
SHARE 奈良祐希 / EARTHENによる、富山市の住戸改修「Cave」。竪穴住居が多数存在した地域での計画。喧騒から離れた“安息の住処”を求め、“土の洞窟”の様な“原初的な”空間を志向。合理的な躯体にフリーハンドの線を重ねて“直線と曲線の緩やかな融合”を試みる



奈良祐希 / EARTHENが設計した、富山市の住戸改修「Cave」です。
竪穴住居が多数存在した地域での計画です。建築家は、喧騒から離れた“安息の住処”を求め、“土の洞窟”の様な“原初的な”空間を志向しました。そして、合理的な躯体にフリーハンドの線を重ねて“直線と曲線の緩やかな融合”を試みました。
富山の住戸改修、マンションのリノベーション。
初めて現地に訪れた際の新鮮な感動は今でも鮮明に覚えている。玄関のドアを開け廊下を歩いていくと突き当りの窓からは由緒正しい富山護国神社が僕たちを迎える。その神社の森に住処を構える白鷺が神々しく飛んでいる。
驚きとともにダイニングに向かうと正面の窓からは神通川の桜並木と奥にある御皇城山を一望できる。クライアントがこの場所に都会の喧騒から離れて安息の住処を求めたことをすぐに理解できた。
この付近には、土葺の竪穴住居が多数存在し、日本最大級の遺跡も発見されている。空間を“形づくる”ことを意識しながら、土で模型をつくりスタディを重ねていった。
もともとあった間仕切り壁を可能な限り撤去し配管や水回りの位置も集約し可能な限り空間全体にシークエンスを持たせる。構造的な合理性と経済的な効率性によるグリッドの束縛から抜けきれない直線的な平面配置に、フリーハンドで描かれた柔らかな曲線をオーバーレイして直線と曲線の緩やかな融合を試みる。
「線」の重なりがさまざまな悪戦苦闘や紆余曲折を経てひとつの「壁」として徐々に成立をしていく。その「線」が分岐して、家具やアートワークのデザインに変質し、形作っていく。
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以下、建築家によるテキストです。
富山の住戸改修、マンションのリノベーション。
初めて現地に訪れた際の新鮮な感動は今でも鮮明に覚えている。玄関のドアを開け廊下を歩いていくと突き当りの窓からは由緒正しい富山護国神社が僕たちを迎える。その神社の森に住処を構える白鷺が神々しく飛んでいる。
驚きとともにダイニングに向かうと正面の窓からは神通川の桜並木と奥にある御皇城山を一望できる。クライアントがこの場所に都会の喧騒から離れて安息の住処を求めたことをすぐに理解できた。
この付近には、土葺の竪穴住居が多数存在し、日本最大級の遺跡も発見されている。空間を“形づくる”ことを意識しながら、土で模型をつくりスタディを重ねていった。
もともとあった間仕切り壁を可能な限り撤去し配管や水回りの位置も集約し可能な限り空間全体にシークエンスを持たせる。構造的な合理性と経済的な効率性によるグリッドの束縛から抜けきれない直線的な平面配置に、フリーハンドで描かれた柔らかな曲線をオーバーレイして直線と曲線の緩やかな融合を試みる。
「線」の重なりがさまざまな悪戦苦闘や紆余曲折を経てひとつの「壁」として徐々に成立をしていく。その「線」が分岐して、家具やアートワークのデザインに変質し、形作っていく。
「土の洞窟」、そんな原初的な住処を夢見て。
■建築概要
名称:Cave
所在地:富山県富山市
用途:住宅
建築:EARTHEN / 奈良祐希 担当/林大樹、松本千賀来、小松直樹
施工:家元
工事種別:内装のみ 鉄筋コンクリート造5階 / 全面改装
延床面積:67.17㎡
設計:2021年8月~2022年3月
工事:2022年4月~2023年6月
竣工:2023年7月
写真:MASATOMO MORIYAMA
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | LDK 床 | 左官本塗り |
内装・床 | シャワールーム 床 | 磁器質特製タイル貼 |
内装・壁 | LDK 壁 | 左官搔き落とし |
内装・壁 | シャワールーム 壁 | 磁器質特製タイル貼 |
内装・天井 | LDK 天井 | 左官本塗り |
内装・天井 | シャワールーム 天井 | 磁器質特製タイル貼 |
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