空気に包まれる。事物が然るべき距離をもって共存する作法や技術という視点から、建築・庭・土木を再縫合する可能性がある。
(*1)『らくごDE枝雀』桂枝雀著、ちくま文庫(1993)
(*2)『ディスポジション 配置としての世界』 柳澤田実 編、現代企画室(2008)
■建築概要
題名:氷川神社 ゆうすいてらす
所在地:埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1丁目407
主用途:休憩所・トイレ
建主:武蔵一宮 氷川神社、毎日興業(企画監理)
建築:AMP/PAM 担当/伊藤孝仁、嶽山渉*、大高颯斗* (*元所員)
park street studio 薦田学
構造:スカラデザイン 担当/村上翔
外構:アオイランドスケープデザイン 担当/吉田葵、高石竜介
サイン・タイプフェイス:吉勝制作所 担当/吉田勝信、稲葉鮎子
コンセプト / プログラムディレクション:STAND 担当/高橋卓
施工:山崎工務店
石積・植栽:村田円芸
構造:木造
階数:地上1階
敷地面積:47937.96㎡
建築面積:104.81㎡
延床面積:104.81㎡
設計:2022年11月~2024年1月
工事:2024年03月~2024年11月
竣工:2024年11月
写真:長谷川健太