佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、東側の立面を見る。(建築家による解説:巨大な有孔合板による充実した掲示・展示スペース) photo©小野志門
佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、西側の立面と北側の立面を見る。(建築家による解説:乾式壁塗装仕上げの段階的な工程をモチーフにしたデザイン) photo©川瀬一絵
佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、天井を見上げる。(建築家による解説:異なる素材で構成される新たな吹抜け空間) photo©川瀬一絵
佐藤光彦+朝木岳志+荒木鴻歩+風間翔太+田村慶也+若林昇 / 佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬が設計した、東京・千代田区の「小さな建築的行為」です。
大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画です。建築家たちは、新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案しました。
日本大学駿河台キャンパス「タワー・スコラ」※1の一部を改修することにより、理工学部建築学科創設100周年のモニュメント(記念碑)を製作するとともに、新たな記念碑の在り方を模索、提示することを試みたプロジェクトです。
対象としたのは校舎新築時に建築学科の占有フロア3層(7~9階)を繋ぐように計画された吹抜け空間です。
吹抜けを構成する4つの立面に対して様々なテーマに基づいた改修を行い、吹抜けを周囲から顕在化することによってこの空間全体をモニュメントと位置付けます。そして、それは同時にこの空間に関わる学生達に新たな気づきや居場所をもたらすための教育的な装置でもあります。
「ステンレス板の反射による風景の輸送」
ほかの階の活動が見えづらい既存の吹抜け空間に対して、風景を反射、輸送する素材を挿入することで、視覚的なコミュニケーションを活発化します。
「有孔合板の挿入による掲示・展示形式の拡大」
平常時、イベント時の様々な展示に対応できるようなシステムを構築すると同時に、大きな木質の壁面によって、人が集う場所としてのぬくもりを創出します。
「岩綿吸音板の連続による素材や色への気づき」
既存の素材や色を展開し、その視覚的な効果を実際に体験できる場をつくることで、新たな発想を生み出すきっかけを創出します。
「乾式壁の段階的な仕上げによる施工への理解」
座学だけでは触れる機会の少ない施工分野に対し、乾式壁を例として、施工手順を段階的に見せることで施工への理解の深化を創出します。
これらの改修行為は全て、学生達でも技術的に取扱えるものとして選定し、私達はそれを「小さな建築的行為」と名付けました。そして、実際にその殆どを学生達の手によって施工しました。それは、このモニュメントが将来的に変化、成長可能であることを示唆しています。
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佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、東側の立面を見る。(建築家による解説:巨大な有孔合板による充実した掲示・展示スペース) photo©小野志門

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、北側の立面と東側の立面を見る。(建築家による解説:周囲の均質な仕上げから切り離された吹抜け空間) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、北側の立面を見上げる。(建築家による解説:ステンレス板と連続するように塗装を剥離した手摺) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、西側の立面と北側の立面を見る。(建築家による解説:乾式壁塗装仕上げの段階的な工程をモチーフにしたデザイン) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階、天井を見上げる。(建築家による解説:異なる素材で構成される新たな吹抜け空間) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案8階、手摺越しに西側の立面を見る。(建築家による解説:吹抜けを通して様々な仕上げが重なり合う様子) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案8階、吹抜越しに西側の立面を見る。(建築家による解説:乾式壁下部の様子) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案8階、吹抜越しに7階を見下ろす。 photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案8階、吹抜越しに7階を見下ろす。(建築家による解説:ステンレス板の反射による風景の輸送) photo©小野志門

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案9階、吹抜越しに西側の立面を見る。(建築家による解説:乾式壁上部の様子) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案手摺の詳細(建築家による解説:塗装を剥離した手摺はステンレス板の反射率に合わせて研磨) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案西側の立面と北側の立面の詳細(建築家による解説:一般的な石膏ボード裏面のクレジットを模した学科ロゴ) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案東側の立面と南側の立面の詳細(建築家による解説:各仕上げが交わる吹抜け隅角部) photo©小野志門

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案南側の立面の詳細(建築家による解説:既存天井仕上げ材の岩綿吸音板を新たに吹抜け内へと折り上げた様子) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案東側の立面の詳細(建築家による解説:既存掲示板と有効合板の取り合い部分) photo©川瀬一絵

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案7階床面詳細図(建築家による解説:周囲と同仕上げに改修) image©佐藤光彦研究室+小野志門+田中麻未也+横井創馬

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案北側立面図と断面詳細図 image©佐藤光彦研究室+小野志門+田中麻未也+横井創馬

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案東側立面図と断面詳細図など image©佐藤光彦研究室+小野志門+田中麻未也+横井創馬

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案南側立面図と断面詳細図 image©佐藤光彦研究室+小野志門+田中麻未也+横井創馬

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案西側下地立面図と西側仕上立面図 image©佐藤光彦研究室+小野志門+田中麻未也+横井創馬

佐藤光彦研究室・小野志門・田中麻未也・横井創馬による、東京の「小さな建築的行為」。大学施設の中に建築学科創設100周年の“記念碑”をつくる計画。新たな在り方を模索し、既存吹抜を“風景の輸送”などの4つの主題に基づく改修を行って“空間全体を記念碑と位置付ける”計画を考案ドローイング(建築家による解説:小さな建築的行為が吹抜けを顕在化するコンセプトイメージ) image©佐藤光彦研究室+小野志門+田中麻未也+横井創馬
以下、建築家によるテキストです。
日本大学駿河台キャンパス「タワー・スコラ」※1の一部を改修することにより、理工学部建築学科創設100周年のモニュメント(記念碑)を製作するとともに、新たな記念碑の在り方を模索、提示することを試みたプロジェクトです。
対象としたのは校舎新築時に建築学科の占有フロア3層(7~9階)を繋ぐように計画された吹抜け空間です。
吹抜けを構成する4つの立面に対して様々なテーマに基づいた改修を行い、吹抜けを周囲から顕在化することによってこの空間全体をモニュメントと位置付けます。そして、それは同時にこの空間に関わる学生達に新たな気づきや居場所をもたらすための教育的な装置でもあります。
「ステンレス板の反射による風景の輸送」
ほかの階の活動が見えづらい既存の吹抜け空間に対して、風景を反射、輸送する素材を挿入することで、視覚的なコミュニケーションを活発化します。
「有孔合板の挿入による掲示・展示形式の拡大」
平常時、イベント時の様々な展示に対応できるようなシステムを構築すると同時に、大きな木質の壁面によって、人が集う場所としてのぬくもりを創出します。
「岩綿吸音板の連続による素材や色への気づき」
既存の素材や色を展開し、その視覚的な効果を実際に体験できる場をつくることで、新たな発想を生み出すきっかけを創出します。
「乾式壁の段階的な仕上げによる施工への理解」
座学だけでは触れる機会の少ない施工分野に対し、乾式壁を例として、施工手順を段階的に見せることで施工への理解の深化を創出します。
これらの改修行為は全て、学生達でも技術的に取扱えるものとして選定し、私達はそれを「小さな建築的行為」と名付けました。そして、実際にその殆どを学生達の手によって施工しました。それは、このモニュメントが将来的に変化、成長可能であることを示唆しています。
近代以降、建築におけるモニュメントは国家や宗教の象徴から、「人間の理想や行動の象徴」「時代を超える価値の道標」へと再定義されてきました。(ジークフリート・ギーディオン1943年『記念性の9原則』)。しかし、永続性を求める構造と、現代社会が重視する多様性・柔軟性の間には大きな矛盾があるように感じます。
小さな建築的行為を積み重ねることでつくられるモニュメント、それは形態的完成を目的とせず、変化し続けるプロセスを重視した新たなモニュメントの形です。
このプロジェクトの完成後、吹き抜け周辺で学生たちのアクティビティに変化が起きました。日常的に個人やグループが作業をしコミュニケーションが生まれ、卒業式では有効合板の掲示板の前で集合写真を取ることが定着しました。
デザインすることを通して得られる学生達の気づきや記憶の集合体が、この大学にとっての記念碑となることを私達は期待します。
※1:タワー・スコラ:駿河台キャンパスの更新と、都市型理系大学としての機能強化を目的に、総合設計制度を利用して建設された地上18階・地下3階建ての高層ビル型校舎(2020年竣工)
■建築概要
題名:日本大学理工学部建築学科100周年記念制作物「小さな建築的行為」
所在地:東京都千代田区神田駿河台
主用途:大学
設計:佐藤光彦研究室 担当/佐藤光彦、朝木岳志、荒木鴻歩、風間翔太、田村慶也、若林昇)+小野志門+田中麻未也+横井創馬
施工:株式会社ダブルボックス 担当/和田重文、灰田務
佐藤光彦研究室
施主:理工学部建築学科、理工校友会建築部会、桜門建築会
サイズ:5.5m×5.5m×11m
設計:2020年2月~2021年3月
工事:2021年3月~2021年4月
竣工:2021年4月
写真:川瀬一絵、小野志門
建材情報| 種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | | 内装・床 | 主要箇所 床 | 長尺シート:PG-20249グラニット(サンゲツ)
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| 内装・壁 | 北面 壁 | SUS♯400 t0.4
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| 内装・壁 | 東面 壁 | 有効合板 [米松柾目] φ7@45
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| 内装・壁 | 南面 壁 | 岩綿吸音板(ダイケン)
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| 内装・壁 | 西面 壁 | AEP二度塗り、AEP一度塗り、PBt9.5、LGS
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| 内装・その他 | 北面 手摺 | 既存SOP除去の上、クリア塗装
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